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米欧、分断の危機に直面(2025/8/19) 侵攻3年半 抗戦決意(2025/8/25) ロがキーウ攻撃 18人死亡(2025/8/29) 「安全の保証」26か国約束(2025/9/6) 「領土交換」から一転(2025/9/24) 米、トマホーク供与見送り(2025/10/19) 中朝イランに軍需調達網(2025/11/11) |
米ロ、東部2州割譲案(2025/11/21) 批判噴出で修正(2025/11/25) エネルギー分野 非常事態宣言へ(2026/1/16) ロシア死傷者120万人(2026/1/29) ロシア無人機にスターリンク(2026/2/4) ウクライナ 湾岸諸国に対無人機専門家(2026/3/10) |
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【表層深層】米欧、分断の危機に直面(2025/8/18 京都新聞)
トランプ米大統領は、ウクライナのゼレンスキー大統領や欧州の、各首脳と会談に臨む。領土割譲、北大西洋条約機構(NATO)加盟放棄、停戦を飛ばした和平交渉−。功を焦るトランプ氏はロシアのプーチン大統領の要求をのんだもようだ。再びロシア寄りにぷれたトランプ氏の引き戻しを目指すウクライナと欧州。米欧は分断の危機に直面、欧州の安全保障は転換点に立たされた。
「どう戦争が始まったか思い出せ。オバマ(米大統領)が与えたクリミアは戻らない。ウクライナのNATO加盟もない」。トランプ氏17日、交流サイト(SNS)で、ロシアが併合したウクライナ南部クリミア半島の返還、NATO加盟は諦めるべきと認識を示した。
欧米メディアによると、プーチン氏は15日のトランプ氏との会談で即時停戦を否定。ウクライナ軍のドンバス地域(ルハンスク、ドネツク両州)からの撤退と全域割譲、NATO加盟放棄、ロシア語公用語化を求めた。
停戦合意できなかったと批判され、いら立つトランプ氏。「ロシアと大きな進展があった」。17日はSNSで前のめりの姿勢を見せた。ウクライナに譲歩を迫るのではないかとの懸念が広がる。
2月にホワイトハウスでトランプ氏とゼレンスキー氏が会談した際は激しい口論となり決裂した。二の舞いになるのではないか―。欧州の首脳が今回こぞって駆け付けるのは、同じ事態を繰り返さないためとみられる。
「われわれの立場を冷静かつ詳細に説明できた」。プーチン氏は16日、政権幹部を前に米口首脳会談を満足げに振り返った。
欧州では、米口連携が深まるたびに危機感が増す。ナチス・ドイツの台頭をもたらした1938年のミュンヘン協定を想起させるからだ。当時、英仏はヒトラーの要求を受け入れ、チェコスロバキアのズデーテン地方割譲を認めた。当事者不在の「宥和政策」は独裁者の領土的野心を助長、第2次大戦へと向かった。
15日の会談に同席した米国のウィツトコフ中東担当特使は17日のテレビ番組で「会談で多くの勝利を得た」ため、停戦ではなく一気に和平合意を目指す方針に転換したと主張した。だが実際には、トランプ氏は今や「欧州よりもプーチン氏の主張を多く受け入れた」(米メディア)。
プーチン氏にとってウクライナ問題を有利な条件で決着させることと並び、米国と欧州を分断させることが悲願の一つ。米国第一で対外関与を嫌うトランプ氏と欧州側との間に「巧みにくさびを打ち込み」(ニューヨークータイムズ)、二つの目標を都合よく前進させる一挙両得の機会をたぐり寄せた。
「独立と主権を守り、武力による国境変更を認めない」。ゼレンスキー氏は17日、訴えた。ルビオ米国務長官は「戦争を終わらせるためには、不快でも双方とも諦めなければいけないものがある」と発言。今回の会談はウクライナ問題とともに、米欧の結束も試される機会となる。(ワシントン、キーウ共同)
侵攻3年半 抗戦決意(2025/8/25 京都新聞)
