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8月31日 子どもへの「日本人ファースト」影響

 間もなく夏休みが終わり、学校が始まる地域が多いが、教員の間で「日本人ファースト」という言葉が子どもたちに与える影響を巡り、懸念が広がっている。

 7月の参院選を通して広がったこの言葉は、子どもたちにどんな影響を与える可能性があるのだろうか。また、学校や教育行政ではどんな対応が求められるのか。 「夏休み明け不安」投稿が拡散

 「日本人ファースト」は6月、参政党が参院選の公約のキャッチコピーとして掲げた。選挙で繰り返し言及され、有権者の間にも広がってきた。

 毎日新聞が7月に実施した世論調査によると、参院選で躍進した参政党について「期待できる」と答えたのは19%で、理由として主に挙げられたのが「日本人ファースト」だった。

 「日本国なので日本人ファーストは当然」などの意見が相次いだ。

 他方、46%に上った「期待できない」との回答理由にも「日本人ファースト」が挙がり、「外国人を差別する考え方に全く同意できない」などと懸念の声が上がった。

 日本人ファーストという考え方は、外国人に対する差別や排斥など「排外主義」につながるといった指摘は選挙期間中もなされてきた。

 こうした懸念が選挙後、外国籍の児童や生徒が増えている教育現場にも広がっている。

 選挙後にX(ツイッター)では、小学生が「日本人ファースト」という言葉を使い始めたとして、夏休み明けを不安視する投稿が1・4万回再投稿された。

「いじめにつながる」

 関東にある私立学校に17年間勤める美術教諭の男性(43)は「親2人とも、あるいはうち1人が外国籍という生徒児童は増えてきています」と実感を語る。 参院選の投開票が行われ、テレビ中継の質問に答える参政党の神谷宗幣代表=東京都新宿区で2025年7月20日午後8時45分、内藤絵美撮影

 2024年度の学校基本調査によると、小中高や義務教育学校、中等教育学校、特別支援学校を合わせると外国人の児童生徒数は約15万人に上る。14年度の7・8万人から10年間でほぼ倍増した。

 男性の勤務先にも、中国や韓国、ベトナム、オーストラリア、ウクライナなど多様な国にルーツを持つ子どもたちがいるという。

 「本人の意思では変えようのない属性を順位付けするような言葉は、いじめのきっかけにもなるのではないか」と危惧する。

 夏休み明けは、学校が苦手な子どもたちが心理的に追い詰められやすい時期でもある。男性は語る。

 「学校で子どもたちは、国籍を意識せずに普通に友人関係を結んでいます。今回の言葉が広まったことの影響はないと信じたいが、言葉は子どもたちの間で独り歩きします。外国にルーツを持つ子たちが肩身の狭い思いをしないか、心配です」

「親には言いづらい」

 海外にルーツのある児童や生徒の支援に取り組む教員らの団体「全国在日外国人教育研究協議会」は今月10日、「『日本人ファースト』から子どもたちを守りたい。」とするオンライン署名活動を始めた。

 「児童・生徒のだれもが『日本人ファースト』を言われること・言うことのない状況を作らなければなりません」などとして、全国の教育委員会に対し「適切な指導や見守りを強く求める」としている。

 また、選挙中に「日本人ファースト」との言葉が参政党の候補者らから繰り返されたことを踏まえ、「児童・生徒が学校現場でもこの言葉を口にする場面も出てくると思われます。たとえ悪気もなく発した言葉であっても、外国につながる児童・生徒を深く傷つけてしまう」と懸念を表明した。

 団体代表で神奈川県の高校教諭、舟知敦(ふなちあつし)さん(63)は「自身のルーツがきっかけでいじめを受けた時、それを『親には言いづらい』という子どもの声をよく聞きます。各自治体の責任として、何らかの対応をしてほしい」と訴える。署名は8月末に集約し、全国の教育委に提出する。 大人たちが繰り返し使うと…

 「いじめは、多くが『からかい』から始まります」

 そう話すのは梅野正信・学習院大教授(学校教育学)だ。

 文部科学省「学校教育における人権教育調査研究協力者会議」座長の経験があり、各地の自治体のいじめ防止や人権教育の推進にも関わってきた梅野さんは「日本人ファーストという言葉が独り歩きし、外国籍の人々の排斥を容認する態度となって教育現場で広がっていくことを危惧します」と話す。

 外国籍であることが「からかい」、そしていじめにつながったケースがこれまでにもあるとした上で「選挙で広まった言葉が子どもたちにどう使われるか、大人たちは注視する必要があります」と指摘した。

 子どもは、社会の風潮や、テレビ・交流サイト(SNS)などの議論を見て言葉を使うことがあるという。

 「大人たちが繰り返し発言すれば、子どもたちも安心してその言葉を口にする。だからこそ、公の場では節度と良識を持って言葉を扱うことが大人たちの責務です」

 梅野さんは教育行政にも対応を求める。  

「教育現場ではこれまで通り、直接的な差別の言葉はもちろん、差別につながる言葉も、人の生死を左右する暴力となりかねないことを、伝え続けることが大切です。先生方がそうした指導をしやすくなるように、国や自治体がまずは動くべきです」

「行政が声明や通知を」

 ヘイトスピーチ解消法では、外国出身者に対する差別的言動を解消するための教育や、解消の必要性について理解を広める啓発を、国や自治体が実施することを明記している。

 「一部の政治家の発言内容にかかわらず、どのような立場の人でも安全・安心の環境で教育を受ける権利があるし、そういう教育や社会の実現に向けて模索が続けられてきたわけです。外国籍の方を受け入れる時、さまざまな場面で齟齬(そご)が生じるのは自然のことで、今はそれを克服しようと努力している時期と言えます」 街頭活動で掲げられたメッセージ=東京都武蔵野市で2025年7月12日、春増翔太撮影

 梅野さんはこうも指摘した。

 「国(文部科学省)や自治体は、現場の先生や保護者が心配にならないように、改めて『どんなルーツの子も受け入れる国だ』ということを、声明や通知で示す必要があります。今や日本経済に外国人労働力は不可欠であり、労働者の家族を守るため、企業もまた率先して声を上げてほしい」(毎日新聞【待鳥航志】)


【インサイド】。


8月31日 米政権 パレスチナのビザ拒否

【ワシントン共同】トランプ米政権は29日、ニューヨークでの9月の国連総会を前に、パレスチナ自治政府やパレスチナ解放機構(PLO)の関係者のビザ発行を拒否すると発表した。発行済みのビザも取り消す。国務省高官は、自治政府のアッバス議長を含む約80人が対象となると明らかにした。国連総会に際しパレスチナを国家承認する意向を表明する国が相次いだことへの対抗措置とみられる。

 米政府は1947年に国連と結んだ「国連本部協定」で各国代表が国連に出席できるよう対応する義務を負っており、アッバス氏の参加を阻止すれば極めて異例。イスラエルが攻撃を続けるパレスチナ自治区ガザで人道危機が深刻化し国際社会の批判が高まる一方だが、米政権は親イスラエルの姿勢を崩していない。

 自治政府議長府は「国際法に違反する」と遺憾の意を表明した。米ニュースサイト、アクシオスによると、アッバス氏が国連演説でパレスチナ独立を宣言するのを阻止する狙いがある。イスラエルのサール外相がルビオ米国務長官との会談でビザ拒否を促した。

