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【エルサレム共同】パレスチナ自治区ガザの保健当局は28日までに、米国とイスラエル主導で設立した「ガザ人道財団」の物資配給拠点周辺での攻撃による死者が549人に上ったと発表した。負傷者は4千人以上。イスラエル紙ハーレツは27日、イスラエル軍が配給拠点に集まる群衆を追い払うため、意図的に住民に向け発砲するよう部隊に命令していたと伝えた。軍将校ら複数人の証言とし、ある兵士は「殺りくの場」だと語った。 軍は報道を否定し、拠点近くで住民が負傷した事案を調査していると表明した。イスラエルのネタニヤフ首相とガッツ国防相は共同声明を出し「軍の名誉を傷つけるためのうそ」だと批判した。 トランプ米大統領は27日、ガザでのイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘について「1週間以内に停戦が成立すると考えている」と主張した。停戦実現に向けて取り組んでいるとしたが、詳細には踏み込まなかった。 イスラエル軍のザミール参謀総長は27日、ガザの部隊を視察し「近い将来、現作戦で定めた地点に到達する」と述べ、軍事作戦の目標達成が近いとの認 識を示した。その先の選択肢を政府に提示するとも表明した。 パレスチナ通信は28日、イスラエル軍がガザ北部ガザ市を無人機で攻撃し市民3人が死亡したと報じた。最南部ラフアでも軍の発砲で死者が出たとした。 「ガザ人道財団」の「人道」という名前が最も醜い言葉として登場している。トランプ大統領の登場以来言葉に対する重みはほとんど感じられなくなった。言葉への信頼がなくなる世界はまさに荒廃としたものになることは、悲しい。
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女子児童の盗撮画像や動画を交流サイト(SNS)のグループチャットで共有したとして、愛知県警が小学校教諭2人を逮捕した。チャットには校内で撮 影した可能性があるものも含まれていた。教員とみられる約10人が参加し、画像を称賛し合う投稿も。どうすれば子どもを守れるのか。識者は「どこでも起 こり得ることを前提に、盗撮させない環境づくりが重要だ」と指摘する。 1月下旬の朝、名古屋市内の駅で15歳の少女が背負うリュックサックに体液がかけられた。県警は3月、同市立小教諭の水藤翔太被告(34)=器物損壊罪などで起訴=を逮捕。携帯電話を解析した捜査員の目に留まったのは、女子児童の着替えなどを収めた画像や動画約70点が投稿されたグループチャットだっ た。 捜査を進めた県警は今月24日までに、性的姿態撮影処罰法違反(撮影など)の疑いで、名古屋市立小の主幹教諭森山勇二容野者(49)と横浜市立小の教諭小瀬村史也容疑者(37)を逮捕した。 捜査関係者によると、森山容疑者は自分がチャットを開設したと説明。3人を含むメンバーは匿名でやりとりし、面識がなかった可能性がある。 関係者によると、小瀬村容騒者はクラス担任と学年主任を務め、勤務態度に問題はなかった。森山容疑者は教頭に次ぐ立場だったといい「人気があり、子どもたちからよく声をかけられていた」と話す同僚もいた。 逮捕を受け、名古屋、横浜両市の教育委員会が謝罪会見。阿部俊子文部科学相は27日の閣議後記者会見で「被害を受けた子どものことを思うと怒りを覚え る」と憤りを隠さなかった。 森山容疑者が勤務していた小学校で開かれた説明会に参加した保護者からは「安心して預けていたのでショック」「気持ち悪いし、信用できなくなる。子 どもが安心して通えるようになってほしい」との声が聞かれた。 教育現場では子どものプライバシーを守るため、保護者らに対し行事での撮影ルールを設けSNSへの投稿を禁じるなどの取り組みが進む。ただ、今回の 事件では、行事などの撮影を担当していた森山容疑者が立場を利用し、学校備品のカメラで盗撮した疑いがある。 信頼を寄せる先生による盗撮容疑という想定外の事態について、NPO法人「日本こどもの安全教育総合研究所」の宮田美恵子理事長は「校内に不審物やカメラがないかなど普段から積極的に点検する姿を見せることが大切で、ここでは盗撮ができないと思いとどまらせることができる」とし「一部の教員の取り組みだけでは抑止力に欠ける。学校全体で対策を進めることが重要だ」と話した。 教員による性的な犯罪は一定数存在する。それを根絶することはおそらく不可能だろうが、被害を受けた子どものことを考えると言葉がない。宮田美恵子理事長が言うように「学校全体で対策を進める」とは何を意味するのだろうか。教員集団が相互監視の集団となることもそら恐ろしいことではある。
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小学校教諭が女子児童を盗撮し交流サイト(SNS)のグループチャットで共有したとされる事件で、性的姿態撮影処罰法違反の疑いで逮捕された名古屋市立小の主幹教諭森山勇二容疑者(42)が、撮影に「学校のデジタルカメラを使った」との趣旨の供述をしていることが27日、捜査関係者への取材で分かった。このカメラは自宅の家宅捜索で見つかっているという。 森山容疑者は授業や学校行事などで児童を日常的に撮影する役割を担っていたといい、愛知県警は、立場を悪用した上、学校の備品を利用していたとみて詳しく調べる。 県警は24日、昨年9月ごろ、愛知県内の施設で女子児童の下着をデジタルカメラで盗撮し画像を共有した疑いで森山容疑者を逮捕。今年1月ごろ神奈川県内の施設で別の女子児童の下着を盗撮し動画を共有した疑いで23日に、横浜市立小の教諭小瀬村史也容疑者(37)を逮捕した。 捜査関係者によると、森山容疑者はグループチャットを自分が開設したと説明している。小中学校の教員とみられる約10人が参加し、女子児童の着替えを撮影したものや学校行事で撮られたような写真など約70点の画像や動画が共有されていた。メンバーは匿名でやりとりし、互いの素性は知らなかった可能性がある。県警は他のメンバーの特定も進める。 勤務校によると、森山容疑者は校内の様子を保護者に伝える月1回程度発行の学校だよりの制作を担当。備品のデジカメを使用し、写真は専用のフォルダーに保存していた。名古屋市教育委員会は27日、記者会見し「深くおわび申し上げる」と謝罪した。一方、捜査関係者によると、小瀬村容疑者は「自分のスマートフォンで撮影した」との趣旨の供述をしているという。 名古屋市内の教員らが女子児童を盗撮し、SNSのグループで共有して逮捕された事件を受け、文部科学省の阿部俊子大臣は全国の教育委員会に対して教員の服務規律の徹底を求めました。 阿部俊子文部科学大臣: 「被害を受けた子どもたち、日々頑張っている教師の皆さんのことを思うと、本当に怒りを覚えるところでございます。断じて許せません」 阿部大臣は会見の中で、再発防止のために全国の教育委員会に対し、教員の服務規律の徹底を促す文書を通達し、全国の教育長を集めたオンライン会議で説明するとしています。 容疑者が勤めていた小学校 名古屋市教育委員会事務局人事部 中川朝晶部長: 「深くお詫び申し上げます。大変申し訳ございませんでした」 6月27日に記者会見を開いた名古屋市教育委員会は、逮捕された森山勇次容疑者が勤務していた名古屋市内の小学校の児童全員に対して、1学期中にスクールカウンセラーによる面談を実施するほか、校内に隠しカメラが設置されていないか、第三者による捜索を行うということです。 一方、森山容疑者が務めていた小学校では26日夜、保護者説明会が開かれました。説明会で保護者からの指摘を受けて、学校は27日、着替えをともなう体育について中止しました。 (愛知テレビ) 盗撮を受けていた子ども達の学校に対する不信感は想像を超える。これまでの「危機」とは質的に異なる問題であるような気がする。「通知」などで解決するようには思えない。日本の教育の構造的な欠陥が露呈しているのかもしれない。
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全国の生活保護受給者が立ち上がり、「いのちのとりで裁判」と銘打った訴訟で、最高裁は27日、国による引き下げ処分の強行を許さない判断を示した。政策プロセスを重視すべきだとする近年の司法の流れに沿い、厚生労働省が専門の部会に諮らなかったことを違法と認定。政治への忖度ともささやかれた行政 の決定が、12年を経てようやく是正に向かう。早急に「救済」を進めることが国の責務となる。 きっかけは世間の激しいバッシングだった。人気お笑い芸人の母親が約15年間、生活保護を受給していることが明らかになり、制度の在り方が問題視された。当時野党だった自民党は2012年12月の衆院選で「10%引き下げ」を公約に掲げ、政権復帰を果たした。 国の動きは早く、翌月には減額を明言。さらに約半年後には引き下げが始まった。反発する受給者側が起こした訴訟は29都道府県に拡大。過去最大の減額が「政治的思惑によるものだ」と批判した。 最高裁はこうした経緯について触れなかったが、国の責任を否定した地裁や高裁の判決ですら「自民党の政策の影響を受けていた可能性を否定できない」 「政治的判断が契機の一部だった」と言及していた。 原告団によると、引き下げを巡る今回の訴訟とは別に、生活保護の基準自体の違法性が争われた裁判で過去に受給者側が勝訴したのは2例だけ。いずれもその後覆され「行政の広い裁量」に阻まれてきた。 そうした状況で、今回受給者側勝訴の下地となったのが、12年の最高裁判決だ。生活保護の老齢加算廃止が争われた訴訟で「判断の過程と手続きに過誤や欠落があるかどうか」という枠組みを示した。「行政訴訟における到達点」(原告団)とも評価される。 国側は上告審弁論で、12年判決に依拠すべきではないと主張したが、27日の最高裁判決はこの枠組みを踏襲し、違法との判断を導いた。ある民事裁判官は「判断枠組みを否定しなければならないほど、国側は追い込まれていたのではないか」と推測した。 「重く受け止めるしかない」「ぼろ負けだ」。厚労省幹部らは最高同裁判決の衝撃を口にした。引き下げが違法と認定された以上、原告だけでなく受給者全体への対応を迫られるとみられる。当時の記録の確認や、既に死亡した人の扱いなどを決めなければならず、記録の不備などがあれば「救済」からこぼれ落ちる人が出かねない。 さらに、低所得者支援の対象になるかどうかの線引きに生活保護基準が使われているため、中国残留孤児への給付金など国の47制度にも波及する可能性がある。“清算”は広範に及びそうで、厚労省幹部は「途方もない作業を現場に強いることになる」と漏らした。 13年の引き下げ当時、専門部会で部会長代理を務めた日本女子大の岩田正美名誉教授(社会福柾学)は「政治主導で、社会保障全体が削減ありきで進められた」と振り返る。行政裁量に歯止めをかけた今回の判決を評価した上で「専門的な議論をする際は客観的な根拠に基づいて決めるべきだ」と、今後の行政の在り方に注文を付けた。 生活保護基準の変更には、正当化するに足りる根拠が必要だと明言した意義のある判断だ。最高裁は物価下落を反映する「デフレ調整」を引き下げの根拠とするには「専門的知見に基づいた十分な説明が必要」とした上で、国は合理的な主張をしてこなかったと指摘した。今後、国は生活保護基準を決める際には根拠とする指標について判決が示した客観的な合理性や専門性を意識せざるを得ず、決定過程においてもより透明性が求められるだろう。 引き下げの根拠に物価のみを用いたことを断罪しており、今後の社会保障の在り方に多大な影響を与える判決だ。生活保護は、社会保障政策の根幹を担う。正しい算定基準に基づいた保護費を受け取れなかった人に対し、国は謝罪の上、さかのぼって差額を支給するべきだ。厚生労働相の判断が間違った原因につ いて検証委員会などを立ち上げて究明し、当事者の声を聞きながらあるべき基準を決めることが求められる。 小田原市で「福祉なめんなよ」のジャンパーが作られた時のことが蘇る。安倍政権が新自由主義的な方向を打ち出し民生への施策を削減する方向に舵を切ったことの影響は大きい。国の在り方を改める機会に参議院選は絶好の機会を与えているはず。
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東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の住民避難計画が了承され、再稼働に向けた国の手続きは事実上、終了した。政府は原発を最大限活用する方針の下、避難道路の拡充や財政支援をちらつかせ、唯一のハードルとなった地元同意を迫る。東電も6、7号機への核燃料装填を終え、足場固めを急ぐが、地元では避難計画の実効性を懸念する声が根強く、再稼働に前のめりな政府や東電への不満がくすぶる。 「新潟県は豪雪地帯。除雪作業など地域固有の課題に対応する必要がある」。石破茂首相は27日午前、官邸で開いた原子力防災会議で強調した。 内閣府や新潟県などは2015年、柏崎刈羽原発の避難計画策定に向けた作業部会を初めて開催。計20回の会合を重ね、今年5月に最終案を取りまとめた。政府と東電は1基を再稼働すると年間約1千億円の収支改善が見込めるため、再稼働を経営再建の柱に据える。地元の要望に応える形で「アメ」となる施策を次々と打ち出し、同意を促す狙いだ。 政府は昨年9月、柏崎刈羽原発の半径30キロ圏外に延びる6方向の道路の拡幅や橋梁の耐震化などを国の負担で進めることを決めた。与党の自民、公明両党は今月、原発周辺自治体への財政支援について、現行の原発半径10キロから30キロに広げる方針で一致。東電は、除排雪体制の強化や、原発事故時の避難所運営で国や地元自治体を支援すると表明した。 ただ東電は、11年3月に福島第1原発事故を起こし、21年には柏崎刈羽原発でテロ対策不備が発覚し事実上の運転禁止命令を受けた。地元では東電が再び原発を運転ずることへの不安が根強い。 県が今月開いた避難計画に関する住民説明会では、複合災害時に自衛隊などの支援が本当に来るのかどうかを疑問視する意見が出た。「なぜ再稼働を急ぐのか。住民の安全をないがしろにしている」と国の姿勢を批判する声も上がった。 重大事故時に住民避難の一翼を担うバスについて、避難計画に示された必要台数の確保が見通せないことも判明している。今年1〜4月に県内のバス事業者を対象に実施した共同通信の調査では、回答した事業者が保有するバスのうち、事故時に稼働できる台数は1割強にとどまる見通しだ。 地元同意は花角英世新潟県知事の判断が焦点となる。花角氏は27日午後、都内で取材に応じ、豪雪対応などを盛り込んだ避難計画に一定の理解を示しつつ「これで終わりではない。新しい知見が出れば見直す不断の取り組みを続けてほしい」と注文を付けた。 原発の再稼働にかかわる避難計画はおよそ机上の空論。仮に核施設への攻撃があったとすればほとんど非難すことはできないだろう。にもかかわらず、敵基地攻撃など「戦争の準備」をすすめる政府の姿勢は理解しがたい。
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林芳正官房長官は26日の記者会見で、トランプ米大統領が広島、長崎への原爆投下と米軍によるイランの核施設攻撃を並べて戦争を終結させた点で「本質的に同じ」と発言したことに関し、評価を避けた。一方、公明党の斉藤鉄夫代表はX(旧ツイッター)で「原爆投下を正当化する発言であり、極めて遺憾だ」と反発した。 林氏は、米国で原爆投下が第2次大戦を終わらせたとする見方があることへの見解を問われ「歴史的な事実に閥する評価は専門家によって議論されるべきものだ」と述べるにとどめた。 斉藤氏は日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の活動に触れ「『核兵器と人類の共存はできない』との言葉の重みを訴えていきかい」とも書き込んだ。 トランプ米大統領の思い付き発言にいちいち付き合ってはいられないとの思いが強い今日でる。しかし、原爆の投下が第2次大戦を早期に終結させたとする見解は無視できないであろう。戦争終結の機会はそれ以前にもさまざまあったはず、例えば沖縄戦の事実上の終結(これとて遅すぎるのだが)の機会も。しかし、日本側の事情だけではなく連合国側の思惑の中で終結が遅れていたこともある。いずれにしろ「原爆投下」に意義を見出すことは非人道的であり、イスラエルのガザ攻撃の理不尽と同じ。政府は、トランプ米大統領の発言訂正を求めるべきだ。