【キーウ共同】ロシアによるウクライナ侵攻開始から24日で3年半となった。首都キーウなどへの攻撃は続き、トランプ米大統領による和平仲介も不透明感が増している。出口の見えない戦いに市民は疲労を抱えながらも抗戦を決意。ゼレンスキー大統領は和平に向け、ロシアに首脳会談に応じるよう求め、米欧が関与する「安全の保証」の構築を急ぐ。
ゼレンスキー氏は23日、安全の保証を巡る議論について「数日中に全ての土台が整う」と主張。24日の声明では「ウクライナは安全の保証を得る。誰もがウクライナを攻撃しようとは考えなくなるほど強力なものだ」と述べた。
24日はウクライナの独立記念日。カナダのカーニー首相はキーウを訪れ、ゼレンスキー氏と会談した。カーニー氏は記者会見で「戦闘終結後のウクライナへの地上部隊派遣を排除しない」と述べた。米国のケロッグ・ウクライナ担当特使もキーウを訪問した。
トランプ氏は「米国はウクライナ国民の闘いに敬意を表し、独立国家としての未来を信じている」とのメッセージをゼレンスキー氏に寄せた。
各地では市民らが犠牲者を追悼した。キーウ中心部では、東部ドネツク州で兵士の夫を亡くしたボフダニョクさん(28)が「ロシアを許せない。遺族の闘いに終わりはない」と涙を拭った。
ロがキーウ攻撃 18人死亡(2025/8/29 京都新聞)
【キーウ共同】ロシア軍は27日深夜から28日朝にかけて、ウクライナの首都キーウをミサイルや無人機で大規模攻撃した。市当局によると、子ども4人を含む18人が死亡した。犠牲者はさらに増える可能性がある。市内の在ウクライナ欧州連合(EU)代表部や英国の文化交流機関「ブリティツシュ・カウンシル」の建物も損傷。欧州首脳から非難の声が相次いだ。
キーウヘの攻撃としては、トランプ米大統領と口シアのプーチン大統領が15日に米アラスカ州で会談して以降、最大規模。米国が仲介する和平交渉にも影響しそうだ。ウクライナのゼレンスキー大統領は「ロシアは交渉ではなく、ミサイル攻撃を選んだ。停戦と外交を求めてきた世界中の人々に対する明確な回答だ」と非難した。
市内の5階建ての集合住宅にはミサイルが直撃した。建物の一部がえぐられたような形で崩落。近所に住むイリーナさんは「ウクライナを降伏させ るための脅しを続けている。それがロシアの狙いだ」と憤った。
フォンデアライエン欧州委員長によると、代表部の近くにミサイル2発が着弾。衝撃波で窓が割れたり天井のパネルが落ちたりした。代表部の職員に負傷者はいなかった。
ウクライナ支援首脳会合「安全の保証」26か国約束(2025/9/6 京都新聞)
【パリ、キーウ共同】フランスなどウクライナ支援の有志国連合が4日、パリで首脳会合を開いた。ロシアとの戦闘終結後にウクライナに提供する「安全の保証」について議論。フランスのマクロン大統領は会合後、ウクライナのゼレンスキー大統領との共同記者会見で「26力国が部隊派遣や陸、海、空での展開を約束した」と述べたが、規模には言及しなかった。
会合には欧州諸国を中心にオンラインも含め30力国以上が参加。日本の石破茂首相も加わった。ゼレンスキー氏らは続いてトランプ米大統領に電話で結果を報告した。
林芳正宣房長官は5日の記者会見で「日本は26力国に入っておらず、自衛隊の部隊派遣を政府として検討している事実はない」と述べた。
マクロン氏は、欧州諸国が期待する安全の保証に対する米国の関与に関し、卜ランプ政権の意思は「非常に明確だ」と強調した。ただ最終決定は数日中になされると指摘するにとどまった。
米紙ウォールストリートージヤーナルは欧州外交筋の話として、部隊派遣の規模は1万人を超える見通しだと報じた。派遣は今後、各国で国内調整が必要とみられ、紆余曲折がありそうだ。
ロシアは自らも関与した形で安全の保証の枠組みを構築すべきだと主張し、有志国の部隊派遣に強く反対。ロシアが欧米主導の構想を受け入れる可能性は低く、戦闘終結の道筋はなお見えない。
ゼレンスキー氏は4日の記者会見で「安全の保証の基盤は整っており、各国の役割を決定する段階だ」と指摘。陸、海、空やサイバー空間だけでなく財政面の支援も含まれるとの認識を示した。ウクライナ軍の強化が安全の保証の主要な要素になるとも強調した。