 国務省は声明で「自治政府とPLOはテロと決別する必要がある」と主張。自治政府に対し、一方的にパレスチナ国家承認を目指すのをやめるよう要求した。

 国際刑事裁判所(ICC)がイスラエルのネタニヤフ首相らに逮捕状を出したことなども念頭に、自治政府の動きが「イスラム組織ハマスによる人質解放やガザを巡る停戦父渉の拒否につながっている」と非難した。

 米政府はパレスチナ国連代表部については、ビザの拒否や取り消しを免除するとした。


新たに承認「10ヶ国以上」

【ニューヨーク共同】パレスチナのマンスール国連大使は29日、パレスチナ問題解決に向けた国際会議が9月22日にニューヨークの国連本部で開かれることが決まったと明らかにした。その際にパレスチナを新たに国家承認する国が「10力国以上になる可能性が非常に高い」と期待感を示した。国連本部で記者団の取材に応じた。

 会議ではパレスチナ国家樹立によるイスラエルとの「2国家共存」の実現に向けた方策を議論する。7月にも同じ会議が国連本部で開かれ、開催中やその前後でフランスやカナダ、条件付きながらも英国などが9月に正式に国家承認すると表明した。

 マンスール氏は新たに承認する国を加えれば、計約160力国がパレスチナを国家として認めることになるだろうと話した。日本も2国家共存を支持するが、パレスチナの国家承認には慎重で、態度を明確に示す必要に迫られる可能性がある。


今更トランプ政権の非道を言いつのっても仕方がないとは思う。ただ、それに引きずられている日本政府の態度に問題はないのか。右派であれ左派であれいずれもがおそらくアメリカとの関係を見直す必要があると感じているだろう。そうでない陣営の主たる狙いはアメリカの市場なのだろうが、それも高関税で縮小する傾向にある。経済の在り方も含めて新たな日米関係を模索する時代がきている。


8月30日 26年度概算要求 最大122兆円

 財務省が29日、国の2026年度予算編成で各省庁からの概算要求を事実上締め切り、一般会計の要求総額は122兆円台に膨らむ見通しとなった。3年連続で過去最大となる。要求総額が120兆円を超えるのは初めて。長期金利が上昇し、借金である国債の償還や利払いに充てる国債費が急増。物価高や人件費の上昇を反映して政策経費が増え、防衛費や高齢化に伴う社会保障費も過去最大を更新する。

 政府は12月下旬に当初予算案をまとめる。自民、公明両党が衆参両院で少数与党となり、石破政権には減税と歳出拡大への圧力が強まっている。国債発行に依存した財政運営が常態化する中、めりはりを付けた予算編成が必要になる。

 財務省は国債費として過去最大の32兆3865億円を計上する。長期金利の上昇を踏まえて要求の計算に使う想定金利を2・6%とし、25年度当初予算の2・O%から大きく引き上げた。09年度要求(2・7%)以来17年ぶりの高水準となり、利払い費が膨らんだ。

 厚生労働省は過去最大の34兆7929億円を求めた。年金や医療といった社会保障費は要求総額に占める最大の項目で、政府全体で高齢化による伸び(自然増)を約4千億円と見込んだ。

 農林水産省はコメ不足が価格高騰を引き起こしたとして、コメの「需要に応じた増産実現予算」を求めた。新たな栽培法の普及を支援する。

 25年度の要求総額は117兆6059億円。年末にかけての財務省と各省庁の折衝などを踏まえ、当初予算では115兆1978億円だった。26年度も必要な事業費が現時点では見積もれないとして金額を示さない「事項要求」を認めている。4千億円程度を見込む高校授業料の無償化などが対象となることから、編成過程で総額はさらに膨らむ。


防衛費8・8兆円

 防衛省は29日決定した2026年度予算概算要求に過去最大の8兆8454億円を計上した。他国のミサイル基地などを破壊する反撃能力(敵基地攻撃能力)に活用する長射程ミサイルの配備を加速。攻撃用の無人機を大量取得し、空と海上、海中で無人機を活用した沿岸防衛体制「SHIELD(シールド)」の構築を始める。

 政府は防衛力の抜本的強化に向け、23〜27年度の5年間で防衛費を計約43兆円とする方針。26年度は整備計画の4年目に当たる。今回の要求額を含めたこれまでの合計額は約32兆6千億円になる。財源の一部に所得税の増税を見込むが、開始時期の決定は先送りされている。

 27年度に防衛費と関連経費を合わせて国内総生産(GDP)比2%とする目標も掲げる。トランプ米政権は日本にさらなる防衛費増を求め、GDP比3・5%とする案を示している。与党内には整備計画改定の必要性を指摘する声もある。

 概算要求では、長射程ミサイルの一つで、音速の5倍以上で飛行し迎撃困難とされる「極超音速誘導弾」の取得に305億円を計上。12式地対艦誘導弾の射程を延ばす「能力向上型」の艦艇発射型に362億円を充てる。航空機発射型とともに、運用開始を28年度以降から27年度に前倒しする方針だ。

 沿岸防衛体制の構築には1287億円を確保。小型攻撃用やレーダーサイト防衛用といった無人機を数千の規模で調達し、陸海空3自衛隊への配備を進める。

 英国、イタリアと進める次期戦闘機開発に2066億円を充てるほか、次期戦闘機と連携する無入機の研究開発も始める。

 宇宙領域での能力向上に向け、航空自衛隊を「航空宇宙自衛隊」に改編。那覇駐屯地を拠点とする陸上自衛隊第15旅団を師団に格上げし、南西地域の防衛体制強化を図る。危機管理を担う防衛相の負担を軽減するため、副大臣を1人増やす。 


【表層深層】膨らむ予算 財源難航

 2026年度予算の概算要求総額は3年連続で過去最大を更新する見通しとなった。財政の膨張圧力が強まる中、高校授業料の無償化の財源確保はめどが立たず、ガソリン減税の与野党協議は平行線をたどる。退陣論に直面する少数与党の石破政権は、攻勢に出る野党の顔色をうかがいながらの難しい予算編成を強いられる。

 「歳出改革の徹底を図りながら、経済再生と財政健全化の両立を図る」。加藤勝信財務相は29日の記者会見で強調した。しかし、野党からは減税や歳出拡大を伴う政策要望が相次いでおり、歳出圧縮の機運は乏しい。

 各省庁からの概算要求では、少子高齢化に伴う社会保障費が膨らみ厚生労働省の要求は過去最大を更新。防衛力強化や道路陥没事故を踏まえたインフラ老朽化対策も総額を押し上げた。

 財務省幹部は「財政のたがが外れたとみられると、国の財政への信認低下に伴う悪い金利上昇が起きてしまうかもしれない」と指摘。財政の圧迫要因になりかねないと警鐘を鳴らす。

 足元では長期金利が上昇し、国の借金である国債の償還費と利払い費を合わせた「国債費」は32兆3865億円と、25年度当初予算を4兆円程度上回った。

 先の参院選で大敗し、衆参ともに少数与党となった石破政権にとって国会運営は前途多難だ。政府関係者は「与党は野党の要求を丸のみしなければ何もできない」と、政策の停滞を警戒する。

 今年の通常国会では予算案を成立させるため、与党は野党への譲歩を繰り返した。国民民主党が要望する、所得税が生じる「年収103万円の壁」の見直しや、日本維新の会が求めた高校授業料無償化を巡って、政府予算案の修正を国会審議中に余儀なくされた。