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水嶋一憲大阪産業大教授(メディア文化論) 切り抜き動画は視覚的に分かりやすく、受け手側が「面白い」や「許せない」といった、いっときの感情を抱きやすい。その結果、単一的な見方が急速に広まり、社会問題の複雑な背景が見えにくくなる傾向がある。 投稿者が受け手の感情を刺激し、収入を得るような「アテンション・エコノミー」では「誤解させた者勝ち」や「バズらせた(注目を集めた)者勝ち」が 常態化し、事実でなくても関心を引くストーリーが利益につながる構造となっている。 こうした傾向が顕著に表れているのが、排外主義やマイノリティー差別に関する発言だ。世界的な現象でもあり、多様な立場や価値観が重なり合う現実を 過度に単純化し、社会の分断や二極化を助長している。各地の選挙では、排外主義的な政党が議席を獲得しており、強い危機感を抱かざるを得ない。 アテンション・エコノミーにはうわさや陰謀論の拡散を加速させる側面がある。SNS上でのコミュニケーションが活発になるほど、社会的なつながりが 解体していくという逆説的な現象すら起きている。 選挙期間中の対応として、動画の収益化を一時的に制限する措置が必要ではないか。SNSや動画配信を担う巨大プラットフォーマーは、アテンション・ エコノミーを通じて膨大な広告収入を得ている。しかし、SNSはすでに社会インフラで、営利目的で私企業が運営し続けることには根本的な矛盾がある。 政治について考えるのは選挙期間中だけに限られない。単一的な視点に支配されがちなSNSを、多様な視点が共存できる公共インフラに変換する粘ぴ強 い取り組みが求めらる。プラットフォームを公共財として再構築する想像力が今こそ必要ではないか。 宇沢弘文は『社会的共通資本』で、水道や電気、公共交通などのインフラを社会的共通資本として位置付けた。そして、それを私的に利用することの制限を求めた。1970年代のことである。それから50年以上たつが、社会的なインフラの概念も大きく変化している。電脳空間、あるいは巨大プラットフォームも明らかに社会的共通資本として考察されなければならない。かつてハーディングの『コモンズの悲劇』が共有財の荒廃をとりあげ、公有か私有かのいずれかで問題を解決しようとした。その後このコモンズのガバナンスについて様々な議論が成熟しているはず。SNSをコモンズのガバナンス論として考える必要がある。
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京都勤労者学園(ラポール学園、京都市中京区)が実施した仕事と子育ての両立に関する意識調査で、双方とも妥協したくないと考える「完全両立」志向 の労働者が半数を占めた。子どもの就学や進学とともに両立の意識が強まるのが特徴。両立に対する意識の男女差も浮かび上がった。 京都府内の連合、総評傘下の労働組合員などを対象に実施し、1080人が回答した。製造業従事者が5割を超え、正社員が92・7%を占める。共働きの比率は58・9%。 両立について「仕事の量は減らさず、子育てもする」と答えた人が49・3%と最多だった。「仕事を減らし、できるだけ子育てに時間を使う」も45・1%と高く、「仕事に集中し、子育ては家族や施設に頼る」は2・9%にとどまった。 ただ、子どもの年齢によって両立の意識は変わる。―歳未満、3歳未満、就学前の子どもを持つ労働者は、子育てに時間を割きたいと考える割合が5割を 超え、小学生以上からは完全両立派が子育て重視を上回った。 子どもがいる女性は7割超が育児休業を取得し、このうち1割がパートナーも取得していた。男性の取得率は12・3%、うち4割が2週間未満だった。 仕事と子育ての両立で不安に思う点では、「子どもと一緒にいる時間の減少」が53・1%で最多だった。男女別では女性の59・O%が選んだのに対し、男性の最多は「経済的負担が大きい」の52・1%となり、意識の男女差が見られた。 同学園の担当者は「多くの職場は依然として子育てや介護などケアの責任を抱えていない労働者像(ケアレスマン)が基軸になっている」と指摘。「調 査から男女ともに在宅ワークや時短勤務を望んでいるのが読み取れる。多様な働き方に向けた抜本的な刷新が求められている」としている。 アンケートに答えた人はおおむね労働組合が組織している人だろう。労組の男女共同参画、時短などキャンペーンが一定浸透している層とみるべきだろう。おそらく未組織労働者の実態はこれよりも低い水準にならざるを得ないだろう。子育てだけではなく家事が未払い労働であることの意識は鮮明でないのではないだろうか。
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文部科学省は26日、大学院博士課程の学生に生活費や研究費を年に最大290万円支給する制度について、生活費の支援対象を日本人に限定する方針を固めた。これまでは支援内容に国籍による差を設けていなかったが、昨年度の受給者の4割が中国出身者を中心とする留学生だったことが国会で問題視され、有識者会議で対応を議論していた。 文科省はこの日の会議で「次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)」の変更案を提示。「日本人学生の経済的不安を除き、博士課程に進学してもらう事業の趣旨を踏まえた。留学生は私費留学も多い」と説明した。研究費は引き続き留学生にも支給し、安定的な収入を得ている社会人学生も新たに対象 とする。上部の委員会で了承を得た上で2027年度にも実施する。 制度は21年度に導入した。生活費として年180万〜240万円を支給し、研究費などと合わせて計290万円を受け取れる。文科省によると24年度の受給者は1万564人で、留学生は39%に当たる4125人。中国籍の学生は3151人で留学生の76%を占めた。 自民党の有村治子議員が今年3月の参院外交防衛委員会で、日本の学生を支援する原則を明確にし、留学生は優秀なごく一部に限定しなければ「国民の理解は得られない」などと指摘していた。 トランプ米政権による留学生受け入れの取り消しを背景に、政府は海外の優秀な研究者を受け入れる施策を進めている。その一方で留学生への支援を限定するのは方向性がちぐはぐで、制度設計として非常につたない。留学生を切ることで日本人が増える根拠もなく、ただ中国人留学生を入れたくないという排外主義的な世論に押されたと感じる。実質的にトランプ政権と似たような排除の思想は、中国だけでなく各国の学生や研究者に印象が悪い。優秀な人材が入ってこず、研究力がさらに沈んでいくのではと懸念している。 |
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【ハーグ共同】北大西洋条約機構(NATO)は25日、オランダ・ハーグで首脳会議を開き、加盟国の防衛支出を2035年までに軍関連インフラの整備費などと合わせて国内総生産(GDP)比5%とする新目標に合意した。トランプ米大統領が求めてきた線に沿った増額。米国は日本など他の同盟国にも同様の要求に応じるよう圧力を強めるとみられ、世界的な軍拡への懸念も高まる。 NATOの根幹である集団防衛を規定した北大西洋条約第5条の順守について、トランプ氏は24日「定義による」と発言して物議を醸したが、会議終了後、順守を明言した。米国のイラン核施設攻撃で世界の安全保障環境が不安定化する中、NATOに懐疑的なトランプ氏の2期目就任後初の首脳会議は、結束の 演出に苦心する展開となった。 トランプ氏は25日、首脳会議を「大成功だった」と評価した。会議冒頭、ルッテNATO事務総長は「あまりにも長い間、米国だけが重荷を負ってきたが、きょう変わる」と述べ「あなたがこの変化をもたらした」とトランプ氏を称賛した。 トランプ米政権は防衛費に関し、欧州側が応分の負担をしていないと不満を募らせてきた。各国の防衛費をGDP比2%とすることがNATOの現行目標だが、5%へ引き上げを要求。これに対しNATOは、人員や軍備に関する中核的な防衛費を3・5%とし、軍も利用する道路・港湾施設の整備やサイバー攻撃対策などへの1・5%を加えた計5%を提案した。NATOは29年に進展状況を検証する。 ルッテ氏は、今後も高まるロシアの脅威に対抗するためと訴え、各国と調整した。防衛費のGDP比が最も低いスペインは数値目標設定に抵抗。ルッテ氏は22日付の書簡で、防衛能力向上に向けたスペインの対応には「柔軟性」が与えられるとし、例外扱いを事実上認めた。 閉幕時に発表した首脳宣言は、ウクライナ侵攻を続けるロシアを「長期的な脅威」と位置付け、ウクライナへの支援継続を再確認した。 【ハーグ共同】北大西洋条約機構(NATO)は防衛支出の拡大に合わせ、戦闘機や戦車など防衛装備品の生産能力の増強を進める方針だ。ルッテ事務総長は装備品が「攻撃の抑止力になる」と強調。防衛産業強化に向け、日本などパートナー国との協力拡大に期待感を示す。 ルッテ氏は装備品の供給が「全く足りない」と指摘。欧州の防衛大手や新興企業が持つ革新的な技術を生かすことに加え、インド太平洋など地域の枠を超えた連携が重要になるとの認識を示す。 NATOはロシアの侵攻を受けるウクライナに兵器や弾薬を支援しているが、ウクライナの兵器不足は深刻だ。日本とは防衛装備品のサプライチェーン(供給網)強化に加え、人工知能(AI)活用やサイバー攻撃への対処といった分野で手を組む余地があるとみる。 NATOの最大脅威はロシアだ。口シアのウクライナ侵攻では、北朝鮮や中国も大きな役割を果たすとみている。NATO当局者は、欧州とインド太平洋の安全保障は切り離せないと指摘し「私たちが協力すれば、より安全を確保できる」と強調する。 日本は英国、イタリアと次期戦闘機を共同開発するなどNATO加盟国との関係を深めている。 【ニューヨーク共同】国連創設80年を迎えるに当たり、組織改革や計画見直しを進める特別チームを率いるライダー国連事務次長らは24日、事務局職員の2割を削減する方針を公表した。2千人規模となる見通し。国連児童基金(ユニセフ)や国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)など140を超える関連機関や組織の統廃合も検討していると説明した。 「米国第一」を掲げるトランプ米政権が国連への拠出金の削減や凍結を進めており、対応を迫られていた。米国は国連予算の最大拠出国で、2025年の通常予算約37億2千万ドル(約5400億円)のうち、国別分担率で上限の22%。日本は3位で約6・9%。2位は中国で約20%。 ライダー氏らはニユーヨークの国連本部で加盟国に向けて改革の検討状況を説明した。主に国連本部やジュネーブの国連欧州本部で事務を担当する職員ら約1万1千〜1万4千人のうちの約2割に当たる2千人規模を削減。26年の通常予算を25年予算より15〜20%程度減らしたいとしている。事務機能の移転も選択肢だとしている。 6月25日付【深層表層】にはイスラエルがイランとの訂正に応じた最大の理由は「問題は戦費だった。米紙によると、最大のコストは迎撃ミサイルで、1日当たり最大2億ドル(約290億円)」とある。ユニセフ
によると、気候変動による影響によるリスクを受ける子どもは10億人以上に上るとされる。「2億ドル」の消費をどこに向けるかは真剣に考えられていいはず。そして、「2億ドル」は誰の懐に入るのだろうか。「米国の国防市場規模は2024年に3,097億7,000万米ドルに達し、年平均成長率3.58%で成長し、2029年には3,673億米ドルに達すると予想される」との見解もある。
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厚生労働省は25日、仕事によるストレスが原因で精神障害を発症し、2024年度に労災認定を受けたのは1055件(前年度比172件増)だったと発表した。6年連続で過去最多となり、初めて千件を超えた。このうち自殺や自殺未遂に至ったのは88件(同9件増)。原因別では、初めて通年で集計したカスタマーハラスメント(カスハラ)が108件で、全体で3番目の多さだった。 原因別の最多は「パワハラ」224件、次いで「仕事内容・仕事量の大きな変化」119件。カスハラは23年度から原因項目に追加され、7ヵ月分で52件だったが、通年の今回は、セクハラの105件を上回った。今回の108件中78件が女性だった。 年齢別では、40代283件、30代245件、20代243件と続く。業種別では「医療、福祉」270件が最も多かった。請求件数についても3780件(同205件増)で過去最多となった。 厚労省の担当者は「会社内の人間関係、環境の変化に強いストレスを抱えている労働者が一定数いる。検証・分析が必要だ」と見解を述べた。 厚労省は、過重労働による脳・心臓疾患の労災認定件数も発表し、24年度は241件(同25件増)となった。死亡は67件(同9件増)。業種別では「運輸、郵便」88件が最も多かった。 働くことが精神的なストレスをため込む。とりわけ人相手の仕事がその傾向が強い。ということが数字から見て取れる。働くことは他者との関係の中で本来は充実感を得られるはずなのだが、現在の働き方の中では逆にストレスが増加する。「労働の疎外」ということばが当てはまるけれども、教員の働き方改革だけではなくすべての人の働き方が改革されなければならない。おそらく、お金との関係をどう改めるかということが本質的な問題ではないだろうか。
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京都市立小の男子児童(11)が同級生から暴力を受けて難聴になったとして、同市教育委員会がいじめ防止対策推進法の「重大事態」に認定していたこ とが、24日までに分かった。男子児童は不登校になり転校した。京都市立学校では、同法施行から24年度までの12年間で、今回の事案を含めて40件の重大 事態が発生しているが、これまでは学校や学校設置者の市教委が調査に当たっていた。今回は第三者委員会が調査する初めてのケースとなる見通し。 市教委によると、男子児童は4年生だった昨年、複数の同級生に背中を押されたり物を投げられたりした。11月には、背後から首を絞められ、頭を殴られた後に右耳が聞こえづらくなったと訴え、病院を受診したところ外傷性の感音難聴と診断されたという。翌月から不登校になり、現在は別の小学校に通っている。 学校の聞き取りに対し、同級生の1人が男子児童の首を絞めたことを認めたことや、男子児童の欠席が30日以上続いたことから、市教委は3月、重大事態に認定した。今後、男子児童の保護者の要望を踏まえ、学識経験者らでつくる市いじめ問題調査委員会で調査する方針。 男子児童の母親(41)は「以前から暴力を訴えていたのに、学校は子どもの安全を確保してくれなかった。第三者委員会で公平に調査してほしい」と話している。 市教委生徒指導課は「学校の対応への不信などから不登校が長期化し、転校に至ったことは重く受け止めている。第三者委員会の調査を通して、事実関係を精査し、再発防止に努める」としている。 「京都市いじめの防止等取組指針」には、「(2)いじめに対する措置 市立学校が把握し対応する事案について教育委員会が情報を共有するとともに,指導主事等を派遣するなど必要な支援を行っていく。また,複数の市立学校が関わる事案については,当該市立学校が連携して対処するよう必要な指導助言及び支援を行う。」とあるが、今回の事案ではこのことが有効に行われていなかったことを示すものなのか。常套句となっている「重く受け止め」とはなにをあらわすのか、三者委の調査結果を受けるであろう市教委の対応に注目しなければならない。
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沖縄戦の慰霊碑「ひめゆりの塔」の展示説明を巡り、自民党の西田昌司参院議員が「歴史の書き換え」などと発言した問題は、撤回と謝罪に追い込まれた今も批判の声がやまない。「沖縄であったことを知ってほしい」「ひめゆりの隊の声に触れて」。史実を軽視した政治家の強弁に、京都でも研究者や沖縄戦体験 者らが、改めて沖縄戦の実相を伝えることの大切さを訴えている。 14日午後。京都市内で開かれた学習会で、沖縄国際大非常勤講師の川満彰さん(65)=沖縄県うるま市=は「当時の政治のあり方に対する反省がないから『歴史の書き換え』みたいな話が出てくるのだろう」と西田氏の姿勢を非難した。 川満さんは「軍官民共生共死」の思想の下に沖縄戦が遂行され、県民の4分の1が犠牲になったと強調。国の命令を地方で忠実に進める役割を担った官選知事が、義勇隊を創設するなどして住民を戦場へと送り込んだとし、「戦争を起こしたのは軍というイメージがあるが、大きな責任は政治にある」と指摘する。 学習会に参加した男子学生(22)は昨夏にひめゆり平和祈念資料館を訪れた。「誰も手を加えることのできない生の声があった。西田氏の発言は、生き残った罪悪感を抱えながらも後世に伝えようと勇気を振り絞って証言した人たちの思いを踏みにじるものだ」 沖縄戦を生き延びた人も、「ひめゆり」の展示説明を歴史の書き換えなどとする見解に「腹が立つし、残念」と憤る。 沖縄本島に米軍が上陸した1945年4月以降、糸満市で暮らしていた小澤高子さん(88)=山科区=は銃弾をかいくぐり、一家でガマ(自然壕)からガマヘと逃げた。途中、負傷した兵士に足を引っ張られ、謝りながら振り払ったこともある。数え切れないほどの遺体を目にした。 肺炎にかかった時は日本軍の衛生兵の手当を受けて九死に一生を得た。地上戦が始まる前から親しかったこの衛生兵は「死ぬんじやないよ」と言い残し、戦場に戻った。 一方、敵に見つかることを恐れた日本兵が、ガマで泣く子どもを殺すよう母親に命令したという証言も多い。小澤さんと同じように子どもの時にガマに避難した友人の首の傷痕は、その時のものだと聞かされた。日米どちらの兵士が正義か悪かと単純化されることに違和感を抱き、「沖縄で何があったのか知ってほしい。そしてウートウートウ(祈り)をささげてもらいたい」と願う。 立命館大教授の小川真和子さん(56)=右京区=の大叔母(故人)は沖縄師範学校の教員で、教え子がひめゆり学徒隊だった。一命を取り留めた女学生たちは、大叔母ら複数の教員から背中を押されて体験を証言した。そして沖縄の悲劇が広く知られるようになった。小川さんは「シナリオに従って歴史を修正しようとする人はいるだろう。あらがうためには地道に体験を語り継ぐしかない」と力を込める。(浜田大地) 6月23日は沖縄での組織的戦闘が終わった「沖縄慰霊の日」。戦時下を生き抜いてきた人たちの生の証言は数が少なくなっていく。それを過去の話としてしまってはならない。むしろ現在世界各地で起こっている戦時下での市民生活への想像力の源としていくことが本当の「慰霊」になるのではないだろうか。