マクロン氏は26力国の関与について「部隊の地上展開のほか、北大西洋条約機構(NATO)加盟国内にとどまったり、基地を提供したりすることもある」と説明した。
【ウラジオストク共同】ロシアのプーチン大統領は5日、欧州などの有志国連合が議論しているウクライナに対する「安全の保証」に関連し、安全の保証は「口シアとウクライナ両国に対し策定されなければならない」と述べ、ロシア抜きの一方的な議論をけん制した。ウクライナとの首脳会談には「大きな意味を見いだせない」と、消極的な姿勢を示した。
極東ウラジオストクで開催中の東方経済フォーラムで語った。プーチン氏はトランプ米大統領が要請している首脳会談について、実施したとしてもウクライナと重要問題で合意できる可能性はないと指摘。同時に、ゼレンスキー大統領がモスクワを訪問するよう促し「安全を100%保証する」と強調した。
米、トランプ大統領「領土交換」から一転(2025/9/24 京都新聞)
トランプ米大統領が23日、ウクライナは全てのロシア占領地を奪い返せると根 拠なく主張した。直近まで「領土交換」の必要性を訴えていたが、主張を一転。 自らが仲介してきた和平交渉が停滞する中、仲介役を欧州に押しつけて米国は手 を引くための布石を打ったとの観測も流れる。真意を見極められない関係国は困 惑する。
「ウクライナは国を元の姿に戻し、もしかしたら、さらに獲得できるかもしれない!ロシアは深刻な経済難にある」。トランプ氏はウクライナのゼレンスキー大統領とニューヨークで約1時間会談した直後、自身の交流サイト(SNS)にこう投稿した。しかし、戦場の現実を直視すれば、全土奪還が可能との主張には無理がある。。ロシアは千キロ以上に及ぶ前線の占領地側に塹壕を張り巡らせて、東部では制圧地域を徐々に拡大。ウクライナは兵器不足に加え、十分な数の兵士の確保にも苦しむ。
トランプ氏は北大西洋条約機構(NATO)を通じたウクライナへの兵器供与を続ける考えを示唆したが、供与規模は不明。米軍地上部隊を送る考えもない。ウクライナが大規模な反転攻勢に踏み切る余力は乏しく、全土奪還は非現実的だ。
そもそも武力による全土奪還は、ウクライナも現状で目標にしていない。現在の前線を基準に領土交渉に入る構えで、南部クリミア半島や東部ドンバス地域の一部の暫定的占領は認めざるを得ないとの立場だ。
トランプ氏の発言の軽さは度々指摘されてきた。2月にワシントンでゼレンスキー氏と会談した際には、戦争をカードゲームに例え「あなたには切り札がない」と突き放し口論に発展した。8月の米口首脳会談の前には「一部領土の交換を検討している」と発言。会談ではウクライナ不在のまま領土交換を議論した。
現実を顧みず実現の道筋も示さずに全土奪還は可能と口走ったトランプ氏。先進7力国(G7)外交筋は「対口制裁や『安全の保証』といった主要な論点を曖昧にする狙いではないか」とみる。実際、トランプ氏は欧州の一部がロシア産原油の輸入を続けていると繰り返し、対ロシア追加制裁に二の足を踏んでいる。安全の保証についても、協議は時期尚早だとして深入りを避けている。
制裁期限を設定しては骨抜きにするトランプ氏の姿勢に、同筋は「和平交渉から距離を置き、欧州に丸投げしたいのは明白だ。そうなれば、欧米に亀裂が生まれ、ロシアにとって渡りに船だ」と懸念を示した。(キーウ共同)
米、トマホーク供与見送り(2025/10/19 京都新聞)
【ワシントン、キーウ共同】トランプ米大統領は17日、ウクライナのゼレンスキー大統領とホワイトハウスで会談した。ウクライナが求める巡航ミサイル「トマホーク」の供与は戦闘激化にっながるとして現時点での供与を見送った。会談後、現在の前線を凍結して即時停戦するようウクライナとロシアに呼びかけた。