 高校無償化は26年度から収入要件を撤廃し、私立高校の授業料を支援するための支給上限額を引き上げることを、自民と公明、維新の3党合意で決めている。必要な財源は4千億円規模に上るとみられるが、財源確保の道筋は立っていない。財務省関係者は「いったいどこにそんなお金があるのか」と不満を漏らす。

 財源の捻出が課題となるのは高校無償化だけではない。野党が11月1日からの実施を訴えるガソリン税の暫定税率の廃止は、年1兆円規模の税収減につながる。与党は借金拡大の抑制には、別の恒久財源が必要だと主張する。一方、早期廃止を目指す野党は、税収の上振れ分や一部特別会計の活用を提示し、新たな負担増には消極的だ。

 立憲民主党の重徳和彦政調会長は「説明に終始するだけの議論を続けることにもはや意味がない」と、与党の対応の遅さを批判。28日に開かれた会合では来週の合意を「タイムリミットだ」と突きつけた。

 物価高対策として参院選で争点となった消費税減税や給付金の扱いも焦点となる。秋に臨時国会の開催を控え、議論が本格化するとみられる。

 自公が公約で掲げた一律2万円の現金給付に対し、野党からは批判が相次ぐ。立民は2万円の給付では一致するが、これに加え時限的な消費税減税などを主張する。参政党は消費税の段階的な廃止を目指す。大胆な支援で家計を支える狙いだが、財政負担は膨らみやすい。

 与野党で乱立する政策を前に、経済系官庁のある幹部は「今後の運営は無理難題が多すぎて、解決できるのだろうか」と頭を抱える。 


環境省CO2、30年に610万トン増

 環境省と国立環境研究所は29日までに、ガソリン税などに上乗せされている暫定税率を廃止した場合、2030年の二酸化炭素(CO2)排出量は、610万トン増えるとの試算をまとめた。燃料価格の下落で車の利用が増え、燃費が良い車への買い替えも進まないと想定。同省は、温室効果ガスの排出削減目標が達成できない恐れがあるとみて危機感を強めている。

 暫定税率廃止を巡っては、与野党の協議が続いている。浅尾慶一郎環境相は29日の記者会見で「かなりのインパクトだ。環境影響も踏まえた検討が必要だ」と指摘した。同省は26年度の税制改正で、新税も含めた代替策の検討を求める。

 試算は、26年にガソリンと軽油の両方の暫定税率が廃止された場合を想定。車の利用増加に限らず、家庭で使えるお金が増え、他のサービスや製品の購買力が上がる影響も考慮した。

 政府は温室効果ガスについて、30年度に13年度比46%減の7億6千万トンにする国際目標を掲げている。610万トンは、エネルギーのために石油や天然ガスを燃やして排出されるCO2の1%(30年度)に相当し、政府計画で定めたあらゆる対策を講じても減らせないという。 


毎年の予算は膨らむ一方でその財源確保が問題になるが、結局国債の発行で済ませているというのがトレンドとなってしまった。確かに消費税減税は庶民にもっとも届きやすい政策ではあるが、財源をどこに求めるかということが問題となる。防衛費の増額は緊急に必要なのだろうか(与那国町町長選挙はその必要性を否定したともいえる)。また、アベノミクスで法人税減税を繰り返したことも財源確保に大きく影響していることの議論が必要だろう。


8月30日 中国電力 中間貯蔵は立地可能

 中国電力が山口県上関町で検討している使用済み核燃料の中間貯蔵施設建設を巡り、中国電は29日、予定地の適否に関する調査結果を町へ伝達し  「立地は可能」と発表した。周辺の活断層を調査、問題ないと判断した。町は中断している原発計画に代わる地域振興策を求めており、今後受け入 れ可否を判断する。

 西哲夫町長は受領後、記者団に「調査報告書を確認、精査していきたいと考えている」とした。

 建設を容認すれば、原発敷地外としては、東京電力と日本原子力発電が出資する「リサイクル燃料貯蔵」の施設(青森県むつ市)に次いで全国で2例目となる。再処理工場の完成が見通せない中、たまり続ける使用済み燃料の行き場として注目されるが、周辺自治体からは懸念の声も強い。

 中国電は同日午後、記者会見を開き調査報告書について説明した。ボーリング調査の結果、断層はあったものの活断層ではないと確認。調査地点付近に活断層は認められず、立地上問題はないとした。文献調査では周辺の陸域に3本、海域に35本の活断層が確認されたが「対応可能」とした。

 今後施設の規模や着工時期などを盛り込んだ事業計画を策定する。町に示す時期は未定という。

 施設は関西電力との共同運用を想定している。関電は同日福井県に対し、県内3原発の使用済み核燃料について、遅くとも2035年末までに県外の中間貯蔵施設へ搬出を開始する方針を示した。中国電は関電の具体的な関与の方法に関しては「現時点で示せるものはない」とした。

 中国電は上関町で原発建設を計画している。しかし11年3月に発生した東電福島第1原発事故により進展が見通せなくなり、原発に代わる地域振興策として、23年8月に中国電が町側に提案した。

 西町長が建設の適否を確認する調査の実施を容認。中国電は24年11月までに社有地での掘削を終え、採取した試料を基に活断層の有無などを調べていた。


上関町長議会の意向「尊重」

 中国電力が検討している使用済み核燃料の中間貯蔵施設について、山口県上関町の予定地が適地とする調査結果を公表した。今後は中国電が事業計画をまとめるが、手続きやさらなる調査に時間がかかる可能性もある。一方、判断に当たり西哲夫町長は議会の意向を尊重する考えを改めて表明。懸念の声も上がる周辺自治体の動向にも注目が集まり、決着までには曲折もありそうだ。

 「議会や住民がどのように判断するのかを見極める」。29日、中国電から調査結果の報告を受けた後、西町長は報道陣の取材にこう述べた。町議会議員は来年2月に任期満了を迎え、次期町議選では施設の受け入れ可否が主要な争点となるとみられ、結果が一つの判断材料となりそうだ。

 ただ町が容認した場合も、施設の建設着手までには時間を要することも予想される。詳細なスペックを決めるほか、国の審査を受ける必要があるという。

 また周辺市町での理解醸成も課題だ。周辺1市3町は首長協議会で、説明を求める意向を明らかにしている。29日、取材に応じた柳井市の井原健太郎市長は「市民から不安の声がある」として、国や中国電に説明会の開催を要望した。


関西電力核燃料県外搬出を表明

 関西電力は29日、福井県内にある美浜、大飯、高浜の3原発で計画する乾式貯蔵施設の使用済み核燃料について、遅くとも2035年末までに、県外の中間貯蔵施設へ搬出を開始する方針を県に説明した。搬出先は、中国電力が「立地可能」との調査結果を公表した山口県上関町を念頭にしているとみられるが、「相手方もあることで回答を差し控える」と具体的な場所は示さなかった。

 関電の水田仁原子力事業本部長が福井県庁で中村保博副知事に報告。30年ごろ操業予定の中間貯蔵施設に、2年程度の手続きを経た後、年100トンの燃料を搬出すると説明した。中村副知事は「議会で慎重に判断する」と応じた。