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【ニューヨーク共同】国連は19日、グテレス事務総長が安全保障理事会に提出した「子どもと武力紛争」に関する年次報告書を公表した。パレスチナ自治区 ガザヘの攻撃を続けるイスラエルの軍などによる子どもへの重大な人権侵害は、昨年報告された5698件から7188件に急増した。世界全体でも25%増加し、4万1370件の侵害を確認。過去約30年で最悪水準だとしている。 イスラエルは昨年に続き、子どもの人権を侵害した国や組織の指定一覧に掲載された。指定一覧は人権団体などから「恥ずべきリスト」とも呼ばれる。ウクライナ侵攻を統けるロシアは2023年から一覧入りした。 報告書は、イスラエル軍による人権侵害の例として、人道危機が深刻化するガザヘの交接物資の搬入拒否が2263件に上がったと認定。東エルサレムを含むヨルダン川西岸でも2828件の搬入拒否があった。またパレスチナの子ども90人を実弾や空爆で殺害し、1507人を負傷させたと指摘した。 殺害されたパレスチナの子ども1259人については、誰が殺害したのか調査を続けている。 ウクライナ侵攻では、口シア軍などが68人の子どもを殺害、696回にわたり学校や病院を攻なしたと認定した。アフリカのコンゴ(旧ザイール)では約4千件、ソマリアでは約2600件の人権侵害が確認された。 1年前の報告書だが「『子どもと武力紛争』に関する国連報告書」にも、「現在、世界で約4億6,800万人の子どもたちが紛争下で暮らしています」とある。状況はそれ以上に悪化している。子どもの視点から見れば「大人の都合」によって戦争がもたらされていると映るだろう。大人からは「未来の子どもたちのため」という反論があるかもしれない。しかし、人は今を生きるしかないのだ。
【インサイド】。
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2027年度入学から実施する京都府内の公立高新入試について、府と京都市の両教育委員会は20日、現在の前期選抜に相当する「独自枠」の検査項目一覧を公表した。前期選抜からの大きな変更はないが、実施校が同一問題を出す「共通学力検査」は現行の英語、数学、国語の3科目から理科と社会を加えた 5科目に増やす。各校の学科・方式ごとの募集定員割合や検査項目の配点比率などは12月初旬までに示し、来年夏公表の募集要項で内容を確定する予定。 独自枠を実施するのは、全日制56校(学舎・分校含む)と昼間定時制5校。共通学力検査や中学の成績を基にした報告書のほか、各校の判断で、独自の試験である「独自学力検査」、面接や作文(小論文)、実技検査などを課す。 独自検査を課すのは、大学進学に重きを置く「普通科系専門学科」を置く全日制11校と昼間定時制2校。独自検査のみを実施する桃山の自然科学科と城南菱創の教養科学科、清明と京都奏和の普通科を除いては、共通検査と独自検査を組み合わせて実施する。 27年度から専門学科のみの高校となる堀川と嵯峨野および西京は、現在は5教科全てが独自検査だが、27年度は英数国が独自検査で理社は共通検査を課す。 紫野のアカデミア科の検査は、共通5科目と独自3科目で計8科目となるが、独自検査の問題量や検査時間を必要最小限とする方向で検討。南陽のサイエンスリサーチ科は独自検査の英数国をセットで実施するなどして受験生の負担軽減を図る。 新入試は、2月中下旬の計2日間を予定する。現在の前期選抜と中期選抜を一本化して、新「前期選抜」を課す。独自枠と中期選抜にあたる共通枠で最大4校4学科の出願が可能。 実施校の詳細は府・市教委のホームページ(HP)で公開している。 これまでの京都の公立高校の選抜システムは何度も「改良」を重ねてきたがそのたびに複雑になり、結果として学校間格差を生んできた。今回の方向も大きくは違わないのだが、選抜システムでより明確に「格差」が見えるようになった。
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【ワシントン共同】米国務省は18日、世界各国の米大使館で5月から停止していた学生ビザ取得のための新規の面接予約を近く再開すると発表した。ビザ申請者に対し、包括的で徹底的な審査をするため、交流サイト(SNS)のアカウントを全て公開設定にするよう求めた。米国留学を希望する日本の学生に影響する。言論の自由を抑圧する恐れもある。 新たなSNSの審査方針により、米国の市民や文化、政府、制度、建国の理念に対する敵意の兆候がないかどうかを確認する。アカウントを公開設定にしなかった場合、特定の活動を隠そうとしていると見なされる可能性がある。 米政府が予約停止の対象にしていたのは、一般学生向けのFビザ、職業訓練プログムを受講する学生用のMビザ、交流訪問者向けのJビザ。 国務省担当者はSNS審査について「米国の大学をより安全にする」と主張しワシントン・ポスト紙は、ルビオ務長官が各国の米大使館に送った公電で、新たな手続きは5営業日以内に姶まると説明されていると報じた。公電は、大使館員らにかかる負担が大きぐなるため、面接件数を減らす必要があるかもしれないとも言及した。 トランプ政権は、パレスチナ自治区ガザの戦闘を巡りイスラエルに抗議する学生デモが頻発したことで、反ユダヤ主義を助長する恐れがあるなどとして留学生の受け入れを厳格化している。 学生デモ取り締まりを拒否したハーバード大を敵視し、補助金凍結や留学生の受け入れ資格停止の圧力をかけベハーバード大の訴えを受け、連邦地裁が新規留学生の入国を一時的に停止するトランプ大統領の布告を一時差し止めるなど、対立が続いている トランプ大統領の独断専横が毎日のニューに登場する。「SNSのアカウント公表」は民主主義の国としては最低の施策だ。ただ、14日の軍事パレードに反対し 、「ノー・キングス(=王様はいらない)」をスローガンにした大規模抗議デモが全米およそ2000か所で行われた。アメリカの良心の健在を示しているのかもしれない。しかし、世界的に分断が大きく広がっていることには間違いがない。包摂をめざす社会が必要。
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次期学習指導要領に向けた改定作業を行う中教審特別部会が16日開かれ、文部科学省は指導要領が定める学習内容について、必要に応じて精選すること を含めて見直す方向性を示した。肥大化が指摘される教科書は、内容や分量を見直すべきだとの考えを示した。 文科省によると、指導要領の文字数は約30年前に比べ倍増。教科書のページ数は約20年前に比べ小学校で約2・7倍、中学で約1・8倍に増えており、学校現場の負担増が指摘されている。 文科省は、教育課程の検討に当たっては「過度な負担が生じにくい在り方の追求や、教師と子ども双方の余白の創出が必要」と説明。指導要領の学習内容を整理する際は、各教科の本質的な理解の獲得に重点を置き、必要に応じて精選することを提案した一方、「内容の削減を行うという趣旨ではない」と強調した。 委員からも「(精選は)削減のためではなく、幹と枝葉を明確にするということだ」などの意見が出た。 教科書について文科省は、網羅的に指導すべきだとの意識が教員の中で根強く、授業の創意工夫が失われている側面があると指摘。教科の中核的な概念な どをつかみやすいものに精選することを考えるべきだとした。 かつての「ゆとり教育」の顛末がどのように総括されているのか不明な議論。「余白」ということばが何を意味するのかこれまた不明。問題の根本は「学習指導要領の法的拘束力」にある。すくなくともナショナルスタンダードの大綱的基準扱いが必要で、各学校のカリキュラムの編成権を強化することではないか。
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京都新聞社が京都府内の全26市町村を対象に実施した地方創生に関するアンケート結果や政府の「地方創生2・O」の評価について、人口減少問題に詳しい京都橘大の岡田知弘学長に聞いた。(聞き手・小野俊介) −地方創生交付金の効果を実感している自治体が8割に上る一方で、交付金効果に疑問の声もあった。 「施設ができたとか移住者が増えたとか、目に見えて実感できた自治体は、交付金の効果があったと言うだろう。一方、多くの自治体で人口が減少しているのは確かで、原則3〜5年で打ち切られる交付金効果に疑問や懸念の声が出るのは当然と思う」 −自治体が効果があったとする事業の評価は。 「窓口申請のキャッシュレス化を挙げている事例が目立つが、これは人口減少対策にはならない。むしろ、人口減少を前提に少ない職員でも対応できるという守りの政策だ。コミュニティーをつくる施設整備についてはそれなりに効果はあると思うが、将来的に運営を続けられるかは別の話で、懸念は残る」 ―東京一極集中と人口減少が加速化している要因をどう考えるか。 「経済のグローバル化による地域産業の衰退と構造改革路線が主な原因だ。農林水産業や製造業が落ち込んだことに加え、市町村」合併で地方の市役所や町役場がなくなり、雇用が減った。さらに、労働分野の規制緩和で派遣労働者ら非正規雇用が増え、雇用の不安定化と低所得化が未婚率を押し上げている」 −地方創生2・〇の評価は。 「東京一極集中と人口減少がなぜ起こるかという分析が不十分なまま、地方創生かスタートしてしまった。いまだに政府はその検証を十分していない。それがない限り、いくら施策を並べたとしても効果は期待できない −政府は「(都市部などに住みながら継続的に別の地域に関わる)関係人口」の増加に向けた数値目標を定めた。定住人口増を断念しているように見える。 「定住人口減はやむなしというのが大前提になっている。関係人口増にシフトすると人口の奪い合いにはならないが、地域づくりに責任持って取り組んでもらえる保証がなくなる。日々の山林や農地の管理、災害時の対応などに不安がある。あくまで定住人口を増やすというところから逃げてはいけない」 ―定住人口を増やすには。 「全国市長会の調査で、人口が増えている地方自治体はコミュニティーがしっかりしているというデータがある。国はこれまでの経済政策や構造改革路線の失敗を認めた上で、住民の幸福度をいかに高めるかということに目標を置き、自治体を財政支援すべきだ。自治体側は東京や海外資本の企業誘致ばかりに躍起になるのではなく、雇用を生み出す中小企業をサポートする姿勢を条例制定などで示してほしい」 京都新聞社が京都府内の全26市町村に実施したアンケートでは、全国で1.3兆円もの巨費を投じた地方創生交付金や石破茂首相の「地方創生2.0」を評価する声が多かった一方、「交付金頼みの地方創生」に疑問や懸念を訴える声も目立った。 「交付金が下りたから、事業を無理くりやっていた部分はあったかもしれない」。長岡京市の担当者は地方創生交付金の「効果」について問われると、そう本音を漏らした。約860万円の交付金を活用し、新たな観光イベントやスタンプラリーなどを開催してきたが、3年間限定の交付金がなくなると同時に事業は終了。「地方創生の本来の目的は『定住・移住』につなげること。一時的に交付金が増えても、根本的な開題解決にはならないのでは」と担当者は首をひねる。 木津川市も「まちづくりに取り組む団体や個人の活動を後押しでき、交付金に一定の効果はあった」とするが、交付金を原資に発足した十数団体のうち、交付終了後も活動を続けているのは約半数にとどまる。「国は稼ぐ力を求めているが、十分な財源がなければ『独り立ち』は難しい」。担当者は頭を悩ませる。 26市町村の交付金の主な使途を見ると、試行錯誤の一端がうかがえる。子育て支援センター(宮津市、約1億円)や里山交流研修センター(綾部市、約1億3600万円)といった施設整備のほか、窓ロサービスのキャッシュレス化(城陽市、約180万円)などデジタル推進に充てる自治体が目立ったが、中には民間保育園が市に給付費を申請する事務の負担軽減(長岡京市、約220万円)など市民に直接影響しない事業も。精華町の担当者は「国の地方交付税や交付金に依存している現状は、地方独自の創意工夫を阻害している。地方への税源移譲が必要だ」と訴える。 また、交付金申請には事業の「新規性」が求められるため、既存事業に交付金を充てることはできない。そのため、交付金を得るために、新規事業を立ち上げるケースもあるという。ある自治体の担当者は「必要性や効果が高くない事業でも、交付金がもらえるから実施したことがある」と打ち明け、本来は地方創生の「手段」であるはずの交付金申請が「目的」になっている側面がうかがえる。 交付金の恩恵に一喜一憂する自治体もある。和束町では、美しい茶畑の景観や茶文化を体験できる農泊体験や移住者向けのツアー、茶農家のネット販売支援事業などに年間約300万円の交付金を充て、まちの魅力をPRしてきた。結果、2024年度の観光客数は約18万8千人と10年前の2倍以上に急増。観光消費額は約5倍の4億9千万円に上った。担当者は「町の地道な取り組みもあり、知名度が向上した」と胸を張る。 一方で、町の人口は約10年前から毎年100人ほど減少し、昨年1月1日時点で3499人。現在、高齢化率は49・7%と府内3番目の高さだ。「外貨」でまちが潤う一方で、住民が減り続けているいびつな状況に、担当者は危機感を隠さない。「人口減少を食い止め、定住者を増やすことが杢米の地方創生だが、このままではいつかほまちが消えてしまう」 原則的な議論ではあるが経済学者・宇沢弘文は『社会的共通資本』(岩波新書)で、「利潤動機が常に倫理的、社会的、自然的制約条件を超克して全体として社会の非倫理化を極端に推し進めていった」と分権的市場経済の矛盾を指摘している。地方にお金を積むことで活性化できるとしていた自公政権、安倍政権の経済政策を総括し転換することが今求められているだろう。
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今春の京都府内の公立高の卒業生のうち、京都大に合格したのは京都市内の高校出身者が8割強を占めることが府と市の両教育委員会への取材で分かった。大阪大や京都府立医科大医学科、神戸大についても同様の傾向がみられた。京都市内の高校の卒業生は府内全体の約半数だが、その割合を大幅に上回って難関国公 立大の合格者が同市内の高校に偏在する現状が浮き彫りになった。(以下略) 京都市内にある京都府立嵯峨野高(京都市右京区)、京都市立堀川高(中京区)、市立西京高(同)の各普通科系専門学科を今春卒業した人の居住自治体(出身中学)は、京都市外の割合が3〜4割に上ることが分かった。進学コースである専門学科は原則、通学圏を越えて府内全域からの受験が可能。京都市外の学力上位層の一定数が地元の高校ではなく、同市内の進学校を選択しているとみられる。(生田和史) 府内全域から受験できる府立・京都市立の専門学科を置く京都市の計9校について居住自治体(出身中)を調べた。 堀川の専門学科「探究学科群」の卒業生160人のうち、京都市は104人、乙訓が16人、山城が38人、口丹が2人で市外の割合は35%だった。 西京の「エンタープライジング科」は265人中188人が京都市内で、乙訓が13人、山城61人、口丹2人と市外が計76人で28・6%だったが、京都市在住の同高付属中からの内進生約120人を除くと52・4%と半数を超す。 嵯峨野は「京都こすもす科」の194人のうち京都市95人、乙訓29人、山城39人、口丹17人、丹後2人で市外計87人の割合は44・8%に上った。 このほか、鳥羽の「グローバル科」は市外割合が42・5%、京都工学院の「フロンティア理数科」が15・3%、紫野の「アカデミア科」が18・5%、塔南の「教育みらい科」(24年度で閉校)が27・5%だった。 学科別の割合を公表していないが、学校全体で桃山は31・2%、山城20・7%だった。 25年度入試の各通学圈の専門学科設置校数と定員の内訳は▽「京都市・乙訓」8校計860人(乙訓地域には設置校なし)▽「山城」3校190人▽「口丹」1校40人▽「中丹」2校80人▽「丹後」1校20人―。京都市内の高校が全体定員の7割を占めており、京都市への生徒流入を入試制度が支えている面もあると言えよう。 進学塾の京進の担当者は、「(同社が亀岡市や乙訓、山城地域に設ける各校の)学力トップ層は地元校ではなく、京都市内の進学校を志望する。学習意欲が高い仲間が多い、自分の未来につながる、そんな学校は限られている。学校が集めているというより、必然的に子どもが選ぶ」と話す。専門学科が設置され、 高い進学実績を挙げ始めた2000年代後半ぐらいからこの流れは定着したとする。 京都の公立高は、国公立大の合格者が100人を超える「スーパー高校」と、合格者数が0〜1桁台の高校との二極化の様相を呈している。 100人を超す8校で、全体の合格実績の6割を占める。8校のうち6校は京都市内にあり、地域バランスはいびつな状況にある。 今春の卒業生の国公立大合格者は府立1289人、京都市立は395人。