トマホークは長射程で、ウクライナ国内からロシアの首都モスクワに届く。トランプ氏が、供与に強硬に反対するロシアのプーチン大統領に配慮を示した形。ハンガリーの首都ブダペストで計画する米口首脳会談の取引材料として停戦受け入れを迫る構えだが、局面打開は見通せない。
トランプ氏は17日の会談でトマホークについて「米国も必要だ。供与せずに戦争を終わらせることが望ましい」と主張。米ニュースサイト、アクシオスによると、ゼレンスキー氏は供与するよう強く迫った。トランプ氏はかたくなで要求を突つぱねたという。
トランプ氏は会談後、交流サイト(SNS)で「殺りくをやめ、合意を結ぶ時が来た」とゼレンスキー氏に伝えたと説明。現在の戦線を念頭に「戦争と勇気にようて境界線が引かれた。現状のまま双方がそれぞれ勝利を主張すれば良い。歴史に判断を委ねるべきだ」と訴えた。
現状で停戦した場合、ロシアがウクライナ国土の約2割を占領し続けることになる。トランプ氏は9月、占領地は全て奪還可能だと強調しており、領土問題を巡る方針は一貫性を欠いている。
ゼレンスキー氏は17日の会談で、トマホークは国産無人機と共にロシア国内の軍事目標に限定して使うと約束した。米国がトマホークを供与する見返りに、数千機のウクライナ製無人機を提供する案も示した。
プーチン氏はトランプ氏との16日の電話会談で、トマホーク供与は米口関係やウクライナ問題の解決に重大な損害を与えると警告していた。
米ウクライナ首脳の対面会談は9月23日以来。トランプ氏はハンガリーでゼレンスキー氏を交えた3者会談は目指さないとした。
中朝イランに軍需調達網(2025/11/11 京都新聞)
ウクライナ侵攻を続けるロシアが、中国や北朝鮮、イランとの間で構築した軍需物資の調達網の全容が10日、共同通信が入手したウクライナ国防当局の機密文書で分かった。ロシアが軍事技術供与の見返りに戦争継続に必要な北朝鮮製砲弾や、兵器製造に使う日米欧製電子部品を中国経由で獲得する「闇のネットワーク」をつくり、経済制裁で物流遮断を狙う欧米に対抗。文書作成に携わった国防当局者は「ロシアが現在使用する砲弾の約7割は北朝鮮製」と分析した。
ロシアと中朝の軍事連携が具体的に裏付けられ、日本を含む東アジアの安全保障環境が悪化に直結する恐れがある。国防当局者は取材に「ロシアを中心とする4力国にまたがる兵たん網が侵攻を下支えし、長期化させている」と指摘、制裁でロシアを孤立化させることが戦局転換の鍵になると強調した。
9月ごろ作成された機密文書や当局者の説明によると、北朝鮮は2022年2月の侵攻開始以降、ロシアに計約650万発の砲弾を供与した。ロシアが北朝鮮に兵器製造に必要な技術を伝達し、増産体制が構築された。北朝鮮は見返りとして、防空システムや宇宙関連技術、200億ドル(約3兆円)規模の経済支援を受けたとされる。
機密文書は、ロシアの核関連技術が北朝鮮に移転されたとの見方も示している。
イランは無人機シャヘド約2200機を提供した。技術支援を受けたロシアは現在、中部タタルスタン共和国などでのシャヘドの量産体制に移行した。イランはさらに爆薬製造の技術を提供し、見返りとしてロシアから防空システムやレーダーが移送された。
文書はまた、ロシアが戦車やミサイルなどの兵器製造に欠かせない日米欧の電子部品などを中国経由で入手していると指摘。ロシアの防衛産業向けに流通する半導体などの電子部品の9割が中国から入っていると推計した。
ロシアから中国には石油などのエネルギーと、航空機や潜水艦の製造に必要なレアメタル(希少金属)、軍民両用品などが提供された。(キーウ立同)
中国、イランに加えインドはロシアと戦前から関係が深ぐ、侵攻後も変わらない関係を続けている。兵士を参戦させた北朝鮮は関係を深めた。ロシアを孤立化させるのは難しい。
ロシアの継戦能力は、中国から得た軍民両用品、イランの無人機技術、インドのロシア産原油と兵器の購入などによって維持されている。制裁強化で資金の流れを止めることが有効だが、完全阻止は困難だ。ロシアが戦争を遂行する能力をゼロにはできない。財政赤字を抱えるロシアが今の規模で戦争を続けることはできないが、当面はロシア軍が前進し続けることが予想される。