 水田氏は同日、県議会の全員協議会でも説明。中間貯蔵施設の具体的な場所について質問が相次いだが、明言を避けた。

 期限までに中間貯蔵施設へ搬出できない場合、燃料を乾式貯蔵施設から原子炉建屋の貯蔵プールに戻す意向も示した。県議からは「合理的な判断なのか。理解できない」と疑問視する声も上がった。 


「同町の無職高島美登里さん(73)は「地震だけじゃなく土砂災害などの危険もある」と、「万 が一のことが起きたら、瀬戸内海の漁業への影響は計り知れない」と強調した。」(29日夕刊)とあるように、伊方発電所同様の瀬戸内海へのリスクは予想すらできないほどのリスクをもっているとみるべきだろう。上関町にほど近い室積半島生まれのS・ラトーシュ研究者の中野佳裕は、反原発の立場から【脱成長】を訴えている。


8月29日 26年度入試 府内公立高募集1万2095人

 京都府と京都市の両教育委員会は28日、府内公立高の2026年度入試の募集定員などを発表した。公立高付属中の内部進学者を除くと定員は前年度比80人減の1万2095人で、全日制高の洛西と城陽の2校で定員各40人を減らした。少子化の影響や地域バランス、各校の定員充足状況を考慮した。

 定員の内訳は全日制(56校)が1万1095人で、定時制(10校)の720人と通信制(2校)の280人は前年度と変わらなかった。来年3月の府内公立中の卒業見込み者数は前年度比107人減の1万8352人。

 定員を減らすのは、洛西と城陽の普通科でそれぞれ280人(7クラス)から240人(6クラス)となる。

【海外勤務者帰国子女特別入学者選抜】鳥羽普通科(スポーツ総合専攻除く)、西舞鶴普通科、嵯峨野京都こすもす科で各校5人以内。(以下略)

【中国帰国孤児子女特別入学者選抜】鳥羽普通科(スポーツ総合専攻除く)と同定時制普通科、西舞鶴普通科、東舞鶴浮島分校定時制普通科で各5 人以内。(以下略)

【社会人特別入学者選抜】2026年4月1日現在満20歳以上で、高校を卒業していない人が対象。いずれも定時制で、朱雀と鳥羽は各9人以内、桃山は普通科が6人以内で商業科は3人以内。(以下略)

【長期欠席者特別入学者選抜】26年3月に中学卒業見込みで、中学在籍中1〜3年のいずれかの学年で年間30日以上の欠席がある人が対象。いずれも普通科で、朱雀と城陽が各10人程度、乙訓と西舞鶴が各5人程度。(以下略)

【清明高特別入学者選抜】A、B方式を選ぶ。いずれも昼間2部制の定時制(単位制)の普通科でA方式は定員48人、B方式は72人。(以下略)

【清新高特別入学者選抜】A方式、B方式から選ぶ。いずれも昼間定時制(単位制)の総合学科でA、B方式ともに定員は各30人。(以下略) 

【京都奏和高特別入学者選抜】昼間4部制の定時制(単位制)普通科で定員は80人。(以下略) 

【全国部活動特別入学者選抜】北桑田普通科は2人以内、京都フォレスト科は4人以内で、入学後は自転車競技部またはワンダーフォーゲル部に 加入する。須知普通科は4人以内、食品科学科は2人以内で、ホッケー部に加入する。丹後緑風・網野学舎は普通科、企画経営科それぞれ3人以内で、レスリング部に加入する。保護者の住所が京都府の区域外にある人が対象。(以下略) 

【通信制】朱雀と西舞鶴の2校。願書受け付けは志望先の高校に3月25、26、27日(朱雀は26日のみ)。試験はせず、必要に応じて面接を実施し、報告書などに基づいて選抜する。合格は本人に通知する。


公立高付属中5校入学定員を初変更

 京都府教育委員会と京都市教教育委員会は28日、2026年度入学の公立高付属中5校の定員を発表した。入試を来年1月17日に、合格発表を同21日に行うと発表した。

 入学定員は、26年度から中学校の1学級当たりの生徒数が40人から35人に順次改善される方針を受け、各校とも開校以来初めて変更した。府立では洛北(京都市左京区)が25人増の105人、南陽(木津川市)が30人増の70人、園部(南丹市)と福知山(福知山市)が各5人減の各35人。京都 市立は西京(京都市中京区)が20人増の140人。

 願書は府立4校が12月22日〜24日、西京は12月14日〜16日に受け付ける。 


文教と光華通信制高・課程新設

 学校法人京都文教学園は2026年4月、京都文教大(宇治市)のキャンパスに通信制高校を新設する。光華女子学園も、全日制の京都光華高(京都市右京区)に通信制課程を併設する。通信制は柔軟な教育課程が支持され、近年私学を中心に生徒数を伸ばしている。両校は系列の大学とも連携 し、生徒一人一人に合わせた学びを提供する。

 28日に開かれた京都府私立学校審議会で両校とも書面審査を通過した。現地調査を経て、正式に認可される見通し。府が認可する通信制高(同課程含む)は現在8校ある。

 京都文教学園は、左京区にある全日制の京都文教高とは別に、「京都文教大付属宇治高」(仮称)を開校する。京都府と滋賀県の居住者が対象となる狭域制で、初年度の入学定員は転入を含めて120人。制服はあるが、登校時の服装は自由。通学型で週3日の登校を求める。担任制を敷くほかスクールカウンセラーも配置して生徒に寄り添った対応をする。ドローン技術やアニメ・イラスト、ダンス、eスポーツの選択科目を置く。開設準備室の広報担当者は「授業の組み立ては自由度があり、自分に合ったスタイルで学び、活躍してほしい」と話している。

 光華女子学園は26年度に中学と高校、大学を女子校から共学化し、既存の施設を活用して通信制課程を設ける。通学型で、週2回の登校を求める。初年度の定員は50人。京都府と滋賀県の居住者が対象。京都光華大(現・京都光華女子大)と連携した授業も展開。大学教員から心理学や栄養学、歯科衛生、子ども教育などについて学べる科目も用意する。部活動も行う。担当者は「京都光華大への進学を保証しており、高校卒業の先を見据えた学びが できる」としている。

 学校基本調査によると、全国の高校通信課程の生徒数は、04年度の18万1700人から24年度は約29万人に増加。高校生の11人に1人が通信制に在籍するなど存在感を増している。高校側には、少子化の影響で、進路選択の間口を広げることで生徒確保の狙いもあるとみられる。



8月29日 政府 原発財政支援30キロ圏に

 政府は「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法」による財政支援対象を、現行の半径10キロ圈から30キロ圈へと拡大する方針を28日までに固めた。29日、原子力関係閣僚会議を開いて決定する。東京電力福島第1原発事故後、新たに避難計画の策定義務が生じた10キロ以遠の地方自治体を中心に支援拡大を求める声が上がっていた。

 対象になるとインフラ整備に関する国の補助率が上がるため、避難道路の整備や拡充に当たる自治体の負担が軽減される。政府は「原子力の最大限活用」にエネルギー政策を転換しており、立地地域の支援を再稼働の促進につなげる狙いもあるとみられる。

 内閣府によると、特措法の対象地域は道路、港湾など「特定事業」にかかる補助率が50%から最大55%にかさ上げされる上、地方債の特例措置を使えば地方負担は最小13・5%になる。現行の対象地域は燃料加工工場がある大阪府を含めた14道府県の76市町村。関係者への取材によると、対象 は22道府県の百数十市町村に広がる見通し。