通学圏別では「京都市・乙訓」が64.5%の1087人(京都1076人、乙訓11人)、 「山城」は14.7%の249人、「口丹」は3.6%の61人、「中丹」は11.3%の191人、「丹後」は5.7%の96人だった。 公立全日制高計56校のうち国公立大合格者が100人を超えるのは、嵯峨野(167人)、桃山(148人)、堀川と西京各138人、城南菱創(110人)、 福知山(109人)、洛北(106人)、山城(103人)の計8校で、京都市内が6校、山城、中丹が各1校。 100人未満は、50〜99人が3校、10〜49人が15校、0〜9人が30校と半数以上を占めた。 各校の卒業生全体に対して合格者の割合は堀川57.7%、嵯峨野53.8%、西京52.0%が半数を超え、城南菱創47.6%、福知山46.7%、桃山43.0%、洛北40%など100人を超える高校は圧倒的に高い。O〜9%台は35校だった。 岡邊健京都大教授(教育社会学)の話 京都府内に限らず、日本では育ちの違い(社会階層)や居住地が進学する高校を規定する側面が強い。両親が高学歴・高収入といった上位階層であれば、子どもは大学進学実績で定評のある進学校に進みやすい傾向がある。京都市内の一部の公立高が、市外の学力の高い生徒を集めている現象は、教育熱の高い家庭の子どもが、地元の高校を避けて、京都市内の高校を選んだ結果生じている。 優秀な子どもが地元から逃げていくことは「ブライト・フライト」と呼ばれ、日本以外でも問題になっている。出て行かれる地元の学校が評判を落とし、格差が拡大する悪循環となることが多いからだ。国の高校授業料無償化政策で、来年度から世帯収入に関係なく、私立高に通う生徒の就学支援金が45万7千円に引き上げられる方針で、公立が私立に生徒を取られる可能性が高い。不人気校が減らされる流れを懸念している。 部活動を頑張りたい、専門学校に進みたいなど、生徒や保護者が高校に求めるニーズは多様だ。進学実績ばかりに重きを置くことなく、地域間の均衡に目配りすることが教育行政には求められる。 ◇ 田垣内義浩立教大助教(教育社会学)の話 難関大合格者数が多い高校の教員は真剣に生徒の教育に向き合っており、努力の結果が進学実績の向上につながっている可能性は高い。ただ、難関大合格 者数など高い進学実績をみて、この高校は高い教育力があると判断することには留意が必要だ。進学実績の高い高校には学力の高い生徒が集まり、自律的に難関 大を目指し、進学塾に通う生徒も多いだろう。その場合、高校教育が難関大進学に向けて生徒を伸ばす余地が少なくなるかもしれない。公立高校のあり方を考え る際、高校教育の出口である難関大合格者の多さを評価する方向に向かうだけでなく、入口から出口にかけての生徒の成長幅をみるなど評価の軸は多様であるべ きだ。 一極集中を回避することを目的に政府は今月3日、地方創生に関する有識者会議を開催した。そして地方にかかわる「関係人口を1000万人」とする10年後の数値目標をあげた。しかし、難関大学の進学率向上を目指す私立を含めた高校の教育方針はそれに適うようなものになっているのだろうか。「学力」が将来の「幸せ」につながるという固定観念を払しょくする責務も公立高校にはあるはず。進学校の一極集中を是正する高校改革がまずもって必要なのではないだろうか。
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イスラエルがイランの核関連施設の空爆に踏み切った。イランが核武装する「差し迫った脅威がある」と一方的に主張、力ずくの先制攻撃を正当化した。トランプ米大統領にとっては、4月に始まった米イランの核協議が行き詰まり、イスラエルを制止することにも失敗。歯止め役が機能せず、双方が強硬路線に突き進んで武力衝突が一気にエスカレートしかねない。 「世界で最も危険な政権に世界で最も危険な武器を持たせることを許さない」。イスラエルのネタニヤフ首相は13日、厳しい表情で訴えた。 イランが核爆弾9個分の高濃縮ウランを製造し、兵器化の段階に入っていると指摘。弾道ミサイルに搭載されれば欧州や米国も射程に入るとし「われわれの行動で世界はより安全になるだろう」と豪語した。米国との核協議は「イランの時間稼ぎだ」と切り捨てた。 トランプ氏は核協議の交渉期限を60日と設定した。協議初日の4月12日を起点とすると、期限は6月10日。イスラエルは米国の面目を保つため、この日が過ぎるのを待っていた可能性がある。 2023年10月にイスラム組織ハマスから奇襲を受け、パレスチナ自治区ガザ攻撃を始めたイスラエルはハマスのほか、レバノンの民兵組織ヒズボラの弱体化に成功。両勢力の「黒幕」(ガッツ国防相)と位置付けるイランに狙いを定め、好戦的な態度を強めていた。 核兵器保有阻止のためウラン濃縮の停止を求める米政権に対し、イランは核開発は平和利用目的だと一貫して主張。濃縮技術は最高指導者(メネイ師を頂点とする革命体制の成果の一つで、濃縮停止受け入れはイランの「レッドライン(越えてはならない一線)」だ。 10年以降、イスラエルの関与が疑われる核科学者の暗殺は少なくとも5件発生しており、イラン指導部にとってウラン濃縮は「殉教者の血」(ペゼシュキアン大統領)の上に獲得したものだ。 イラン外交筋は「米国との核協議が続いている間は攻撃はない」とみていた。だが、今回の攻撃では最重要施設に位置付けるウラン濃縮施設が標的となり、6人の核科学者が死亡。安全保障体制のもろさが露呈した。 イランが反撃を抑制すれば保守強硬派の反発を招き、体制が揺らぎかねない。ハメネイ師は13日、「シオニスト(イスラエル)は苦痛に満ちた運命を覚悟しなければいけない」と強気を示した。 トランプ氏は核協議の妨げになるとしてイスラエルに攻撃を思いとどまらせてきた。米紙ウォールストリート・ジヤーナルによると、9日にはネタニヤフ氏との電話会談で攻撃に反対。12日、交流サイト(SNS)に「イラン核問題の外交解決に取り組み続ける!」と投稿した。攻撃はその数時間後に始まった。 直前まで「ディール(取引)」を追求する構えだったトランプ氏。イスラエルから事前の説明を受けたものの、攻撃はイスラエルの「単独行動」(ルビオ米国務長官)だと距離を置く。 トランプ氏は攻撃開始後、米FOXニュースに「どうなるか見守るしかない」と語った。(エルサレム、テヘラン、ワシントン共同) 石破茂首相は13日、イスラエルによるイラン攻撃を受けて官邸で開いた国家安全保障会議(NSC)会合で、情報収集と在留邦人の保護などで関係各国と連携するよう関係閣僚に指示した。会合後、記者団に「到底許容できない。極めて遺憾であり、日本国として強く非難する」と述べた。日本政府は、イスラエルとイラン双方に最大限の自制と事態の沈静化を求めた。 13日夜、首相はトランプ米大統領との電話会談でイラン攻撃を巡り意見交換。中東の平和と安定が極めて重要だとの認識で一致し、緊密な意思疎通を確認した。外務省はイランとイスラエルの危険情報レベルをそれぞれ引き上げ、全土を「レベル3」(渡航中止勧告)以上とした。 首相は記者団に、カナダでの先進7力国首脳会議(G7サミット)で関係国が連携して対応すべきだと主張した。 核保有国が他国の核の保有を阻止するために武力攻撃をするという、論理矛盾の中に世界は巻き込まれている。ネタニヤフのいう「われわれの行動で世界はより安全になるだろう」という妄言を許すことはできない。同時に、戦争の準備(日本的表現では防衛力の強化)の声が大きくなる可能性があるが、今こそ平和の準備はより重要になるだろう。それにしても全てを「ディール」で解決しようとするトランプの手法は世界を破滅に導く。
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教員の処遇改善や長時間労働是正に向けた教員給与特別措置法(給特法)などの改正法が11日の参院本会議で自民、立憲民主両党などの賛成多数で可決、成立した。公立学校教員に残業代の代わりに基本給の4%相当を上乗せ支給する「教職調整額」を2026年から毎年―%ずつ引き上げ、31年に10%とする。教育委員会には業務量の管理計画策定を義務付け、働き方改革を推進する。給与増と負担軽減を進め、深刻ななり手不足の解消を図る。 1972年の給特法施行以降、教職調整額の増額は初となるが、残業代を支払わない制度が長時間勤務の要因との指摘がある。業務量を減らす具体策が実行できるかどうかが問われる。 この他は、負担が重い学級担任へ手当を加算し、新たな職位として若手のサポートや学校内外の関係者との調整役を担う「主務教諭」を新設。教育委員会には26年度から教員の業務量管理と健康確保のための計画策定と実施状況の公表を義務付けた。 衆院の審議では、教員の時間外勤務を29年度までに月平均30時間程度に減らすことを目標とし、1人当たりの担当授業時間数の削減や、26年度からの公立中の35人学級化に必要な措置を講じることを付則に明記する修正を行った。 教職人気低迷の背景には、長時間労働が常態化した勤務環境がある。教員給与特別措置法(給特法)などの改正で給与面の改善は一歩進んだが、「定額働かせ放題」とも言われる給与体系は温存された。教員不足の解消には、学校現場が最も望む業務量削減と長時間労働の是正の実現が必須。対策が効果を上げなければ、不足に拍車がかかる恐れもある。 「『やらないよりはまし』といったレベル」。近畿地方の公立中の男性教諭(28)は今回の法改正をこう受け止める。給与が少しでもアップすることは前進と捉えているものの、最も必要なのは「人」と訴える。 現在の業務量は「管理職の裁量だけでどうにかできるものではない」。学級担任と運動部顧問を務めており、授業準備や保護者対応、部活動指導などさまざまな業務に追われる日々。職場を出るのは午後9時を回ることが多い。 文部科学省の調査では、国指針で定める残業時間上限の月45時間を超える教諭は減ってはいるものの、2023年度は小学校で2割強、中学校で4割強に上る。男性教諭は「どの教員も手いっぱい。生徒を第一に考えると外部委託できることは限度があり、教員を増やすことが唯一の解決策だ」と強調する。 こうした現場の声に応えるように、国会審議を通じて、改正法の付則には公立中の35人学級化が盛り込まれ、国に教職員定数の改善を求める付帯決議も採択された。 しかし、そもそも教員志望者が減った結果、休職者の穴埋めが難しくなり、教員不足に陥っているのが現状。九州地方の50代の公立高校長は「今はどの業界も人の取り合い。明確な打開策を示せなければ教職人気は落ちたまま」と話す。 改正法成立の11日に東京都内で会見した日教組の山木正博書記長は「今回の改正は不十分」と断言。肥大化が指摘される学習指導要領の精選も示されず「学校現場の悲惨な声は届き切らなかった」と述べた。 小川正人・東大名誉教授(教育行政学)は、法改正で教育委員会に働き方改革の推進を明確に義務付けた点は「取り組みが遅れている教委を動かすことになる」と評価しつつも、学校現場は行事削減といったできることをほぼやり尽くしており「自治体任せにせず、財政的支援などで国が責任を持つべきだ」と指摘する。 その上で、それでも長時間労働が解消されないならば「給特法廃止も選択肢の一つとし、時間外勤務に見合う残業代を支払う仕組みへの抜本的改革を検討する必要がある」とした。 これまで「給特法」の問題点を何度も指摘してきたが、現実は「定額働かせ放題」は解消されないままになった。2020年の改正の付帯決議で「5年後の見直し」とされていたが、この間多くの人が「給特法」の矛盾を知り「廃止」が必要との世論が形成されていたはず。日教組も多くに人と費用も費やしてきただろう。連合も何度も研究を発表し日教組の主張を援護してきた。しかし、法案成立に向けて立憲民主党が賛成の立場をとったことは、「実利」をとったと言い訳したいのだろうが全く理解できない。
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日本学術会議を2026年10月に現行の「国の特別機関」から特殊法人に移行させる新法が11日、参院本会議で自民、公明、日本維新の会の3党などの賛成多数で可決、成立した。政府から間接的に人事や活動面などで介入を受けることが懸念され、独立性や学問の自由が侵されると学術会議は指摘するが、政府は修正に応じなかった。 20年に菅義偉首相(当時)が新会員候補6人の任命を拒否したことをきっかけに議論が始まった法人化の動きは、政府が押し切る形で決着した。 立憲民主、国民民主、共産、れいわ新選組の4党などは反対した。立民の石坦のり子氏は、坂井学内閣府特命担当相が5月の衆院の審議で「特定のイデオロギーや党派的な主張を繰ぴ返す会員は解任できる」と発言したことを批判。「思想信条の自由や学問の自由を脅かし、答弁自体が政治的介入だ」と述べた。 新法では、首相が新会員を任命する現行方式をやめ、総会の決議で選任する。法人発足時には特例として、会長と首相指定の有識者が委員会を設置、候補者を選考する。運営の透明性を高めるとして、首相任命の監事や評価委員を新設する。 現行法の「平和的復興」をうたう前文や、「独立して職務を行う」との条文の文言は消え、独立性確保について不安視する声が強まっている。 財政面では組織の運営費などに充てるため、政府が年10億円前後を出している。法人化後は「必要な金額を補助できる」との規定にとどまる一方、外部から個別に寄付金を受けることも可能となる。 日本学術会議を特殊法人化する新法が成立した。政府は、学術会議を国から切ぴ離すことで組織の独立性や機能が高まるとアピールする。一方、学術会議は、政府から介入を受けることで、自由な活動が阻害されることを危惧。「学者の国会」としての役割を果たし続けられるかどうか警戒する声が強まっている。 「日本の学術の『終わりの始まり』を法律で仕上げるものだ」。学術会議会員の川嶋四郎同志社大教授は声明で新法を強く批判。参院の参考人質疑では「政府依存型の組織につくり替えられてしまう」と訴えた。 学術会議が独立性を重視するのは2020年、菅義偉首相(当時)に任命拒否された新会員候補者6人が過去に政府の政策に批判的な主張をしていたためだ。政府は明確な理由を明かさず、意に沿わない研究者を排除する姿勢をにおわせた。 法案審議を巡り、国会周辺では法案に反対する学者らが連日、座り込みや集会を実施。任命拒否された加藤陽子東大教授は「政府がトップダウンで政策を進める際、ボトムアップで意見を述べる学術会議が邪魔なのだろう」と推測した。 自民党や政府は人工知能(AI)や量子など軍事応用可能な「デュアルユース技術」を重視。科学者による戦争協力への反省から軍事研究に批判的な学術会議にいら立ちを募らせてきた。新法に関わった自民党中堅は「民生品と軍用品を完全に区別するのは無理。いいかげん学者の方々も理解すべきだ」と言い放った。 法人化後には、首相任命の監事や評価委員を新設するほか、法人発足前から管理下に置こうとする仕掛けが見え隠れする。新法人発足に向けて会長が首相指定の有識者と協議してつくる「候補者選考委員会」が会員の候補者を選考する。首相は、新たな会長決定まで会長の職務代行者を会員予定者から指名する。任命拒否された岡田正則早稲田大教授は「次期体制の準備段階から政府の意向を反映させ、既成事実化しようとしている」と問題視する。 学術会議の機能強化も暗雲が漂う。前会長の梶田隆章東大卓越教授は、国から独立することで立法府への提言機能が追加されるなら法人化の利点になると訴えたが、新法に盛り込まれなかった。梶田氏は「科学的知見に基づき時には政府と違う意見を(国会などに)述べられるような組織にするとの理念は到底感じられなかった」と嘆いた。 財源については国費から、新法では「必要な金額を補助できる」との規定に変わる。当面は支援が続く見通しだが、安定的な財政基盤を確保できるかどうかは見通せない。参院の参考人質疑で吉村忍東大名誉教授は「学術会議の科学的助言や活動は公益が目的だ」と強調。民間企業からの資金に期待し、会員に資金集めの活動を求めるのは現実的ではないと話した。 教育史が専門の駒込武京大教授によると、近年の大学政策で政府が研究成果の活用を重視し、外部資金の獲得を求める「稼げる大学」を目指した結果、大学は政府や企業に迎合し、短期でもうかる研究を重視するようになった。「学術会議も政府や経済界の意向に従わなければ資金を得られない仕組みになる。政府の政策に異論を唱えることは難しくなるだろう」 学術会議の独立性に対して軍事研究の阻害になるという考えが与党や維新から強く主張されてきた。しかし、科学と軍事が結合した悲劇はまさに「核兵器」であり「原子力発電」であった。これに対する科学者からの反省が学術会議設立だったはず。「民生品と軍用品を完全に区別するのは無理」とは方便でしかない。科学者の倫理観を高めるためにも学術会議の独立性はいまでも変わらないはず。