北朝鮮はロシアから経済、インフラ分野で利益を得たが、軍事面で「見返り」があったとの証拠は今のところない。実戦経験を積んだ兵士がノウハウを得て練度を高めたとは言えるだろう。(共同)
米ロ、東部2州割譲案(2025/11/21 京都新聞)
【キーウ共同】英紙フィナンシャルータイムズ(FT)電子版は19日、米国がウクライナでの戦闘終結に向け、ロシアとの間で和平案を策定し、ウクライナに受け入れを迫ったと複数の関係者の話として報じた。ウクライナ東部ドンバス地域(ルハンスク、ドネツク両州)の割譲や軍の規模半減などウクライナに極めて不利な内容で、受諾は困難とみられる。
トランプ米大統領は最近、現在の前線で戦闘を停止し、その後に当事国間で領土交渉に入るべきだと主張していた。米政権の和平交渉方針は一貫性を欠いており今後も紆余曲折が予想される。米NBCテレビによるとトランプ氏は今週初めに新たな和平案を了承した。
FTによると、和平案は28項目でドンバス割譲と軍の規模半減に加えて@主要兵器の放棄と米国の軍事支援縮小A外国軍によるウクライナ駐留の禁止Bロシア領を攻撃する長射程兵器の供与禁止Cロシア語の公用語化―などを盛り込んだ。ロシアの意向が色濃く反映され、ウクライナにとっては主権の放棄に等しいとの見方もある。
米ニュースサイト、アクシオスによると、案にはロシアが併合したウクライナ南部クリミア半島とドンバスを、米国がロシア領と承認することも盛り込まれた。将来の再侵攻を防ぐため、米国がウクライナの「安全の保証」を確約するとした。ただ、具体的な内容は示されていないもようだ。
米国のウィツトコフ和平交渉担当特使が、訪米したウクライナのウメロフ国家安全保障・国防会議書記に和平案を示した。ウィツトコフ氏はトルコでゼレンスキー大統領とも会談予定だったが、ゼレンスキー氏側が和平案に難色を示したため、中止になったという。
【ワシントン、キーウ共同】米ロがウクライナ抜きで和平案を策定し、ゼレンスキー政権に受諾を迫ったと報じられた。領土割譲や軍半減、主要兵器 放棄が含まれ、ウクライナにとっては、ほぼ降伏要求とも言える内容。汚職事件に端を発したゼレンスキー政権の動揺につけ込み、ロシアが大幅譲歩を引 きだそうとしているとの見方も出る。ウクライナは、今年1月のトランプ米政権の発足以降、米ロがウクライナの関与なしに戦争終結の枠組みを決めることを強く警戒。「ウクライナ抜きの解決は。、あり得ない」と繰り返し主張してきたが、欧米メディアによると、新たな和平案は米ロ高官の間で大枠が固まり、ウクライナ高官に伝達された。
ウクライナでは11月、国営原子力企業を巡る巨額汚職が発覚した。野党が内閣の総辞職を要求するなど、ゼレンスキー大統領の求心力が低下した。与 党内からは、ゼレンスキー氏の最側近で政権ナンバー2のイエルマーク大統領府長官の解任を求める声が上がる。
米紙ニューヨーク・タイムズは、ゼレンスキー政権が汚職事件で弱体化する中、ロシアが妥協を迫って圧力をかけたとの見方を紹介した。
ロシア軍はウクライナ東部ドネツク州の要衝ポクロウシクに攻勢をかけ、ウクライナは苦境にある。受け入れ困難な和平案を示されたウクライナは一 層厳しい立場に追い込まれた。
ロシアに肩入れ 批判噴出で修正(2025/11/25 京都新聞)
ウクライナ戦争終結に向けた和平案を巡り、米国とウクライナが23日協議した。米国の当初案は露骨にロシア寄りだと欧州や身内の共和党内から批判が噴出し、トランプ政権はウクライナの主権尊重をうたう共同声明で軌道修正する結果に。戦闘終結に取り組む中で「最良の日」(ルビオ国務長官)になったと自賛したものの、最大争点の領土問題での妥協は難しく終戦の展望は開けない。