 特措法を巡っては自民、公明両党幹事長が6月に支援対象範囲を30キロ圈に広げる方針で一致。原発が立地する道県などの知事でつくる原子力発電関係団体協議会(会長・中村時広愛媛県知事)も同月、石破茂首相に財政支援の拡大を要望。首相は「実情は十分承っている」と応じていた。


【インサイド】周辺自治体、重い負担訴え

 政府は原発再稼働を後押しするため、財政支援の対象自治体を拡大する方針だ。事故時の避難道路整備など負担が重くのしかかり、制度の見直しを求めていた原発周辺の自治体からは一定の評価の声も。拡大の背景には東京電力柏崎刈羽原発が立地する新潟県の強い要望があり、再稼働を急ぐ政府を動かした格好だ。

 「発電した電力は首都圏で売られ。(地元の)住民感情としてはリスクを引き受ける不公平感があると思う」。5月、政府に要望書を手渡した新潟県の花角英世知事は現状への不満を吐露した。

 東電福島第1原発事故後、避難計画策定が求められるのは従来の原発10キロ圈から30キロ圏に拡大した。しかし事故前からある交付金や特別措置法の対象は10キロ圏のまま。10〜30キロ圈の自治体は道路関係だけでも2車線化などの改良、橋の耐震補強、除雪や崖崩れ対策などを強いられることになった。

 新潟県では、柏崎刈羽原発から6方向に延びる幹線道路の整備が全額国費で行われるが、幹線道路につながる経路の整備が課題となっている。花角氏は要望書で「地域では負担感のみが増大している」と訴えた。

 昨年12月に再稼働した中国電力島根原発2号機(松江市)の30キロ圈の住民約45万7千人のうち、鳥取県の住民は約7万1千を占める(2020年末時点)。同県の平井伸治知事は「長年要望してきた課題解決への第一歩だ」と歓迎するコメントを出した。しかし中国電力が地元に支払う負担金も含め、財源措置は「依然として、立地地域と比べ格段に乏しい」という。

 国内の原発33基のうち、これまでに再稼働したのは14基。今回の支援拡大には、再稼働が進まない現状を少しでも打開したいとの政府の思いが透ける。今年2月に決定したエネルギー基本計画は、40年度の電源構成に占める原発比率を2割程度に設定。このためには30基以上の稼働が必要になる。

 柏崎刈羽原発が1基再稼働すれば、東電は年間約1千億円の収支改善が見込める。福島第1原発の廃炉や賠償などの費用も捻出する必要がある。住民避難計画は6月に了承されており、国の手続きは事実上終了。花角氏の地元同意が焦点となっている。

 県は住民説明会などを重ねるが、不安払拭につながっているかどうかは不透明だ。1月に実施した原発での重大事故を想定した訓練で、参加した住民からは「(避難の)流れは確認できたが、集団で移動するのは時間がかかる」と不安の声が漏れていた。


東電福島第1原発事故は原発への信頼性を大きく棄損したはずだが、再稼働のために30キロ圏内を支援対象とするという。そのことで、東電は1基の再稼働で年間約1千億円の利益を得るという。結局「廃炉や賠償」のために市民の税金が投入される構造は変わらない。さらに、核のゴミ処理については福島、六ケ所などほとんど目途はたっていない。


8月28日 2025年最低賃金 64円増1122円

 京都地方最低賃金審議会は27日、京都府内の最低賃金(時給)を現行の1058円から64円(6・05%)引き上げて1122円とするよう、京都労働局の角南巌局長に答申した。国が示した目安額に1円上乗せした。引き上げ幅は現行制度となった2002年度以降では最大で、初めて1100円台となる。11月21日から適用される見通し。 最低賃金は、パートやアルバイトを含む全ての労働者に適用される賃金の下限額。中央最低賃金審議会が取りまとめた目安額を踏まえ、都道府県の地方審議会が改定額を決める。京都府や滋賀県、大阪府などの地域では今年、63円の目安額が示されていた。

 労使双方の代表者と学識者らで構成する京都府の審議会が同日、答申案を賛成多数で可決した。使用者側は4人のうち3人が反対した。岩永昌晃会長(京都産業大教授)は審議を振り返り、「労働者側は目安額よりさらに引き上げることを主張し、使用者側は目安額でも高いという意見だったが、最 終的に双方が歩み寄り決着できた」と話した。

 同局は9月11日まで異議申し立てを受け付ける。


【インサイド】中小、コスト増に危機感

 京都府の最低賃金(時給)の引き上げ額が、目安額を1円上回る64円で決着した。上昇幅は過去最大で、府内の時給はこの10年で300円以上アップすることになる。政府の大幅な引き上げ方針を受け、労使間の協議は難航。物価高の影響を受ける労働者側に配慮した一方、人件費の上昇が避けられない中小企業側はさらなるコスト負担に危機感を募らせている。

 「国が示した目安額が実態から離れた大幅な引き上げだ。基本的に反対だが、発効日を遅らせてもらえたことには敬意を持って対応した」。27日 に京都労働局(京都市中京区)で開かれた京都地方最低賃金審議会。会議後に使用者側の委員である京都経営者協会の石垣一也事務局長は、合意の背景を語った。

 全国の地方審議会が参考にする最賃引き上げの目安額は今年、全国加重平均で63円(6・0%)だった。滋賀県は8日、目安と同じ63円アップの 1080円でまとまったが、鳥取県や島根県など各地では目安を上回る引き上げでの決着が相次いでいる。

 政府は2020年代後半に最賃を全国平均1500円に引き上げることを掲げた。達成には年平均で7・3%の上昇が必要になる。石破茂首相は今月4日の記者会見で「国の目安を超えて引き上げる場合には重点支援を講じたい」と表明し、引き上げ額の上積みを事実上奨励した。

 京都府の審議会も目安額を巡って労使の意見が割れ、大幅超過を求める労働者側と、支払う余力がないと反論する使用者側で議論が平行線をたどった。結果的に1円を上乗せする一方、企業の準備期間の確保や「年収の壁」に伴うパート・アルバイトの働き控えの影響を考慮し、発効日を11月21日に延ばすことで折り合った。

 労使の調整役を務める公益代表の委員は同日。「労使が互いに歩み寄った結果」と評価した。ただ、審議会の関係者は「目安額を1円上回ること で、政府の支援を得たいという打算もあっただろう」と推測する。

 府内の労働者のうち改定後の最賃1122円を下回る人は、3割程度とみられる。改定の影響を最も受けるのは中小企業で、府タクシー協会の筒井基好会長は「タクシーの運賃は認可制で簡単に価格転嫁できない。この水準の引き上げが続けば、現行の運賃でいつまで持つか分からない」と不安視する。

 人手不足が続く中小企業では、人材の定着に向けた「防衛的賃上げ」を迫られるケースも多い。京都中小企業家同友会の田島慎也事務局長は「これ以上の賃上げは1社の企業努力だけでは難しい。国や自治体による支援が必要だ」と訴える。

 京都府の審議会は同日、角南巌京都労働局長に提出した答申書の中で、政府が「重点支援」の詳細を明らかにしなかったことが協議の膠着を招いたとして「極めて残念な事態で看過できない」と対応を非難し、国に支援の実行を強く迫った。


最低賃金が様々な場面で影響するのだが、使用者側が懸念する価格転嫁が可能かどうかという点だろう。安倍政権いらい政府主導の引き上げが続いているが、米価格に表れている物価上昇への対策は「石破おろし」の政局の中でほとんど皆無にみえる。早急の臨時国会開催で対策を検討すべきではないか。ちなみに、毎年行っている「語呂合わせ」では、1122は「人々ニコニコ」となるが果たして?