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京都府と京都市の両教育委員会は、2026年度の教員採用試験の志願状況を発表した。全職種の平均競争率は府教委が前年度比1・0ポイント減の3・1倍と過去最低を更新、市教委は1・0ポイント減の3・5倍で平成以降では最低となった。 府教委は、前年度比100人増の500人程度の募集に対して志願者は74入減の1548人。職種別の志願者数と競争率は、小学校が前年度比52人減の392人で競争率は0・8ポイント減の2・2倍。特別支援学校は23人減の92人で0・5ポイント減の1・8倍、高校は28人減の475人で1・1ポイント減の3・5倍だった。 志願者数は増えたが、採用枠拡大の影響で競争率が下がった職種もあり、中学校は6人増の422人で1・7ポイント減の3・5倍、養護教諭も12人増の114人だったが7・6倍(前年度10・2倍)にとどまった。 市教委は105人増の410人程度の採用枠に対して、志願者は60人増の1426人だった。小学校(幼稚園含む)は前年度比20人増の492人だったが、倍率は0・4ポイント減の2・7倍。中学校も514人で32人増えたが、倍率は2・6ポイント減の4・3倍。高校は156人で7・8倍(9・9倍)、総合支援学校は前年度と同数の143人で2・0倍(2・9倍)だった。 府と市ともに小学校と特別(総合)支援学校で、教員の質の維持が難しいという3倍を切ったことに対して、「特に小学校は志願者を大きく減らし残念だ。試験では専門性をしっかり見て、優秀な人を採用したい」(府教委)。「志願倍率の減少は覚悟していたが、他自治体に比べて、志願者は確保できている。試験を通じて優秀な人材を採用し、採用後も教員育成に力を入れていく」(市教委)としている。 1次の筆記試験などの受験が前回から可能になった大学3年生と大学院修±1年は、府教委で前年度比118人増の269人、市教委も97人増の298人が応募した。府教委は「3年生試験の受験者は『府の教員になりたい』という意思がより明確で、優秀な人が多い印象がある」、市教委は「志願者数が前年度を上回ったのは、前年度の大学3年生試験の合格者の8割が今年も志願してくれたことが一因だ」としている。 両教委ともに14日に筆記試験を実施 する。 報道部 生田 和史 教員の処遇改善や長時間労働是正に向けた教員給与特別措置法(給特法)改正案など関連法が国会で審議されている。教員不足や若手の退職などで学校現場の労働環境は深刻な状況にあり、人員増による教員の負担軽減に大きぐ踏み込んで議論すべきだ。 「あまりの忙しさに先生の心の余裕がなくなっている。もっと先生がいたら、子ども一人一人に気を配って接することができるのに」。4月中旬の夕方、給特法改正法案に反対する京都市内の街頭活動で、小中学校、高校教員が次々にマイクをにぎり、教員増員の必要性を行き交う市民らに切々と訴えた。 給特法改正法案は、公立学校教員に残業代の代わりに支給する基本給4%相当の「教職調整額」について2026年1月から段階的に引き上げ、31年1月に10%にする内容。与野党の修正協議により、時間外勤務を月30時間程度に減らすことや1人当たりの担当授業時間数削減などが盛り込まれたが、「定額働かせ放題」の仕組みは維持されるとして教職員組合などが反対している。 全教職員の時間外勤務月45時間以内に加えて、「月80時間超の時間外勤務(残業)をする教職員をゼロにすることが最優先」を新たな目標を掲げた「教職員の働き方改革推進計画」を今年3月、京都府教育委員会が公表した。80時間を超える残業は「過労死ライン」とされ、一刻も早い達成が望まれる。京都教職員組合の中野宏之執行委員長は「前計画から掲げている『45時間以内』は未達成。より達成が可能な目標にすげ替えた印象を受ける。前計画の総括や反省がない」と批判する。 また、今計画で新たに登場した「働きがい」についても、子育て中の府内の小学校女性教員は「仕事に家事に手一杯。必死でやっているが、全部中途半端になっている。先生ってもっといい仕事なのに。やりがいを感じながら働ける環境にしてほしい」と話しい働きがいを感じられるためにも人員増は欠かせないと訴える。 教育分野の取材担当となった99年秋以降、教員の未配置、長時間労働などについて取材を続けてきた。現場では働き方改革も進んだが、行事の取捨選択やICT(情報通信技術)の活用による労働時間の削減では限界がある。教員の熱意だけでどうにか乗ぴ越えられるレベルにはなく、各所にひずみが現れている。 府教委によると、24年度に途中退職した教員は127人に及ぶ。このうち、20、30代は75人で6割に上る。教員採用試験では、志願者減少に歯止めがかかっておらず、明るい兆しは見えない。 教員の心身の健康を守り、安心して働ける職場環境を構築することが教育の充実には不可欠だ。 教員志望者の減少傾向はいまやトレンドとなってしまった。「やりがい搾取」と揶揄される職場実態が大きく影響していることは間違いない。教員の数を増やせばそれだけ仕事量が減るというのは果たして本当だろうか。学校現場への要求は文科省からも教育委員会からもそして保護者からも増大しているし今後も増大していく可能性は高い。「働き方改革」の本丸はまず仕事量を減らすことだろう。そして教員自身も含めて教員への求められる「先生らしさ」の意識変革が重要だ。加えて、定員増(先生を増やすこと)でお茶を濁すのではなく給特法の廃止は必須の条件だろう。
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【エルサレム共同】イスラエルは9日未明、スウェーデンの環境活動家グレタ・トウンベリさん(22)らを乗せて支援物資を届けるためパレスチナ自治区ガザに向かっていた船の航行を阻止した。企画した団体によるとガザ沖約200キロの地中海の公海上で拿捕された。イスラエル外務省は「船はイスラエルに向かっており、乗船者は自国に戻ることになる」と発表。けが人はないとした。 中東メディアによると、イスラエル兵が船に乗り込んだ直後に通信が断絶した。船にはグレタさんや欧州議会議員ら計12人が乗っていた。団体は、グレタさんが「これをあなたが見ているのなら、私たちはイスラエル軍に拉致されたということだ」と語る事前撮影の映像を公開。団体はガザ封鎖の解除を求め、再び船を出すと表明した。 イスラエル外務省は、オレンジ色のライフジャケットを着用した乗船者に水や食べ物を提供する映像を公開。「ショーは終わった」と主張した。 グレタさんらは1日にイタリア南部シチリア島から出航した。イスラエルのガッツ国防相は8日、ガザ到着を阻止するようイスラエル軍に指示したと表明。イスラエルメディアは、船が早ければ9日にガザ沿岸に接近する見通しだと伝えていた。 グレタさんは5月初めにもガザを目指そうとしたが、乗る前に船が地中海マルタ島沖で無人機攻撃を受けて断念した。団体は、イスラエルの攻撃だったとしている。 【エルサレム共同】パレスチナ自治区ガザの保健当局は8日、ガザにある複数の主要病院の閉鎖が間近に迫っていると警鐘を鳴らした。発電に必要な燃料の不足が深刻化しているという。一方、イスラエル軍は8日、イスラム組織ハマスのガザ地区トップだったムハンマド・シンワール氏の遺体を、5月13日に空爆した南部ハンユニスの欧州ガザ病院の地下トンネルから収容したと発表した。 イスラエル軍はこの病院の「地下にハマスの指揮所があった」として攻撃を正当化した。イスラエル軍はガザ各地で病院への攻撃を繰り返しているほか、ガザヘの物資搬入を大幅に制限し医療体制が逼迫し続けている。 赤十字国際委員会(ICRC)は、ガザ最南部ラフアの野戦病院に過去2週間で933人の負傷者が搬送されたと明らかにした。大半が物資配給拠点に 向かっていたという。うち41人は病院到着時に既に死亡していた。 配給は米国とイスラエルの主導で設立した団体が実施するが、拠点周辺でイスラエル軍によるとみられる攻撃が相次ぎ死傷者が続出している。パレス チナ通信によると、9日にもラフアの拠点付近で配給を待っていた群衆にイスラエル軍が発砲し、8人が死亡した。 ガザ保健当局によると、2023年10月の戦闘開始後のガザ側死者は5万4800人を超える。 イスラエルの蛮行は筆舌に尽くしがたい。言葉がない―しかし、私たちにできることは語り続けることなのだろうと、改めて心に刻んでいかなければ。
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フランスで9〜13日に開かれる国連海洋会議で、欧州各国や太平洋の島国など計70カ国以上が、プラスチックによる環境汚染を防ぐ国際条約案に「生産量と消費量の国際的な削減目標」を求める共同声明を出すことが9日、関係者への取材で分かった。日本は賛同しない見通し。原料となる石油を産出する中東諸国などは生産規制に反対しており、反発も予想される。 プラごみ問題が世界的な重要課題になった背景には、海洋汚染がある。国際条約作りの交渉協議は8月にスイスで再開するが、最大の焦点となる生産規制の扱いで歩み寄りが難しい状況が改めて浮き彫りになった。条約案の合意は難航しそうだ。昨年11〜12月に韓国で開かれた前回協議では、生産規制で意見の隔たりが埋まらず、合意が見送られた経緯がある。 共同声明では、削減目標を達成するために、生産量や輸出入量の報告義務化も求めている。削減対象に生産量だけでなく消費量も加えることで、産油国側に配慮して幅広い支持を狙うとみられる。フランス主導で「野心的な条約を結ぶ歴史的な機会をつかもう」と賛同を呼びかけている。 日本は「できるだけ多くの国が参加する条約を目指し、分断は避けたい」との立場で、共同声明には名を連ねない方向。だが環境団体は「実効性ある条約にするため、日本は態度を明確にすべきだ」と批判している。 世界全体で年間800万トン以上のプラごみが海に流れ込んでいるとされる。漂流中に砕けた微細なマイクロプラスチックは海の生物の体内に入り、食物連鎖を通じて人間の健康に影響する可能性も指摘されている。 環境問題はお金の問題よりも重要度は高いはず。核兵器禁止条約への参加も「できるだけ多くの国が参加」を理由に参加を日本は見送った。プラの生産と同時に消費の削減も必要だが、身の回りを見渡せばほとんどがプラごみになっていく製品ばかり。生活の在り方を変えることを私たちは受忍しなければSDG'sの達成は難しいのだろう。
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四大公害病の一つ、水俣病の根本的な事実を誤る事例が最近、相次ぎ発覚した。「家庭教師のトライ」の運営会社は「遺伝する」、地元熊本県の自治体も「感染症」と誤って記載。根底には無関心や無知があるとみられ、被害者団体に落胆が広がる。水俣病が公式に確認されてから来年で70年となるが、病気の啓発にはなお、課題が残る。 「強烈な間違いだ」。水俣病を40年ほど研究してきた岡山大の津田敏秀名誉教授(環境医学)は今春、トライの配信動画教材を偶然見つけた。水俣病関係者に伝え、環境省が訂正を求める事態に。運営会社トライグループ(東京)は5月23日付で謝罪文を公表した。 胎児が母親の胎盤を通じて影響を受け、生まれた時点で発症する事例を動画は「遺伝」と誤表記し、水俣病は「恐ろしい」と記した。中学生向け教科書を参考に作った資料を基に講師が解説した際、誤った発言がそのまま文字に起こされ、社内チェックでも間違いが指摘されなかった。 約10年前に無料で公開され、5月に非公開となるまで、再生回数は延べ7万回超に上った。 熊本県水俣市の北方にある宇城市は2月、「水俣病などの感染症を正しく知っていますか」と記したカレンダーを全約2万3千世帯に配った。 担当職員は感染症との認識はなかったが、新型コロナウイルス感染症の流行時のカレンダーを参考にした際、誤って記載。幹部ら5人が3度確認しても見抜けなかった。 市民の指摘で発覚。市は職員の「無関心や無知」が原因だとし、理解を深める研修を重ねた。5月には末松直洋市長らが水俣市に足を運んで資料館を見学し、語り部の講話に耳を傾けた。 かつて水俣病は遺伝病や感染症と誤解され、患者や家族は差別に苦しんできた。環境省は「誤った情報や偏見をなくす取り組みを進めてきた」と強調するが、被害者側との間に温度差が目立つ。 水俣病被害者・支援者連絡会の元島市朗さん(70)は「どのような病気か、被害の全容に目を閉ざす環境省の姿勢が差別や無理解を生み出している」と指摘し、「同様の事案がまた起こるのではないか」と懸念した。 津田氏は国の対応を巡り、原因物質メチル水銀に汚染された魚介類による「食中毒」として扱わず、必要な調査を行わなかったために被害が拡大したと指摘。「過去の対応の問題点を認め、職員が主体的に学び直す必要がある」と話している 「家庭教師のトライ」の謝罪文書はほとんど目に留まらい箇所にひっそりと記載されている。「トライ」は誤った動画がなぜ掲載されたかを明らかにする責務があると同時に水俣病に関する知見を改めて動画として配信する義務がある。宇城市も同様に原因を究明し対策を講じなければならない。AIを使用した文書作成がこうした傾向に拍車をかけたとするならより一層の人間によるコントロールが必要となる。
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原発事故時、周辺の病院は入院中の患者や緊急搬送される傷病者の診療を続けることができるか。東京電力福島第1原発事故では患者が避難を強いられ、多くが亡くなった。政府は原発再稼働に注力するが、医療機関の事業継続計画(BCP)策定は進んでいない。地域の現場では、事故時の診療継続の難しさが浮き彫りになりつつある。 モデルは島根 「原子力災害時に病院はどう対応し、どんな準備をすればいいのか」。原子力防災を担う内閣府には各地の医療機関から声が寄せられている。再稼働の事実上の 前提となる住民避難計画策定は各地で進んだが、屋内退避など具体的な運用には多くの課題が残る。特に入院患者など要配慮者の安全確保は焦点となっている。 モデルケースになると期待されるのが、昨年2号機が再稼働した島根原発(松江市)に近い松江赤十字病院(同)。全国で唯一、県庁所在地にある原発で、30キロ圏内の人口は約44万人と、日本原子力発電東海第2原発(茨城県)や中部電力浜岡原発(静岡県)に次ぐ多さだ。原子力災害医療協力機関として年1回の訓練を続け、BCP策定を目指す。見えてきたのは数々の難題だ。 崩れる気密性 原発事故では広範囲に放射性物質が飛散する恐れがある。入院中の患者など避難が難しい要配慮者は、放射線防護施設に退避することになっている。施設は気密性を高め、装置で内部の気圧を高める陽圧化で放射性物質を含んだ空気の侵入を防ぐ。装置を導入した病院も多い。しかし松江赤十字病院の田辺翔太救急部長 は「ドアや窓一つ開けただけで陽圧が崩れる。陽圧中は冷暖房が使えず、熱中症や低体温症のリスクが高まる」と指摘する。 事故時には入院中だけでなく、患者の救急搬送や職員の出入りもあり、そのたびに陽圧機能は低下する。放射性物質が入らないようにするには、搬送患者などがどの程度汚染されているか診療放射線技師が測定するとみられるが、要員の確保や具体的な方法はこれからの検討課題だ。 同病院の職員は約1200人で、ほとんどが島根原発の30キロ圏内に住み、事故時は自宅などへの退避が求められる。地震など自然災害が同時に起これは、道路が寸断される恐れもあり、職員も被災したり、出勤を拒んだりするケースも考えられる。参集方法も含め、BCPにまとめる方針だ。 立てこもりに 福島第1原発事故では、双葉病院(福島県大熊町)の入院患者らが、十分なケアを受けられないまま長時間の避難を強いられ亡くなつた。屋内退避はその反省を踏まえたものだ。しかし昨年の能登半島地震では、北陸電力志賀原発(石川県志賀町)に近い町立富来病院が被災し、放射線防護施設としては使用できなくな った。そもそも屋内退避の運用は、今年3月にようやく原子力規制委員会が退避解除の可否を判断する目安を3日後とする報告書をとりまとめたばかりで、具体 的な姿は見えていない。 松江赤十字病院のBCP策定に携わる福島県立医大の坪倉正治主任教授は、屋内退避の要となる施設陽圧化について「現在は(人が出入りしない)“立てこもり”が必要で、ここで診療継続する上で使えない可能性が高い」と指摘。田辺さんは「本当に事故が起きた時に動けるのか。実用的な運用手順を作っていきた い」と話した。 30キロ圏内の非難方法も移動手段や要員の確保も不十分な状態。ましてや医療措置が十分な形で確保できるとはとうてい思えない。そんななかで「医療機関の事業継続計画(BCP)策定」が机上の空論にしかならないことは明らか。原発再稼働のみを優先とするアリバイ工作でしかないのとの思いは強い。
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音は聞き取れるが、脳で言語として認識ができない障害「聞き取り困難症(LiD=リツド)」を巡り、改正障害者差別解消法が義務付ける「合理的配慮」を拒否された経験を当事者の2割が持つことが7日、共同通信の調査で分かった。職場や学校で、聞き取りを助けるイヤホン使用を拒まれたといったケースがあった。当事者団体などを通じ147人がアンケートに応じた。 同法が配慮義務を国や自治体から民間事業者にも拡大した昨年4月以降に拒否された経験を調べた。大阪公立大などのチームによるとLiDの当事者は約12 0万人に上る可能性もあるが、診断の手引は国内で同3月に発表されたばかり。「認知度が低い」などの声が上がっており、解消への課題と言えそうだ。 LiDは難聴とは異なり、一般的な聴力検査では異常が見つからない。言葉が周囲の音と混ざったり、一部だけ聞こえなかったりする。治療法はなく、文字 起こしアプリや雑音を消す機能があるイヤホンなどで、聞き取りを補うことが多い。 調査の結果、拒否経験があったのは29人。場面としては「職場」が14人と最も多く、続いて「学校」が12人だった。「その他」としてアルバイトの面接や教育委員会との回答もあった。 具体的内容では、職場でのイヤホン着用について「音楽を聴いてサボつているように見える」とされた例や、学校で文字起こしアプリ使用を希望したが「一 人だけ違う対応はできない」とされた例が挙げられた。 同法は配慮について、日常生活や社会生活に相当な制限を受けている人全てが対象としている。これまでLiDの疑いがある人を1500人以上診てきた大阪 公立大の阪本浩一特任教授は「周囲の人がLIDを知っているかどうかで扱いがだいぶ変わる。当事者の負担感軽減には認知度の向上が鍵だ」と指摘した。 調査は全国10ある当事者会などを通じ、当事者や家族を対象に今年3月に実施。拒否経験の有無や当時の状況などを尋ねた。 合理的配慮を断られる背景には、聞き取り困難症(LiD)がまだまだ知られていないことがある。合理的配慮は決して特別扱いを望むものではなく、ハン ディを小さくしスタートラインをなるべく健聴者に近づけてほしいという願いだ。目が合ってから話す、席を教壇に近づける、文字起こしアプリを使うなど周囲の一工夫で解決できることも多い。症状に関心を持ち、「前例がない」などと拒否するのではなく対話で応えてほしい。 「合理的配慮」ということばが、だれにとっての合理的なのかが十分理解されていないのではないか。マジョリティにとっての合理的(お金や手間暇をかけないの)ではなくマイノリティにとっての合理的(ある手段をとれば差別的な待遇をかいしょうできるの)であることを改めて考えなければならない。