「とてつもない進展があった」「トランプ大統領も喜んでいる」。23日、スイス・ジュネーブ。半日余りの滞在でウクライナや欧州諸国の高官と相次ぎ協議したルビオ氏は、外交成果の強調に余念がなかった。ルビオ氏はジュネーブ入りの直前、ウクライナに示した和平案はロシアの「願望リスト」だと米上院議員らに説明したと報じられ、火消しに追われていた。案について「(ロシアとウクライナ)双方の意見」を聞いた初期段階のものに過ぎないと主張した。
柔軟な姿勢
ウクライナとの共同声明にこぎ着け、協議成功を大々的に訴えた背景には、侵攻した側のロシアに肩入れしているとの批判をかわす思惑もあったとみられる。トランプ氏は米国の祝日である感謝祭の27日を合意期限とする考えを示していたが、ルビオ氏は柔軟姿勢を見せた。
当初の米案は、ウクライナ南部クリミア半島と東部ドンバス地域(ルハンスク、ドネツク両州)を事実上のロシア領として承認し、ドネツク州からのウクライナ軍撤退を要求。憲法への北大西洋条約機構(NATO)非加盟の明記や、戦時中の行為についての全面的な免責など「ロシアのこれまでの要求を並べ立てた内容」(ウクライナ政府高官)だった。
振り出しに
ロイター通信によると、欧州が策定した対案は領土の割譲を否定。米案ではあいまいだった戦闘停止後の「安全の保証」もNATO加盟国の集団防衛を定めた北大西洋条約第5条を模すると明記した。ウクライナ側は「すぐに実現可能な和平の形だ」と評価する。
ただ欧州案をロシアが受け入れる可能性は皆無に等しい。ウクライナのステファニシナ駐米大使は23日、CBSテレビの番組でロシアが合意に向けて譲歩する姿勢は「見えない」と批判。外交筋は「ロシアとウクライナの立場の違いが改めて鮮明になっただけで、交渉は振り出しに戻った」と語った。(ワシントン、キーウ共同)
エネルギー分野 非常事態宣言へ(2026/1/16 京都新聞)
【キーウ共同】ロシア軍によるインフラ施設への攻撃を受け、電力不足が続くウクライナのゼレンスキー大統領は14日、政府の緊急会合を開き、復旧を急ぐためエネルギー分野での非常事態を宣言すると発表した。首都キーウに対策本部を設置するほか、電力輸入量も増やす方針。シュミハリ第1副首相兼エネルギー相が対応する。
ゼレンスキー氏は、特にキーウ、南部オデーサ、クリブイリフ、東部ドニプロでの状況が深刻だと指摘。暖房や電源を備えた避難所「不屈の拠点」の設置拡大を進め、市民が夜間に訪問できるよう夜間外出禁止令の緩和検討も指示した。また「キーウでの備えが不十分だった」と述べ、キーウ市当局の対応を批判した。これに対し、クリチコ市長は14日、復旧に携わる人々の働きを否定する発言だとして反発した。
クリチコ氏は14日、キーウの大規模停電について「状況は大変厳しい」と述べ、ロシアの侵攻が始まった2022年2月以降の約4年間で最も深刻だとの認識を示した。
停電は14日で6日目。クリチコ氏によると、暖房供給が止まった市内の集合住宅約6千棟のうち、14日時点で約400棟が未復旧。「緊急停限は継統する」と述べた。
【インサイド】ロシア死傷者120万人(2026/1/29 京都新聞)
【キーウ共同】米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)は27日公表した報告書で、ロシアによるウクライナ侵攻が始まった2022年2月から25年末までのロシア軍の死傷者(行方不明者を含む)が、計約120万人に上ったとの推計を発表した。うち戦死者は約27万5千〜32万5千人とした。ウクライナ軍の死傷者は約50万〜60万人で、うち戦死者は10万〜14万人。
ロシア軍が消耗戦を展開し、両軍に膨大な犠牲が出ている。両軍の死傷者の合計は最大180万人に上り、現在のベースで推移すれば26年春には約200万人を記録する可能性がある。
報告書は、第2次世界大戦後に起きた主要な戦争とも比較。米軍の戦死者数は朝鮮戦争で約5万4千人、ベトナム戦争で約4万7千人だったとし、ロシアについて「第2次大戦後の戦争でこれほどの死傷者を出した主要国はほかにない」と指摘した。