8月28日 三菱商事 洋上風力撤退 建設費2倍

 三菱商事は27日、秋田、千葉両県沖の3海域で進めてきた洋上風力発電所の建設計画から撤退すると発表した。中西勝也社長が東京都内で記者会見し、建設費用が4年前の入札時の見込みから2倍以上に膨らんだことで採算が合わなくなったと明らかにした。中部電力子会社などと企業連合を組んで臨んだ大型プロジェクトが計画倒れに。政府は再公募で出直しを図る構えだが、事業者には資材価格の高騰などコスト上昇が高いハードルとなりそうだ。

 中西氏は、事業継続が困難との判断に至ったと説明した上で「大変重く受け止めている」と述べた。「地元の期待を裏切る結果になって大変申し訳ない」とも語り、今後、秋田と千葉両県に出向き経緯を説明する考えを示した。自身の経営責任に関しては「引き続き責務を全うし、三菱商事をリードしたい」と述べ、引責辞任を否定した。

 企業連合に子社の電気設備大手シーテック(名古屋市)が参加した中部電力は27日、撤退に伴い2026年3月期に170億円程度の損失を見込むと発表した。三菱商事は業績への影響は限定的だとしている。

 武藤容治経済産業相は経産省を訪問した中西氏と面談し「全国の注目案件で、洋上風力に対する社会の信揺るがしかねない」とを伝達。地元への丁寧かつ真摯な対応を求めた。中野洋昌国土交通相も国交省の面談で「地元の期待をほごにするものだ」と批判判。計画の実施は社会的な責務だと伝えた。

 3海域は「秋田県能代市、三種町および男鹿市沖」と「秋田県由利本荘市沖」、「千葉県銚子市沖」。28〜30年に順次運転を始め、52年まで操業する目標だった。企業連合は国の公募ルールに基づき計200億円の保証金を積み立てていたが、没収となる。

 企業連合は21年、固定価格買い取り制度(FIT)を利用した売電価格で競合よりも圧倒的に安い水準を提示して落札。経産省が22年に事業計画を認定した。


【インサイド】パネル再利用義務化を断念

 三菱商事が撤退を決めた洋上風力発電計画は、現在の中西勝也社長が担当役員だった2021年に「格安」の売電価格を提示し、3案件を総取り して業界に衝撃を与えた。ただ採算割れにより実現を危ぶむ声も絶えず、資材価格の高騰を背景に懸念が現実となった。洋上風力を脱炭素化の柱に位置付けた、政府のエネルギー戦略は再考を迫られる。

 「断腸の思いだ」「本件を通じて日本の脱炭素には貢献できなかった」。中西氏は27日、東京都内の本社で開いた記者会見で計画からの撤退を 表明し、厳しい表情を浮かべた。

 三菱商事を中核とする企業連合は21年12月、国内初の大規模洋上風力として公募された秋田、千葉両県沖の3案件を全て落札。このうち発電規 模が最大だった秋田の案件で月、計画の行き詰まりが表面化する。洋上風力に絡んで500億円を超える損失を計上。強みだったはずの低価格が、結果的に三菱商事連合の首を絞めていった。

 今回の計画では、入札時に固定価格買い取り制度(FIT)が適用された。売電価格が20年間維持されるため、将来の収支見通しは立てやすい。一方、三菱商事が他社よりも大幅に低い価格で落札したことも、赤字が避けられない要因となった。

 会見で見通しの甘さがなかったかを問われた中西氏は、外部環境の激変が撤退の要因だと繰り返し強調。「損益がマイナスとなる事業を続けるという選択を取れなかった」とうなだれた。

 政府は洋上風力の拡大に向け、三菱商事連合の3海域に続き、24年までに計6海域で大規模入札を実施した。ある落札企業の関係者は「コスト増に苦しんでいるのは三菱商事だけではない。資材高への対応は共通の課題だ」と打ち明ける。

 洋上風力の初期投資は数千億円規模に上るとされる。風車など部品の海外調達比率が高く、為替相場や世界市況に影響されやすい。

 政府は、公募から投資決定までに資材価格や人件費が上昇した場合、一部を電力の販売価格に転嫁できる仕組みを打ち出した。脱炭素化の「切り札」とされる洋上風力。官民いずれも普及に向けた青写真は描けていない。 


政府パネル再利用義務化を断念

 政府は、使用済み太陽光パネルのリサイクル義務化を断念する方針を固めた。2030年代後半以降に大量のパネルが寿命を迎えて廃棄される見通しのため、義務化を検討してきた。だがリサイクル費用を誰が負担するかの法的な整理がまとまらなかった。関係者が27日明らかにした。義務化の断念に伴い処分場の逼迫や大量の不法投棄につながる懸念がある。政府は代替策を検討するものの、リサイクルが進むかどうかは不透明だ。

 代替策は専門家会議で議論する。リサイクルの実施状況の報告を大規模発電事業者に義務付ける制度の創設を軸に検討する。関連法案を来年の通常国会に提出したい考えだ。

 太陽光パネルの寿命は20〜30年とされる。廃棄量は30年代後半以降に急増し、40年代前半にピークを迎え、年間で最大50万トンに上る見通し。政府は当初、リサイクルを義務付ける法案の国会提出を検討し、製造業者と輸入業者が費用を負担する内容だった。 るため、法的な整合性が取れないと指摘した。

 代替策の政府案によると、発電施設や一般住宅などパネルの所有者に対してリサイクルを「努力義務」とする。所有者のうち大規模発電事業者には報告と情報開示を義務付ける。費用は所有者が負担する。大規模事業者による対応が進めば、業界全体への波及効果が期待されるとしている。


政府のエネルギー政策の混迷を感じざるを得ない。エネルギー政策は反原発と脱炭素を最優先とするものでなければならないが、それ以上に「利益」が優先されているように見える。反原発と脱炭素の長期的な対策に予算を振り向ける議論がほしい。


8月28日 京都府 府内小中学生 最小更新

 京都府は27日、2025年度学校基本調査(速報値、5月1日現在)の結果を発表した。府内の小学生は前年度比3・0%(3378人)減の11万526人で17年連続の減少、中学生も2・2%(1398人)減の6万1282人で19年連続の減少となり、1948年度の調査開始以降の最少を更新した。

 府内の小中学生は、第2次ベビーブームで子どもの数が多かった1980年代の半数以下に落ち込んでいる。通信制以外の高校生は1・7%(1112人)減の6万3562人。幼稚園児は9・3%減の1万3985人だった一方、柔軟な教育課程で人気の通信制高はO・2%増で5年連続で 増加したものの、勢いは鈍化した。特別支援学校は3・5%増で3229人。幼保連携型認定こども園は1・0%増の1万8732人だった。

 府内の学校園数は、認定こども園が8園増、義務教育学校(小中一貫校)が2校増となった一方、幼稚園は7園減、小学校が5校減、中学校が2校減、高校が1校減になった。

 市町村別の小学生は、京都市が5万6311人で3・7%減など22市町が減少、向日市、大山崎町、伊根町、南山城村の4市町村は増えた。中学生は京都市が3万2338人の2・6%減となったのをはじめ20市町村が減少し、宮津市、木津川市、井手町、伊根町の4市町が増加した。綾部市は前年度と同数だった。