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京都市議会は6日の本会議で、自民党の西田昌司参院議員(京都選挙区)が沖縄戦の慰霊碑「ひめゆりの塔」(沖縄県糸満市)の展示について「歴史の書き換 え」などと発言したことに関して、「強い遺憾の意を表明する」とした決議案を賛成多数で可決した。 決議では、西田氏の発言や見解は「沖縄県民の心を深く傷つけると言わざるを得ない」と批判。沖縄戦では京都出身者も犠牲となり、戦後は京都の議員が党 派を超えて沖縄との友好を深めてきた歴史を踏まえ「県民の心情に寄り添い、沖縄戦の歴史に真摯に向き合うこと」を求めた。 日本維新の会・地域政党京都党・国民民主党や共産党など3会派と無所属の議員2人が共同提案した。討論では賛成議員が「求められているのは、市議会とし て戦没者や戦争体験者を冒涜する発言に満身の怒りを持って抗議すること」と主張。賛成多数で可決した。自民党と公明党は反対した。 一方、自民、公明両会派が「京都と沖縄の絆を次世代に伝え平和社会の実現を目指す」とする決議案を提案したが、否決された。決議案では「沖縄の人々の筆 舌に尽くしがたい艱難辛苦に寄り添わなければならない」などとしたが、西田氏の名前や発言には言及しなかった。 自民党や公明党が提出した決議案を巡っては、自民市議団内で意見が鋭く対立した。関係者によると、当初の決議案には西田氏を厳しく指摘する文言が入っていたが、西田氏の「擁護派」が強く主張し削除。しかし、可決に持ち込めず、夏の参院選を目前に、内部に「亀裂」(自民関係者)が走っている。 決議案は自民、公明、無所属議員1人の提案。沖縄戦で命を落とした京都出身者をまつる「京都の塔」(沖縄県宜野湾市)が建立された経緯に触れ、「京都と沖縄の絆を次世代に伝える」とした。一方、西田氏の発言には直接触れなかった。 関係者によると、自民が作成した原案は西田氏の発言に触れ「沖縄に対する配慮を欠いたものであり、多くの人々の心を深ぐ傷つけた」と指摘していたという。4日に行われた団会議では、複数の議員が「西田氏に後ろから鉄砲を撃つようなもの」「いち国会議員の発言を決議であげつらう意味が分からない」などと強く反論した。 団幹部が協議し、他会派提案の決議案のみ可決されることへの懸念から、「擁護派」も賛同できる案に文言修正し、可決を目指した。しかし、議長を除ぐ66人中、賛成は32人と半数に1人足りず、否決となった。ある自民市議は「なぜ提出にこだわったのか。参院選前に西田氏の足を引っ張る形となり、じくじたる思いだ」と語る。 一方、自民とともに決議案を提案した公明。支持者からは発言への怒りの声が上がる一方、参院選京都選挙区で党は西田氏の推薦を決定している。ある公明市議は「西田氏の発言を是とすることはできないが、他党の決議案のような『西田氏けしからん』とまでは…。大事なのは沖縄に寄り添っていくこと」と説明。公明の主張で、沖縄の悲しみに「真摯に向き合う」などの文言が付け加えられたことを強調した。 この間の事情を西田氏は自分への「バッシング」だと受け止めているようだ。しかし、小浜・京都ルートにかかわって「大深度」の計画への反発(6日市議会で反対が可決)が予想以上に大きかったこと、保守系無所属新人が参院選に名乗りを上げたことなどから、真の保守派は自分であるとの宣言ではなかったのかとの見方もある。
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コメ供給安定化に向けた関係閣僚会議の初会合開かれた。コメ価格高騰に直面し、国の農業政策は長年主導してきた減産のひずみが浮き彫りになった。コメ政策の見直しは石破茂首相の積年の課題。世論も追い風に増産に向けた改革に着手した。ただ価格下落の懸念がくすぶり、新たな需要開拓や農家の所得補償の在り方など課題は多い。 「将来にわたって生産者が意欲を持ってコメを生産し、それを手に取りやすい価格で供給できるよう一体となって取り組んでもらいたい」。首相は5日の会議でこう述べた。決意の裏には、現状への危機感がある。 昨年夏に店頭からコメが消える「令和の米騒動」が発生。コメ価格は上昇を続け、前年同期比2倍超の水準となった。首相は2日の参院予委員員会で「いつか、こういうことが起こり得る」と感じていたと明かした。 首相の問題意識の出発点は、農相として減反見直しを打ち出した2009年にさかのぼる。一律に作付面積減少を強いる制度は「担い手の自由な経営発展を阻害している」と映った。減反に応じるかどうかは農家に委ねる「選択制」を掲げたものの、自民党の農林族議員の猛反発で頓挫した。 食糧難に窮した戦後日本ではコメ増産が推進された。生産量はピークの1960年代後半に年1400万トンを超えた。当時は国がコメを買い取る食糧管理制度の時代。国は過剰在庫の処理のため、70〜80年代に計約3兆円の損失を被った。 こうしたコメ余りを防ぐため、70年に始まったのが減反政策だ。減反はコメ価格維持の手段となり、零細農家の経営を支えた一方で、規模拡大で収益力を高めたい農家の意欲をそいだ。 長崎県諌早市で17ヘクタールの農場を経営する土井賢一郎社長は減反に渋々従った。「水田という国の財産をつぷした愚策だ。工夫次第で需要 は生み出せたはず」と批判。茨城大の西川邦夫教授(農業経済学)は減反政策について「当初は仕方がなかった面もあったが、半世紀も続き生産力の低下につながった」と指摘する。 2012年に成立した安倍政権は、規制緩和による農業の競争力強化を掲げた。翌13年には、18年度をめどに減反廃止の方針を決めた。 しかし減反廃止後も減産を誘導する政策は続いた。現在も国は毎年、コメの需要と見合った生産量を公表。自治体の多くは、これをベースに生産の目安を決めており、国が生産量決定に影響を及ぼしている。さらに国は多額の補助金で麦・大豆、飼料用米への転作を促し、主食用米の田の4割近い約50万ヘクタールが使われている。 減産政策の長期化に関し、農林水産省幹部は「財政負担が膨らんだ過去の苦しい経験が背景にある」と漏らす。 コメ高騰で増産機運は高まった。ただ増産は価格下落を招き、農家の経営に打撃を及ぼす副作用も懸念される。首相は輸出拡大を模索するが、さいたま市の農家、斎藤武さん(73)は「コメ政策に農家は翻弄されてきた。増産にかじを切るなら農家の所得補償も議論すべきだ」と訴えた。 市場経済にまかせて競争を促すという方法で農業を振興させようとする政策が続いてきた。しかし、減反政策は単にコメの生産量を調整するだけではなく水田の保水能力も減じてきたとの指摘も以前からある。都市生活者かすればコメの価格が低ければそれでよいということになるのだろうが、それだけでは農業が維持できない。輸出できる農業でもコメの確保にはならないだろう。地産地消を促進することで農についての理解やカーボンフットプリントの削減を目指す農政の必要性は高まっている。
私的も
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京都府と京都市の両教育委員会は5日、府立嵯峨野高と市立堀川高の学科を再編し、両校ともに進学実績の高い専門学科に一本化すると発表した。京都府内の公立高で新入試制度が始まる2027年度入学から、両高の普通科を廃止し、嵯峨野高は京都こすもす科、堀川高は探究学科群のみで募集する。両教委は、2校の教育内容がすでに普通科と専門学科でほぼ同じであるためとしている。 嵯峨野高は27年度から、京都こすもす科(定員200人)に普通科(同120人)を統合する。京都こすもす科は府内全域から通学できるが、学力の高い生徒が京都市内に集中することを懸念し、入学定員320人のうち、現在の普通科に相当する約120人については従来通り京都市・乙訓地域から募集する。 探究活動を中心とする堀川高の入学定員は240人。通学区域は、現在の探究学科群の定員に相当する約160人を従来通り府内全域から募集し、普通科相当の約80人は京都市・乙訓地域に限定する。中学校時代の活動を重視した募集枠の新設も検討しており、通学区域ごとの募集人数は変わる可能性がある。 嵯峨野高では、学科が分かれているために入試を複数種類実施したり、時間割を組む際に複雑になるなど教員側の負担もあったという。府教委高校改革推進室は「全校一体で教育活動の一層の充実を図りたい」としている。 市教委学校指導課は「市立中の生徒の進路を保障しつつ、探究学科群で学びたい生徒の希望にこたえたい」としている。 両教委は、現在の中学2年生が対象となる2027年度から、現行の前期選抜と中期選抜を一本化し、学校ごとに検査項目が異なる「独自枠」と、5教科の共通検査で合否を判定する「共通枠」を設けて2月中下旬に新しい前期選抜を実施する。6月中旬に独自枠の検査項目一覧を公表するとしている。 普通科の再編や廃止がトレンドとなっているが、それを子どものニーズに合わせるというだけでは公教育の役割を十分果たせるのだろうか。大学で教養学部が廃止されたのは1990年代後半から2000年代にかけてなのだが、実利を重んずる大学となったことで教育の質が大きく変化した。高校普通科でいわゆるリベラルアーツ的な教育が行われてきたとは思えないが、高校での普通科の再編や廃止も実利(大学進学)を重視した一層の学力競争が激化する可能性は高い。
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音楽や漫画などのエンターテインメントを、英語教育に活用する動きが広がっている。大手レコード会社「ユニバーサルミューシック」は、洋楽のヒット曲を題材にした主に中学生向けの英語教材を開発。小学館は漫画「ドラえもん」で“生きた英語”が学べるバイリンガルコミックスを刊行した。日本の英語力が低迷する中、楽しく学んでもらうのが狙いだ。 「すごいかっこよかった」「何が聞こえた? 私はね…」。東京の渋谷区立原宿外苑中で3月に開催されたデモ授業。米国の人気歌手、レディー・ガガのヒット曲「ボーン・ディス・ウェイ」に生徒らは興奮した様子だった。 授業では、曲を一度通して聴いた後、「サンク」と「ユー」で「サンキュー」のような、英語の音のつながりを意識しながら歌詞を読み、その中にある単語「スーパースター」が誰のことかについて、グループで議論。この曲がLGBTQ(性的少数者)への応援歌であることを学んだ。 教材はユニバーサルの日本法人などが開発。ガガの他、テイラー・スウィフトやビリー・アイリッシュらのヒット曲をそろえ、具体的な授業の展開方法も提案する。制作費や著作権使用料は同社が負担しており、専用サイト「UM English Lab.」から無料でダウンロードできる。 ユニバーサルによると近年、日本国内の洋楽のニーズは「危機的に低迷」。10代前半に洋楽を聴かなかった人は、その後も興味を持ちにくいという調査もあるといい、未来のリスナー開拓のため、ヒット曲を教材として提供する事業に乗り出した形だ。担当者の寺嶋慎吾さんは「洋楽を通じ、英語を好きになってもらいたい。そして10年後も引き続き洋楽を聴いてもらえればうれしい」。 小学館は2024年に「英語でDORAEMON」全6巻を刊行した。同社第三児童学習局の瀬島明子さんは「ネーティブスピーカーが日常生活で使っている、実用性の高い英語を採用した」と力を込める。 謝る表現1つをとっても、カジュアルな反省から丁寧な謝罪まで、8段階に分けて紹介。「もしもボックス」「正直太郎」などの物語を含め、各ページの2次元バーコードを読み込めば、音声で聞くこともできる。 日本の英語力は低迷している。語学学校を世界展開する企業「EFエデュケーションーファースト」(スイス)の24年版「英語能力指数」調査によると、英語圈以外の116の国と地域中、日本の英語力は、韓国やベトナム、中国を下回る92位。瀬島さんは「今作の英語を、友達や家族にそっくりそのまま使ってみてほしい。そのうちにどんどん英語が楽しくなるはずです」と話した。 世界の共通語としての位置を占めるようになった英語。それを取得することはより一層広い世界を見ることができる。ただ、単にビジネスに役立つということではなく、なんにために学ぶのかは最も問われなければならない。そして何よりも英語学習が教育ビジネスになっていることを注視しておかなければならない。また、母語としての日本語が思考言語であることを押さえておく必要もある。
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ノンフィクション作家 保坂正康 自民党の西田昌司参院議員が那覇市のシンポジウムで、沖縄県の「ひめゆりの塔」の説明文は「歴史を書き換えている」と発言して騒ぎとなったのは5月初めのことだ。 その後西田氏が発言を撤回、おわびしたために、騒動はいったん落着したかのようにも見えた。しかし私は「昭和100年」「戦後80年」の節目の今年、この暴言は簡単に忘却のかなたに押しやってはいけないと実感している。 あの戦争を終えてから80年の今、無知に等しい歴史認識を正しいと言ってのける人物が、国政を担う一員だということは恥ずかしいと思わざるを得ない。もっとはっきり言うならば、80年を経てこうした発言を聞かされ、怒りより悲しみの方が大きいと言えるのではないか。 財界人の涙 私はこの報道に触れた時に、10年前の2015年6月25日、自民党の若手勉強会で恐るべき暴言が吐かれ問題化したことを思い出した。そこでは「米軍普天間飛行場は田んぼの中にあった。商売になるということで(人が)住みだした」「沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない」「広告を出さないように経団連に働きかけろ」などと、事実を全く無視した議論を平気で交わしていた。 勉強会が開かれた2日前の「6月23日」は、どのような日付か。沖縄戦の組織的戦闘が終結、戦没者の追悼式が開かれる「慰霊の日」である。そういう歴史の悲しみなど知ったことかというほどの妄言ぶりであった。 個人的な体験になるが、私はこの年の6月30日に沖縄で講演する予定があった。決めていたテーマを変えて、この妄言にまつわる無知について話すことにした。 私は努めて冷静に沖縄戦や戦後の沖縄社会を語ったのだが、講演後に何人かの財界人から「ありがとう。私らは沖縄の新聞に広告を出し続けますよ」と声をかけられた。 有力な財界人の一人が「怒りよりも悲しい。どれだけの人たちが犠牲になったかを考えるとね。われわれを侮辱しないでほしい」と涙をこぼしていたのが、今なお印象に残っている。 10年前の妄言を、怒りより悲しみで聞いた沖縄の空気を知っているが故に、私は「ひめゆりの塔侮辱事件」に対する沖縄の人々の心底を思うと、事を簡単に収めていいとは思わない。 民主主義の背後に 今回の発言で、私は次の3点をこの社会が抱える問題点と考えるべきだと思う。つまり@史実を検証しない勉強不足A独りよがりの解釈を吐く傲岸不遜B選良の知的レベル低下だ。 西田議員の発言は次のようであったという。 「日本軍がどんどん入ってきて、ひめゆりの隊が死ぬことになった。そしてアメリカが入ってきて沖縄が解放されたという文脈だ。亡くなった人は本当に救われない」 史実を検証した上で、国民に自説を説く政治家なら、こんな独りよがりの意見は口にしない。こういう言い方は、歴史に対する侮辱、沖縄の人々に対する侮辱以外の何ものでもない。 しかも事実誤認との指摘があっても、当初は撤回しないと言い、「沖縄県民を傷つける意図はない。私の意図とは無関係に切り取られた記事が誤解を生んだ」と開き直っていた。しかし自民党本部や沖縄の自民党からの抗議などで撤回に応じることになったようだ。 ひめゆりの塔に対する見方は、かなり以前に塔を訪ねた時の印象ということも明らかになった。つまり何ひとつ自らの目や足、そして頭で確認していないのである。にもかかわらず平然と批判し、そしり、誤った歴史を得意げに口にする。 前述の3点が、そのまま当てはまると断言しても良いであろう。特にBについては、国会が形骸化する危険と表裏一体の関係にある。国会の議論のレベルが、この程度で済むことになったら、民主主義は間違いなく閉塞するであろう。 こうした雑ぱくな歴史観は芽のうちに摘んでおかなければ、やがて大事に至る、との感がする。民主主義の背後にはいつもファシズムが影のようにつきまとい、時が至れば取って代わろうとするのは歴史が教えているところである。 今回のがさつな歴史観は、歴史修正主義者が出番を待っているという光景を示していると考えれば、簡単に見逃すことはできないのである。 その後西田氏は雑誌『正論』で再度自身の発言を肯定している。6月1日の記事「西田氏「事実」と反論」を参照。