ロシア軍の死傷者は23年は約25万人だったのに対し、24年に約43万人、25年に約42万人と増加した。損害が甚大になった理由について、兵士の訓練不足や士気の低下、ウクライナ軍の効果的な防衛戦略などを挙げた。
ロシア無人機にスターリンク(2026/2/4 京都新聞)
【キーウ共同】ロシア軍が米宇宙企業スペースXの衛星通信サービス「スターリンク」を備えた無人機でウクライナ各地を相次いで攻撃し、被害が拡大している。電波妨害の影響を受けにくく、低空飛行で探知も難しいため迎撃は困難。ウクライナ政府は2日、未登録のスターリンク端末を使用できなくする遮断措置を講じると発表した。
スペースXはロシアと取引していないとしており、第三国経由で端末を入手しているもようだ。ウクライナ当局者によると、スペースXはスターリンク端末を搭載した無人機が一定速度以上で航行すると、接続を遮断している。
ロシア軍は2日夜から3日朝にかけて、首都キーウなど各地を無人機とミサイルで攻撃した。気温が氷点下20度前後まで下がる中、キーウでは1100棟以上の集合住宅で暖房供給が停止。ロシアは1日までキーウヘの攻撃を止めるとしていた。
ウクライナメディアによると、昨年12月ごろから前線や都市部でスターリンク端末を搭載したロシア軍の無人機が確認されるようになった。最長の航続距離は約500キロで、ウクライナ全土を射程に収める。遠隔操作が可能で、1月末までに数百件の攻撃があった。
ウクライナ 湾岸諸国に対無人機専門家(2026/3/10 京都新聞)
【キーウ共同】ロシアが侵攻するウクライナのゼレンスキー大統領は8日、イランの無人機攻撃を受けるペルシャ湾岸のアラブ諸国に、無人機迎撃の専門家チームを派遣すると明らかにした。9日にも最初のチームが現地に向かい、イラン製無人機を多用するロシアとの戦闘で培った技術を共有する。迎撃用無人機の輸出の具体化についても協議する見通しだ。
ゼレンスキー氏は派遣先の国名を明らかにしなかったが、少なくとも3力国が迎撃用無入機の購入を検討していると述べた。米シンクタンク、戦争研究所は8日の分析で、カタールとアラブ首長国連邦(UAE)、クウェートが関心を示していると指摘した。
ウクライナとしては、迎撃用無人機を提供する代わりに、より高価な防空システム「パトリオット」のミサイルなどを確保したい考え。米国とも対無人機の技術協力を進める方針で、無人機を飛来音で探知する装置や無力化する電子戦機器の供与が想定されている。
米国とイスラエルの攻撃を受けるイランは湾岸アラブ諸国の米軍基地などを報復攻撃。サウジアラビアやUAE、カタールではエネ ルギー施設にも被害が出ている。
ロイター通信によると、ウクライナの大手無人機メーカーは月最大5万機の迎撃用無人機を生産可能で、うち5千〜1万機を輸出に回せると見積もっている。ただ、操縦には数力月の訓練が必要とされ、操縦士の育成も課題となりそうだ。
【キーウ共同】ウクライナ和平を巡るロシア、ウクライナ、米国の3力国協議の行方が、交戦が続く中東情勢の影響で不透明感を増している。3力国高官協議を今月上旬にアラブ首長国連邦(UAE)で実施する方向だったが、UAEを含め中東各国がイランの攻撃対象となる混乱の中で仕切り直しとなった。領土問題での溝も大きく、進展の機運は乏しい。
3力国高官協議は1月以降、3度実施された。ウクライナのゼレンスキー大統領は次回協議の早期開催に意欲を見せていたが、中東 の交戦を受け「安全保障面や政治面での環境が整い次第」開催するとの姿勢に転じた。
交渉自体も膠着感が強まっている。ウクライナ東部ドンバス地域(ルハンスク、ドネツク両州)の扱いなどを巡り、ロシアとウクライナの立場には大きな隔たりがある。
米メディアによると、ウクライナが次回協議の際に領土問題で譲歩姿勢を示さない場合、ロシアは交渉から離脱することも視野に入れているという。一方のゼレンスキー氏は、領土問題で妥協しないとの姿勢を崩していない。
仲介する米国のウィツトコフ和平交渉担当特使は「協議は続いており、今後数週間でさらなる進展が見込まれる」との認識を示している。