少子化は様々な面に影響を及ぼしているが、学校教育などはその影響がとりわけ大きい。そしてその数字から見えてくるのは、これまでの教育の在り方が変わりつつあるということだろう。


8月28日 イスラエル人権団体 ガザ攻撃「大量虐殺」

 イスラエルの二つの人権団体は27日までに、パレスチナ自治区ガザでの自国軍の攻撃を「ジェノサイド(民族大量虐殺)」だと認定する報告書をまとめた。地元メディアによると、国内の人権団体が自国の行為をジェノサイドと非難するのは初めて。ただ世論は依然、軍を強く支持している。

 ジェノサイドは第2次大戦下のホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)を機に、特定集団に対する加害を示す用語としてつくられた歴史がある。イスラエル国内からの訴えに注目が集まっている。

 2団体は「ベツェレム」と「人権のための医師団・イスラエル」(PHRI)。いずれも7月28日に報告書を公開した。

 2023年10月から戦闘が続くガザでは、イスラエルが物資搬入を大幅制限したことで餓死者も続出。ベツェレムは、攻撃の目的に関する政府高官の発言から「イスラエルがガザ社会を組織的に破壊しようとしているのは明白だ」と強調した。

 PHRIは飢餓や感染症による死亡が今後何年も続くとし、「人の住めない環境を意図的につくり出している」と問題視した。

 国際社会ではイスラエルへの批判が高まるが、イスラエル世論はこれと乖離。テルアビブ大国家安全保障研究所による7月下旬の世論調査では、自国軍について「道徳的だ」と答えたユダヤ系市民が92%に上った。「ガザの人道状況を懸念する」と答えたユダヤ系市民は24%にとどまった。

 メディア学が専門のテルアビブ大のシャピラ氏は、国民が「ハマスによる奇襲の犠牲者との立場から離れられないでいる」と語った。

 また、広告収入に頼る報道機関は視聴者や読者の要望に沿い、ガザの現実に目を向けていないと説明。国際社会との隔たりがさらに広がれば「イスラエルは世界から疎外されていく」と指摘した。(エルサレム共同)


イスラエル「標的はハマスのカメラ」

【エルサレム共同】イスラエル軍は26日、パレスチナ自治区ガザ南部の最大病院に対する25日の攻撃について、標的はイスラム組織ハマスが設置した監視カメラだったとの初期調査結果を公表した。攻撃で患者や報道関係者ら約20人が死亡し、国際社会でイスラエルへの非難が拡大している。

 攻撃されたのは南部ハンユニスのナセル病院。軍は死者のうち6人をハマス戦闘員とし、軍の活動を監視するカメラの破壊を狙ったと主張した。時間差で2度攻撃した理由には触れなかった。同じ場所を時間差で攻撃し被害拡大を狙う「ダブルタップ」の手法が用いられたと指摘されている。

 イスラエルメディアによると、ネタニヤフ首相は26日の治安閣議で、ハマス拘束下の人質全員を一度に取り戻す包括的合意を目指す考えを改めて表明した。ハマスは60日間の停戦案や人質の段階的解放に同意したが、双方の隔たりは埋まっていないとみられる。

 イスラエル軍は27日もガザ攻撃を続行。パレスチナ通信によると北部ガザ市やハンユニスで死者が出た。ガザ保健当局は、2023年10月の戦闘開始後のガザ側死者が6万2895人になったと発表した。飢餓や栄養失調による死者は313人。


テルアビブ大国家安全保障研究所がどのような組織かはわからないが、ユダヤ系市民が92%がイスラエル軍の行動を「道徳的」だとしているのは驚きだ。その中で。イスラエルの人権団体が軍の攻撃を「ジェノサイド」としたことを評価したい。イスラエル国内が一枚岩でないことのせめてもの証に思える。


8月27日 京都市 京北3保育所 再編検討

 京都市が右京区京北の市営3保育所を2027年4月に再編する方向で検討を始めた。園児の減少や職員配置の効率化が主な理由で、保護者からはきめ細やかな保育ができなくなるとの懸念や、送迎の負担が大きくなることへの不安の声も上がる。市は27日に保護者や地域関係者らでつくる検討会を立ち上げ、本年度中に具体方針を固める。

 再編を検討しているのは、ひかり、弓削、周山の3保育所。人口減少と少子化の影響で、16年にそれぞれ25人、38人、35人いた園児は、今年は11人、25人、22人(いずれも4月1日時点)に減少した。市は28年度には3保育所の園児数がそれぞれ20人を下回ると見込んでいる。

 市が7、8月に園児の保護者に示した案では、27年度に3保育所を一つに統合し、「京北保育所(仮称)」を開設する。施設は新設せず、3保育所の中央に位置し、建物の築年数が最も新しい弓削保育所の活用を想定する。

 市が再編を検討する背景には、少子化に加え、市全域で課題となっている保育士の人材不足がある。京北では園児数に応じた基準以上の職員が勤務している状況があり、市全体で職員配置の効率化を進める必要があるとする。また市営保育所の方針に基づき、「特に3歳児以上は、同年代との集団生活で社会性や人間関係を育む保育環境が望ましい。環境維持には統合を含めた検討が必要」と理解を求める。

 だが、保護者からは「集団保育が発達に重要という価値観の一方的な押し付けだ」と反発の声が上がる。市との意見交換会や市のアンケートでは、統合案に納得する声も一定あった。ただ、再編を行う上で気になることを尋ねる設問では、回答者の3割が「少人数のきめ細やかな保育ができなくなる」と懸念した。2割は送迎負担増を心配し、実際、市によると統合されれば送迎時間が現状より車で15分ほど長くなる家庭もあるという。「市外へ引っ越しも検討する」「さらに過疎化が進む」との意見もあった。

 27日には保護者や自治振興会、保育所関係者などでつくる検討会が発足し、今後の保育所の在り方を決めるための本格的な議論が始まる。市幼保総合支援室は「統合は検討を進めるための案。議論次第では二つに再編したり、現状のまま残したりする可能性も考えられる」としている。


【インサイド】人口減 公共施設の統廃合進む

 「平成の大合併」で京北町が京都市右京区に編入合併し今年で20年。住民の悲願だった京北トンネル開通や水道施設整備などインフラ面は向上した が、人口減少に歯止めはかからず、市は公共施設の統廃合を進めている。

 合併10年を機に市が策定した「京都京北未来かがやきビジョン」は、子育て世帯の移住促進に力を入れることで、2025年から人口増に転じる可 能性も示唆していた。

 確かに、豊かな自然環境を求める移住者は増え、23年度までの10年間で計約1400人が転入した。だが、自然減や転出者がそれを上回り、旧京北町の住民基本台帳人口は合併した05年4月1日時点の6671人から、今年7月1日現在で4236人に減り、反転攻勢の兆しは見えない。18歳未満の子どもは348人と、合併時と比べて3分の1近くに減った。

 人口減を理由に、市は公共施設の統廃合を進める。20年には京北第一、第二、第三の3小学校が閉校。周山中と合わせた京都京北小中となり、新校舎が整備された。さらに、市は4診療所を廃止し市立京北病院に機能を集約する方針も打ち出している。