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自民、公明両党と日本維新の会は4日、高校授業料無償化に関する実務者協議を開き、就学支援金の支給対象や支給方法などの論点整理に合意した。無償化に伴う課題を示し、一部の外国籍生徒を除外する可能性を残した。各党の党内手続きを経て、政府が今月まとめる経済財政運営の指針「骨太方針」に反映させる。2026年度から本格実施する。 論点整理では教育支援を巡り「富裕層の外国籍生徒にまで必要か」「高所得世帯では教育費が学習塾や習い事に流れ、教育格差の拡大につながるのでは ないか」との懸念を例示した。 外国籍生徒に関して「日本社会に根付いて生活する外国人や、日本の産業を支える外国人の子弟が安心して学べる環境を保障する」との観点を踏まえ、考え方を整理するよう求めた。 その上で「授業料が高いインターナショナルスタールに通う高所得世帯」や、「授業料が比較的安い民族学校に通う低・中所得世帯」の扱いを巡り、関連政策を含めて検討が必要とした。 無償化に伴い私立高が授業料を引き上げる「便乗値上げ」を抑える仕組みづくりや、公立高離れを食い止める対応策の検討も明記。支給万法に関しては、保護者ではなく学校が受け取る「代理受領」を維持する。 朝鮮学校への支給を認めない従来の政府方針を追認するような論点整理では、公教育のデザインとしては明なかにふごうかだと言わねばならない。
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2024年に生まれた子どもの数(出生数)は68万6061人で、1899年の統計開始以降初めて70万人を割り込んだ。23年比4万1227人(5・7%)減。全都道府県で減少した。女性1人が生涯に産む子どもの推定人数「合計特殊出生率」は1・15で、23年の1・20を下回り、過去最低を更新した。都道府県別では東京だけが1・00を切り、0・96だった。晩婚・晩産化などが影響した。出生数、出生率ともマイナスは9年連続。少子化は政府推計より15年早く進んでおり、反転の兆しは見えない。 厚生労働省が4日公表した人口動態統計(概数)で明らかになった。今後の出生数に影響する婚姻数は1万322組増の48万5063組で、2年ぶりに増加したものの依然低迷している。平均初婚年齢は男性31・1歳、女性29・8歳。女性が第1子を出産する平均年齢は、過去最高だった23年と同じ31・0歳だった。 死亡数はこれまでで最多の160万5298人で、出生数との差「自然減」は過去最大の91万9237人。自然減は18年連続で、人口減少も加速している。 厚労省の担当者は「急速な少子化に歯止めがかからない危機的状況」と指摘し「結婚や出産、子育ての希望を阻むさまざまな要因が複雑に絡み合っている」と分析した。物価高で経済不安が高まったことも影響したとみられる。 出生数は第1次ベビーブームの1949年(約269万人)がピークだった。第2次ベビーブームの73年(約209万人)以降は減少傾向となり、2016年に100万人、。22年に80万人を割った。国立社会保障・人口問題研究所の将来推計(中位推計)では、68万人台になるのは39年と見込んでいた。 出生率は1947年から統計を始めた。2024年は福井を除く46都道府県で下落。人口の一極集中が進む東京は23年のO・99を下回り、過去最低を更新した。 京都府の2024年の合計特殊出生率は1・05で、前年より0・06ポイント下がって2年連続で過去最低を更新した。全国順位は前年と同じ43位だった。 出生数は前年比959人減の1万2923人で過去最少。24年の人口動態統計をみると、京都の女性の平均初婚年齢は30・0歳と、埼玉、千葉と並んで3番目に高い。一方、婚姻率(人口千人あたり)は3・7と前年よりO・2ポイント増えており、府こども・子育て総合支援室は「婚活支援など粘り強く取り組んでいくしかない」としている。 厚生労働省が4日公表した人口動態統計によると、2024年の婚姻数は48万5063組となり、2年連続で50万組を割り込んだ。ピークだった1972年の約110万組に比べ半数以下。最大の理由となる若年層の人口減少に加え、出会う機会の少なさや、経済力への不安が拍車をかけているようだ。 年齢ごとの人口構成を表す国立社会保障・人口問題研究所の人ロピラミッドで1970年と2025年を比べると、20歳の人数は男女とも約100万人から約50万人に半減。約95万人だった30歳は3分の2の約60万人、約80万人いた40歳は約70万人に減っている。 ほかに要因として考えられるのは、結婚したくても、できない若者の存在だ。こども家庭庁が24年、結婚の意向がありながら未婚となっている10〜30代に理由を複数回答で尋ねると「出会いの場がない」が32%で最多。20〜30代に限ると「家族を養える経済力がない」が多かった。 結婚する時期は遅くなっている。人口動態統計によると、24年の平均初婚年齢は男性31・1歳、女性29・8歳となり、約30年前に比べて2〜3歳上がった。都道府県別では東京が最も高く、男性32・2歳、女性30・7歳。女性が30歳以上となったのは、ほかに埼玉、千葉、神奈川、京都の4府県だった 出生数の減少スピードが著しく速く深刻だ。婚姻数が増えたのは、新型コロナウイルス禍の影響で減少した分の一時的なリバウンドとみられ、油断できない。地方での出生率低下は特に根深い問題で、女性が就ける職が少ないことや、大学を卒業した若い世代が定着しないことも影響する。都市部を含め、さ らなる出生率低下に歯止めをかけるためには、子どもを持ちたくても諦めてしまう低所得層の夫婦を減らすことが最も重要と言える。国は賃金格差や雇用不足などの重要課題に責任を持って取り組むべきだ。 政府は2030年までを「少子化傾向を反転させるラストチャンス」としているが、その時点までの反転は難しいだろう。1970年代半ばから続く少子化で母親となり得る女性の数が少なくなり、出生数も減るという構造が変わっていないためだ。女性の働く期間が長くなっており、少子化対策としてキャ リア形成と子育てを両立できる環煩が重要となる。だが男性が子育てを担う時間は女性より短く、家事の負担も偏っている。一時的な育児休業だけではなく、男性の働き方を子育てと連動させる制度設計が必要だ。 かつて「禿と白髪ばかりの運動」と市民運動を評した元宇宙飛行士の言葉が一層目に付く現状。インフラの更新や福祉・介護などのいわゆるエッセンシャルワークを担う人が減少する社会でもある。出会いや結婚の機会を増やすことではどうにもならないところにまできているのだろう。妙薬があるわけもないだろうが、ユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)の導入や労働時間の半減そして都市の在り方など、「成長」を目指す経済からの脱却を本当に考えなければならない時代に来ている。政治が「脱成長」を議論できるほどの質の高さを持つことも重要だろう。
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【エルサレム共同】パレスチナ自治区ガザの保健当局は3日、ガザ最南部ラフアの物資配給拠点周辺で同日、イスラエル軍の攻撃が再びあり、27人が死亡、90人以上が負傷したと発表した。イスラエル軍は、不審者らを確認し警告射撃したと表明した。人道危機が続くガザではイスラエルと米国の主導で始まった物資配給の拠点に殺到する住民への銃撃が相次ぎ、死傷者が続出。国連のグテレス事務総長は2日、独立調査を求めた。 イスラエル軍は、3日の事案では、拠点から約500メートル離れた地点で不審者らが指定ルートを外れたと主張。詳細を調査中だとしている。 配給は米イスラエル主導で設立された「ガザ人道財団」が実施。ガザ保健当局などによると、1日にはラフアの拠点周辺での攻撃で31人が死亡。2日も拠点に向かう住民が攻撃を受け、死傷者が出た。イスラエル軍が発砲したとの目撃情報がある。イスラエル軍は警告射撃と主張している。 グテレス氏はX(旧ツイツター)で、食料を求める住民の「命を危険にさらすことは容認できない」と訴え、加害者の責任追及を要求。大規模な支援物資が支障なく搬入される必要性を強調し、「即時の恒久的で持続可能な停戦を求める」と呼びかけた。財団の配給には国連は関与せず、イスラエル側による恣意的な運用だとの批判が出ている。 パレスチナ通信は3日、南部ハンユニスの住宅が空爆され子ども2人が死亡したと報じた。同通信によると2023年の戦闘開始以降、ガザでは腎不全患者の41%が亡くなった。重要な医療インフラが破壊され、透析治療を受けられないことが主な原因という。 イスラエル軍の兵士たちはどのような指示を受けているのだろう。仮に指示がなければどのような判断の下で「警告射撃」を行っているのだろうか。一方、生きるために食料を求めた人が死の憂き目にあうことの残念さも。およそ想像がつかないほど非人道的な行為だ。UNRWAのラザリニ事務局長が「死のわな」と呼んでいる「ガザ人道財団」は即刻国連に事業を委ねないといけない。
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政府は3日、地方創生に関する有識者会議を首相官邸で開き、今後10年の指針となる基本構想案を示した。仕事や趣味などで継続的に居住地以外の地域に関わる「関係人口」を増やすため、自治体がこうした人を「ふるさと住民」として登録する制度を創設、10年で1千万人を目指す。東京圏から地方へ転入する若者の比率を倍増させ、人口の偏在解消を進める。 与党と調整し、今月中旬にも決定。実行に向けた戦略を25年中に策定する。 石破茂首相は会議で「若者、女性に選ばれる地方の実現へ意識改革を着実にしていくことに加え、農林水産業のスマート化や中小企業の生産性向上など『稼げる地方』をつくる」と強調した。 構想案は「人口規模が縮小しても経済成長し、社会を機能させる適応策を講じる」と強調。「10年後に目指す姿」として数値目標を設定した。 ふるさと住民は、観光のリピーターやふるさと納税の寄付者らがスマートフォンアプリを通じて申請、自治体が登録証を発行する仕組みを想定。対象者にはイベントやボランティア募集の情報や、行政サービスの提供などを検討している。複数自治体に登録できるシステムとし、重複を含む延べ人数は1億人を目指すとしている。 若者や女性に選ばれる地方の実現へ、魅力的な学びの場や職場づくりを進めて移住を促す。東京圈に住む15〜29歳のうち24年に圏外へ転出したのは2・5%にとどまり、この比率を倍増させる。 医療・介護サービスの維持や公共交通機関の「空白」解消などに取り組むよう全自治体に求める。 構想は2034年度までが対象で、29年度に見直す。 構想案では地方での「経済成長」をうたっているが、東京(都市)での生活スタイルをそのまま地方に移植するだけでは若者の「ターン」は難しいのではないか。むしろ生活の質をどう変革し創生していくことに魅力を感じるような「ふるさと」がイメージされる必要がある。
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文部科学省は3日、2026年春入学者の大学入試の実施要項を公表した。これまで認めていなかった学力試験の年内実施について、小論又や面接、実技検査といった評価方法と組み合わせる場合は可能とする内容を新たに盛り込んだ。 「年内入試」と呼ばれる総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜(旧推薦入試)での学力試験を正式に認めた形。国公私立大や大学入試センター、都道府県教官萎員会などに同日、通知した。 実施要項は学力試験の期日を従来通り「2月1日から3月25日までの間」と明記した上で、総合型や学校推薦型で学力試験を導入する際は調査書などの出願書類に加え、小論文や面接と「必ず組み合わせて丁寧に評価しなければならない」とした。高校教育への影響や志願者の負担にも十分配慮するよう求めた。 小論文などでは教科・科目の知識を問うような形式にならないよう留意することも追記。出願は総合型が9月1日以降、学校推薦型が11月1日以降、合否発表はそれぞれ11月1日以降と12月1日以降で例年通り。 年内入試を巡っては昨年、東洋大や大東文化大が学校推薦型で国語や英語の学力試験を実施。関西の複数大学でも長年、学力試験を課す学校推薦型を行ってきたことが問題視された。 総合型選抜は本来個人の特性を生かした学びを大学で実施するための材料として実施されてきたはずだが、学生の青田買いのための機会となっている。加えて、私学の生き残りを見据えれば少しでも優秀な人材を確保したいという理事者がわの意図がある。そうした流れを後追いする形の文科省の通知に意味はあるのか。
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【ワシントン共同】米軍横田基地(東京都)の敷地内で2023年1月、発がん性が指摘される有機フツ素化合物(PFAS)で汚染された水の漏出事故が発 生したことが1日までに分かった。米軍は廃棄物となった汚染水を適切に保管せず、基地で働く誰でも近づける状況だった。米国防総省が今年4月に報告書を公 表し「職員や市民が健康被害にさらされるリスク」を指摘していた。 日本国内の米軍基地周辺ではPFASが高濃度で検出される事例が相次ぎ、近隣住民の懸念が高まっている。沖縄県など多くの基地を抱える自治体で、米軍のこれまでの管理状況に改めて疑問の声が上がりそうだ。 林芳正宮房長官は2日の記者会見で「防衛省が米側に事実関係を確認している。コメントを控える」と述べた。米側から情報が得られ次第、速やかに関係自治体に提供すると強調した。 報告書によると事故は23年1月25〜26日に発生。消火設備からPFASの代表物質PFOSとPFOAで汚染された約950リットルの水が漏出した。 米軍は同年2月に、漏出で発生した廃棄物を基地内の物販店の裏に保管していたという。有害廃棄物専用の保管場所が満杯だったことが理由で、「立ち入り禁止」の標識はあったが厳重に管理せず、基地で働く一般の従業員らも立ち入りが可能だった。有害廃棄物の保管に関する在日米軍の指針に従っていなかった。 報告書はPFASの発がんリスクに言及し、日本国民が横田基地周辺の水質汚染を懸念していると明記した。米軍は勧告を受け、管理場所が満杯でも指針に従って有害廃棄物を保管するための計画を策定するとした。 沖縄米軍基地周辺でのPFAS汚染については早くから知られていた。にもかかわらず日本政府は汚染源調査を怠っていた。ようやく最近「基準値」を設けたがそれ以上の対策は行っていない。「公害」という認識では不十分であり、積極的に米軍および自衛隊基地の汚染状況を公表すべきだ。経済学から公害研究を行ってきた宮本憲一は公害と貧困の関係を問いそれを現代の貧困と呼び弱者が最も被害を受けやすいという。
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【エルサレム共同】パレスチナ自治区ガザでイスラエルと米国の主導で新たに始まった物資配給の拠点に殺到する住民への銃撃が相次ぎ、死傷者が続出してい る。イスラエル軍が発砲したとの目撃証言が伝えられる一方、イスラエルは関与を否定。国連が関わらない物資配給は恣意的だとの批判も強い。人道危機の中、 配給量も限定的で、混乱は収まりそうにない。 配給を始めたのは米イスラエル主導で設立した「ガザ人道財団」。ガザ当局は2日、最南部ラフアの配給拠点付近でイスラエル軍の攻撃で3人が死亡、35人が負傷したと表明した。ガザ保健当局によると、1日にもラフアの配給拠点周辺で攻撃があり31人が死亡した。中東メディアなどは、物資を求める住民にイスラエル軍が発砲したとの目撃者の話を伝えた。 イスラエルメディアによると、軍は1日の事案に関して拠点内や付近での発砲を否定。配給時間前に約1キロ離れた場所で警告射撃したと説明した。ガザ南部八ンユニスで覆面の男らが住民に発砲する場面を写したとするドローン映像も公開。「配給妨害のためイスラム組織ハマスは何でもする」と主張した。 ラフアの配給拠点では5月27日にも、殺到した住民への発砲で多くの死傷者が出た。イスラエル軍は警告射撃実施を認めた。国運パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のラザリニ事務局長は、物資配給が「死のわなと化している」と非難。国連による配給の必要性を訴えた。 イスラエルは5月中旬まで2ヵ月半、ガザヘの物資搬入を止め、ガザの食料不足が深刻化。イスラエル軍はガザを3区域に分け住民を強制移住させる計画だとされ、財団の配給拠点は移住を促す形にあると批判される。財源など財団の詳しい実態は分かっていない。 ガザ保健当局は2日、闘開始後のガザ側死者数は5万4470人になったと発表した。 【ニューヨーク共同】米西部コロラド州ポルダーで1日、パレスチナ自治区ガザ情勢を巡ってイスラエル支持を訴えるデモに参加していた人たちを男(45)が襲撃した。連邦捜査局(FBI)は、手製とみられる火炎放射器を使って火を付けたとして、男を拘束した。警察によると、やけどなどで8人が負傷した。男は「パレスチナに自由を」と叫んでいたという。 米国ではイスラエルによるガザヘの攻撃長期化に伴い、イスラエルへの反感からユダヤ系を標的とする事件が相次いでいる。 FBIのパテル長官は「標的型のテロ攻撃」だとX(旧ツイッター)に投稿した。イスラエルのネタニヤフ首相は声明で「罪のない市民が今後攻撃されることのないよう、米当局があらゆる手段を講じてくれると信じる」と述べた。イスラエルのダノン国場大使は、ユダヤ人に対する「テロ」だと非難する声明を発表した。 FBIなどによると、負傷者は52〜88歳。拘束された男も負傷して病院に搬送された。現場には、イスラム組織ハマスがガザで拘束している人質の解放を求め、ユダヤ系の人たちが毎週集まっていた。 5月21日には、首都ワシントンのユダヤ博物館でイスラエル大使館職員2人が銃撃され死亡した。容疑者は現場で「ガザのためにやった」と話した。トランプ政権は反イスラエルデモなど、政権が「反ユダヤ主義」とみなす動きへの取り締まりを強めている。 ネタニヤフ首相の「罪のない市民」ということばに何らの重みも感じられない。もちろんテロを容認することはできないが、市民の分断をもたらしているのは「反ユダヤ主義」ということばの恣意的な使い方にもある。そして「ガザ人道財団」という組織につけられた「人道」も同様ではないか。
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軍事技術にも将来的に応用可能な基礎研究を支援する防衛省の「安全保障技術研究推進制度」で、制度が始まった2015年度から9年間で22大学が計約27億3千万円の助成を受けたことが1日、共同通信の集計で分かった。科学者の戦争協カヘの反省から制度を問題視する日本学術会議と、会員の任命拒否や組織改変を試みる政府のせめぎ合いの中、研究費獲得に苦戦する地方大を中心に利用が次第に拡大する様子がうかがえた。 制度は、民生分野の活用の他に兵器などへの応用可能性がある基礎研究を対象とする。15〜23年度の予算執行状況をまとめた行政事業レビューシートによると、制度による大学への助成は増加傾向。最多は19年度に採択された筑波大で約11億6千万円。3件が選ばれた豊橋技術科学大が約5億6千万円、16年度から6年間助成された大阪市立大(現大阪公立大)が約1億4千万円と続いた。 大学を代表機関とする研究課題は、17年度を除いて毎年採択された。旧帝大は北海道大だけで、地方大が比較的多い。最大5年間で計20億円を上限とする「大規模研究課題」は23年度までに、空気中のウイルス検出など豊橋技術科学大の2件が選ばれた。炭素素材のカーボンナノチューブで衝撃に強い材料を開発する筑波大の研究1件や、北海道大、熊本大のそれぞれ1件も採択された。 学術会議は1950年以降、戦争目的の研究をしないとの声明を2度出した。防衛省の制度を問題視する声明も17年にまとめた。菅義偉首相(当時)は20年、新会員候補6人の任命を拒否し、政府は学術会議改革の議論を開始。特殊法人化法案が国会で審議されている。 防衛省が「安全保障技術研究推進制度」で2015年度から9年間、22大学に計27億3千万円を助成していた。有毒ガスの吸着シート開発や、サイバー攻撃を人工知能(AI)で検知するシステムの検証など、いずれも先進的な民生分野がテーマだ。国立大学への運営費交付金が年々減少する中、研究者にとって重要な資金になっている。直接的な軍事研究ではないとしているものの、専門家からは「防衛省が大きい予算で囲い込む制度といえる。転用リスクを考慮すべきだ」と懸念の声が上がる。 「大学も自分も(軍事応用が可能な)デュアルユース技術研究をしようとは思っていない」。大阪公立大の森浩一教授(航空宇宙工学)は力説する。レーザーで宇宙ごみの軌道を変えるシステムを検討する課題が23年度、同制度の年間最大1300万円を助成するタイプで採択された。 森教授によると、1〜10センチ程度の宇宙ごみをレーザーで局所的に溶かして軌道を変えるシステムの小規模化に挑んでいる。「軍事利用とは逆だ」と話す。 大学側は民生利用であることや基礎研究であることを審査し、制度への申請を許可した。課題の採択後も定期的に進捗を管理しており、担当職員は「日本学術会議の声明にのっとって軍事利用のリスクを可能な限り低くしていく」と強調した。 総務省統計局によると、自然科学街究で使われる国内の科学技術研究費は年々増加しており、23年度は20兆5350億円。ただ研究者1人当たりの研究費を所属別で見ると、企業が3079万円、公的研究機関などが5233万円に対し、大学は1301万円と大きな差がある。 省庁などの公募で選ばれる競争的研究資金は近年、2兆円前後で推移している。中でも、大学所属の研究者にとって重要なのが科学研究費助成事業(科研費)だ。幅広い分野に対応し多くの応募があるものの、新規採択率はこの10年以上、3割を切っている。24年度の1課題あたりの配分額は最高2億4360万円だが、平均は256万円だった。 森教授は「科研費の有無や額で、学生への教育効果や成果が変わる。今は安全保障技術研究推進制度で潤沢にもらえて助かっている」と打ち明ける。 旧科学技術庁などで科学技術行政に長年携わってきた下田隆二・東京工業大名誉教授は、安全保障技術研究推進制度が論文公表などを制限していないことから「研究者にとつては魅力的に見える」と考える。基礎研究の段階では軍事利用されるかどうかは予見できないとした上で「転用リスクの有無を考えるのが科学 者の責任だ。学術会議や各大学がガイドラインを検討すべきだ」と主張する。 一方、井原聡・東北大名誉教授(科学史・技術史)は「研究成果を防衛装備品につなげようとする流れは明確だ」と制度を批判する。「『軍事利用がはっきりしている予算に手を付けない』という学術会議の伝統的な考えを継承してほしい」と訴えた。 大阪・関西万博の目玉だった「空飛ぶクルマ」は実用化しなかったのだが、ウクライナ・ロシアの戦争ではまさにゲームチェンジャーとして登場したのがドローン技術だった。軍事と民生の境界は極めてあいまい。そこに目を付けたのが防衛省の「囲い込み」だった。大学がこうした研究をどう制御するが問われるのだが、研究者個々が「技術」をどう考えるかも合わせて問われなければならない。T・イリイチの『コンヴィヴィアリティのための道具』
の紹介文には「ますます混迷の度を深め、閉塞感が高まる現代。現行の諸制度に対する不満がさまざまな形で噴出している。では、めざすべき新たな社会とはどういったものか―。イリイチはそれをコンヴィヴィアリティ(自立共生)という言葉に託した。人間の本来性を損なうことなく、他者や自然との関係性のなかでその自由を享受し、創造性を最大限発揮させていく社会、技術や制度に隷従するのではなく、人間にそれらを従わせる社会、それは決してユートピアではない。」とある。
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沖縄戦の犠牲者を慰霊する「ひめゆりの塔」(沖縄県糸満市)の展示説明を「歴史の書き換え」などと発言した問題について、参院議員の西田昌司自民党京都府連会長は1日、府連定期大会のあいさつで「さまざまな報道がされ、皆さまに大変ご心配をおかけしている」と切り出し、「選挙戦に向けて、謙虚に反省しながらこの問題に対処したい」と述べた。 一方、西田氏は月刊誌への寄稿で自身の発言の正当性を主張している。大会終了後、報道陣から「反省」の真意を問われた西田氏は「(寄稿に書いた通りで)それ以上でも以下でもない。十分に説明責任を果たしている」とした。 また、この問題を巡り石破茂首相が「認識を異にする」とし、森山裕党幹事長が沖縄県議会代表団に謝罪したことについて、西田氏は「あの方々がどれほど私の発言にご理解いただいているか分からない。。コメントする状況にない」と述べた。 安倍晋三という後ろ盾を欠いた中での歴史修正主義的意見は、迷走状態。京都選挙区で多数が乱立する中保守票の分散もささやかれる中「謙虚に反省」とは、選挙前に波風を立てないという意味か。しかし、本土と沖縄の関係については京都の参議院議員であれ明確な歴史認識の上に立っての行動が求められる。
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沖縄戦の犠牲者を慰霊する「ひめゆりの塔」(沖縄県糸満市)の展示説明を自民党の西田昌司参院議員(京都選挙区)が「歴史の書き換え」などと発言し、沖縄県議会などが抗議している問題で、西田氏は31日までに月刊誌に寄稿し「批判や非難は、事実に冷静に向き合っているでしょうか」と反論した。ひめゆり平和祈念資料館が「ない」とした展示説明についても西田氏は、数年前まで「講演の通りの文脈の展示をしていた」と記した。 自民沖縄県連の座波一幹事長は同日、取材に対して「石破茂党総裁や幹事長の謝罪コメントと整合しない内容もあり、残念と言わざるを得ない。県議会が抗議活動のため上京し、西田議員と面会が叶わなかった矢先で唐突」とコメントした。反発がさらに広がりそうだ。 5月30日発売の月刊誌「正論」7月号で、西田氏は「日本のために命をなげうった沖縄県民を『犠牲者』とだけ断じる歴史観を受け入れることは、私にはできません」とし、TPO(時、場所、場面)を欠いた発言で「お詫びしなければなりませんが、事実は事実」などと記した。 同資料館のかつての展示で、太平洋戦争の戦況図に日本軍の「侵攻」、米軍の「反攻」と記されていたと、資料館に取材した記事を引用。西田氏は「侵攻」と「侵略」はほぼ同義とし、「数年前まで私が(5月3日に)講演した通り『日本の侵略により戦争が始まり、米軍の進攻又は反攻により戦争が終わった』という展示を行っていた」と主張。「日本軍は悪、米軍は善という東京裁判史観そのもの」と持論をあらためて記した。 西田氏は3日に那覇市でひめゆりの塔を巡る一連の発言をした。批判が高まると、9日に「発言を訂正、削除する」と述べたが、戦後教育などへの見解は「撤回しない」としていた。 沖縄県議会代表団は29日に自民党本部を訪れ、西田氏の発言について「戦没者や戦争体験者を冒涜し県民の尊厳を踏みにじるもの」と抗議する決議文を提出し、森山裕幹事長は謝罪していた。 西田氏の発言は、沖縄戦の実相をゆがめ、戦没者や戦争体験者を冒潰し、県民の尊厳を踏みにじるものである。 沖縄戦体験者の証言やで沖縄戦研究から明らかになってきた事実は、日本軍が本土決戦を遅らせるため沖縄で時間稼ぎの持久作戦を続け、本土防衛のための「捨て石」にされたと沖縄県史などに表現されている。日本軍は旧制中学校や旧師範学校の生徒たちを、ひめゆりをはじめとする学徒隊や鉄血勤皇隊などとして戦場に駆り出した。首里城の地下に造った司令部を放棄し、住民が避難していた本島南部に撤退した結果、軍民混在の状況の中、住民を巻き込んだ激しい地上戦となり、県民の4人に1人の貴い命が奪われた。これらは日本軍の作戦による犠牲であることは紛れもない歴史上の事実である。 西田氏は「ひめゆりの塔」に言及したことを「TPOをわきまえるべきだった」と弁明したが、沖縄の歴史教育や平和教育を非難した根幹部分は謝罪も撤回もしていない。 西田氏のポスタ−には「伝えよう、美しい精神と自然。日本の背骨を取り戻そう」とのキャッチコピーが躍る。そして精神には「こころ」、自然には「こくど」のルビがある。美しい「こころ」と「こくど」を破壊したのはまぎれもなく従来の自民党の経済政策ではないのか。一つは3・11東京電力福島第1原発事故、もう一つは県民の意思を無視して強行されている辺野古基地建設と島嶼に設置されているミサイル基地とレーダー基地。仮に西田氏が「東京裁判史観」を正そうとするなら日米安保条約を破棄するという問題にも言及すべきではないか。
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政府が地方創生の実現に向け、今後10年で取り組む施策と数値目標をまとめた基本構想の原案が31日、判明した。都市部などに住みながら、仕事や趣味で継続的に別の地域に関わる「関係人口」を1千万人創出すると明記。東京圏から地方への若者の流れも倍増させ、人口の偏在解消を目指す。与党などと調整、6 月中に公表する。 石破政権が掲げる「地方創生2・0」で、今後の指標となる数値目標が明らかになるのは初めて。地方から東京圏への人口流出が増加傾向の中、実効性のある政策の立案が課題となる。 原案は、若者や女性に選ばれる地方など「10年後に目指す姿」を提示。都市と地方が支え合う社会に向けて関係人口を増やすほか、魅力的な学びの場、職場をつくり出し、地方への転入希望者増につなげるとした。 人材不足を補い、一人一人が活躍できるようにするため、全事業者が希望する職員の副業・兼業を可能にする環境を整備することを目指す。 過疎地でも不便なく生活できるよう、近隣で生活必需品の買い物ができる環境や医療・介護サービスの維持、公共交通機関の「空白」解消に全市町村が取り組む。地域資源を生かした産業の高付加価値化も進める。「稼げる」地方経済の実現へ、農林水産物や食品の輸出額と、外国人観光客による食関連の消費額の合 計を3倍にする目標を設定。起業に挑戦できる環境整備も強調した。 構想は2034年度までが対象で、中間の29年度に見直す。具体化に向けた戦略を25年中に策定する方針も示した。 増田寛也ら『地方消滅 - 東京一極集中が招く人口急減』 (2014 中公新書) が大きな話題となった。このときの地方創成担当大臣が石破現首相だった。同時に藻谷浩介ら『里山資本主義 - 日本経済は「安心の原理」で動く』 (2013角川新書)も多く読まれた。そして、斎藤幸平『人新世の「資本論」』 (2020 集英社新書) がベストセラーとなったこの10年で何が変わったのだろうか。地方創成の一番の課題は「東京一極集中」だろう。このことは人口の集中だけではなく、グリーン・ウォッシュとされる事業でも資金が中央に還流していく経済システムこそが問題ではにのだろうか。様々な議論がある「脱成長」ではあるが、それらとともに「地方創成」が検討される必要があるだろう。
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宇治田原町教育委員会は来年4月から、町内の3小中学校と1幼稚園の給食を担う学校給食共同調理場(緑苑坂)での調理や配送を、民間委託すると決めた。現在の町直営では調理員が不足しているため。ただ、これまで手作りで町ならではの味にこだわってきた経緯がある。人件費が上昇傾向にある中、子どもらの食を託す業者選びが注目される。(野坂真輝) 調理場は2003年に完成。正職員3人と会計年度任用職員8人が所属し、1日約700食を提供している。1日あたり12人での勤務が理想というが、現 状は10人程度で運営している。 町は国の方針に従い、1998年度以降は給食調理員を含む技能労務職員を正職員に採用していない。有期雇用で非正規の会計年度職員として募集してい るものの、肉体労働も多い調理場で働きたい人は年々減少。人手不足を解消できずにいた。 同町は給食を「第2のおふくろの味」と位置づけ、基本的に手作りし化学調味料は不使用だつた。調理場の市川博己所長は「カレーはスパイスから調合し、 肉まんは皮から作って手で包む。調理員が編み出した宇治田原の味がある」と話す。 2016年には全国の2004の学校や施設が味や栄養価を競う「全国学校給食甲子園」で準優勝した。しかし近年の人手不足で、こだわりの味の維持が 難しくなっていたという。 来春から委託するのは、納品された食材の確認や調理、クラスごとに分ける「配缶」、配送などの業務。献立作成や安全確認のための試食、食育指導は町 直営を維持する。調理場は現存の施設を使う。委託で発生する費用は給食費には反映させず、町が負担する。 7〜9月にプロポーザル方式で業者を募って審査、10月ごろに決定する。契約期間は2030年度末まで。委託費として、30年度までに2億9700万円 を限度額とする債務負担行為を設定する予定で、4日開会の町議会6月定例会に補正予算案を提案する。 近隣では、城陽市と京田辺市が全小中学校の給食調理を民間委託し、宇治市も段階的に進めている。宇治市が昨秋に行った委託業者の入札は、上限となる 予定価格に人件費上昇の実態が反映できておらず、業者が参加を辞退して不調となり、後日再入札した。 宇治田原町でも適切なコストの見極めが重要となるのに加え、独自のこだわりの継承が期待される。長年調理員をする男性は「子どもの命を預かる仕事。 委託になっても安心安全を第一に、子どもが待ち遠しく思うような、今以上においしい給食を作ってほしい」。町教委は「業者が手を挙げない事態は避けたいと上限額を考えた。味の継承ができることも重要。それらを考慮して仕様書の内容を練りたいとしている。 給食の自校調理は徐々に減少の傾向にあるが、センター方式でも労働力の不足が目立つという。民間業者に委託するというのがトレンドとなっているようだ。地方に人材を供給するという「地方創成」の観点から、例えばワークシェアリングや短時間労働などのアイデアを取り入れることやワーカーズコレクティブ(労働者協同組合)主体の事業展開を自治体が支援するなどの方法が模索されていもいいはず。
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