 市が検討する3保育所の統合は、園児数の減少というやむを得ない事情はあるものの、子育て世帯の移住機会の喪失を招く恐れもある。保護者の一人は「広い地域に保育施設が一つというのは無理がある。移住対策の強化や小児科常設など、人口を増やすことをもっと真剣に考えて」と注文を付ける。統合の結論ありきではなく、京北の将来を見据えた丁寧な議論が求められている。


子育てにより身近な保育所や小中学校の統廃合はより慎重であるべきだ。市が統合のメリットとする「同年代との集団生活で社会性や人間関係を育む保育環境が望ましい」という発達論とも思えないものが根拠となっているのには疑問がある。また、保育士不足もその理由としてあげるが「ワーカーズ・コレクティブ」の手法を導入することで、移住と職場の確保の両立可能性も検討されるべきだろう。市内中心部の学校統廃合時の「京都方式」の検討をすべきだろう。


8月26日 ソーラーシェアリング 農地一時転用 9年で50倍超

 農地に太陽光パネルを設置し、ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)に参入する大企業が増えている。全国で許可された農地の一時転用許可件数は9年で50倍超に増加し、農家の経営安定や農地の荒廃化防止にも期待が高まる。2月に閣議決定した国の計画では、太陽光を再生可能エネルギーの柱に位置付けており、さらなる普及の鍵になりそうだ。

 6月上旬、千葉県木更津市の青々とした稲が育つ水田に、屋根のような太陽光発電設備5基が設置されていた。農機がパネルの下で作業できる設計で、反射光を活用するため裏側でも発電できる。

 水田で実証実験をするのは、石油元売り大手の出光興産。地域創生事業室の丹保省吾さんは「日照量の必要なコメ作りが可能になった」と説明した。

 出光興産は2023年6月、地元農家に約700平方メートルの水田を借りてパネルを導入。自社の電力事業で売電する。

 来年には徳島県小松島市の約3ヘクタールの農地で実施する。一般家庭約400戸分の2メガワットを出力し、同社に送電する。農家の経営安定のため、利益の一部還元も検討している。

 耕作放棄地を利用する企業もある。農機大手のクボタは24年7月から、提携する農業法人で放棄されそうになっていた茨城県や栃木県の土地にパネルを導入した。作物の栽培も農業法人に依頼し、電力は近隣の自社工場で利用。売電収入の一部は農業法人に還元する仕組みだ。クボタの楠本敏晴カーボンニュートラルビジネス企画室長は「農地の荒廃を防ぐだけではなく、エネルギーの地産地消も目指す」と語る。

 国のエネルギー計画では、40年度の電源構成は、再エネの割合を23年度の約2割から4〜5割程度にする。

 太陽光発電設備は、12年の固定価格買い取り制度(FIT)開始後に急速に拡大したが、価格の下落に伴い導入が鈍化する。一方で、営農型は増え続けている。農林水産省によると、農地の一時転用許可数は13年度の103件から、現時点で公表されている最新の22年度は約51倍の計5351件に増加した。許可には、農作物の収量が2割以上減少しないことなどが義務化されている。

 農業経済に詳しい早稲田大の堀口健治名誉教授は「大企業の参入で、農作物と電力の安定的な供給が確立できれば、農業の活性化も期待できる」と指摘した。


耕作放棄地にソーラーパネルが並ぶ風景には違和感を持つ。東京電力福島第1原発の事故以来ソーラーシェアリングは一部で注目されていたが拡大には至らなかった。農地の転用許可が大きな壁となっている。しかし、ソラーパネルを設置し農業を営んでいる農家では「農作物の収量が2割以上減少」はほぼないとしている。コメ不足の中、政策的にも設置を進めるべきだろう。加えて、大企業の参入だけではなく電力の「地産地消」を促すような地元の経営体を創出することが肝要だといえる。宝塚市のすみれ発電所はそうした取り組みの先行例として参照すべきだろう。


8月26日 スポーツ庁 小学校体育教員 中学部活を指導

 スポーツ庁は、小学校の体育専科の教員が公立中の部活動の指導員を兼ねるモデル事業を2026年度から始める方針を固めた。部活動を巡っては、少子化や教員の負担軽減を背景に地域のスポーツ団体などに委ねる「地域展開(地域移行)」を進めているが、指導員の確保が課題となっている。関連経費を26年度予算の概算要求に盛り込む。関係者への取材で25日分かった。

 国は23〜25年度の3年間を部活動の「改革推進期間」として休日を中心に各地で地域展開を進め、26年度からは「改革実行期間」として、平日も含めて積極的に取り組む方針。技術的な指導や引率などを担う指導員の確保を自治体に促すが、フルタイムと比べて短い稼働時間のため、収入面に不安があることが広がらない要因の一つとされる。

 一方、24年度採用の公立中教員の競争倍率は保健体育が7・4倍と全体の4・O倍を大きく上回っており、体育教員を志す人は多い。部活指導に関わりたい人材が一定数はいるとみられる。

 こうした状況を踏まえ、スポーツ庁は小学校の体育専科教員を務めながら、中学の部活動指導員を兼ねる働き方を推進したい考え。午前中は小学校の体育の専科教員、夕方から部活指導員として働くことをイメージしており、収入面の不安を解消することで指導員の確保が進むとみている。

 ただ、小学校の教科担任制は理科や英語で進むものの、体育は24年度で20%台にとどまる。まずはモデル事業で希望する自治体を募り、人材確保を進める取り組みを支援していく。


これが働き方改革の一環か、と疑問視せざるを得ない策。課題の先送りにしか見えない。仮にこの案でいくとすれば、体育専科として午前中に何コマ受け持つのか、部活は何時間行うのか、郊外引率は月何一にするのかなどがすぐに思い浮かぶ。そそいて、勤務時間内の「空き時間」はどのように利用「される」のかも労働条件として整備されるめどはあるのだろうか。まさに給特法の「やりがい搾取」や「定額働かせ放題」を絵にかいたようなもの。


8月26日 【取材ノートから】 統廃合進む小規模校

南丹支局 長谷川 稔

 小中学校の統廃合が少子化で進んでいる。京都府内の公立小中は20年前の621校から513校にまで減っている。文部科学省は公立小中の「適正規模・適正配置等に関する手引」を2015年に定め、1学年1学級以下の場合、統廃合などを速やかに検討するよう促している。ただ、小規模校ならではの存在意義も改めて見直すべき時代が来ていないだろうか。

 由良川の水面を、1人乗りのカヌーが進んでいく。パドルを握るのは、地元の和知小(京丹波町)の5・6年生たち。1988年の京都国体で旧和知町がカヌー会場だった縁で特別授業が開かれた。

 そんな和知小と、近くの和知中の在り方を考える検討委員会を、京丹波町教育委員会が今年7月、立ち上げた。

 PTAや地元の区長会代表、公募委員の移住者ら9人で構成。統廃合ありきではなく、小規模校の長所・短所から見つめ直して「現状だけでなく先も見据えた議論を」(松本和久教育長)と委嘱ざれている。年度内に報告書をまとめ、方向性を示す。

 現在、和知小には76人、和知中には26人の子どもたちが通う。和知地域では3校あった小学校を2001年に1校(和知小)に統合した経緯があるが、その和知小でも全学年で1クラスになっている。

 小規模校の長所について、検討委では「教師が一人一人に目配りできる」「児童の発言機会が増える」「クラスでの役割が多く、主体性を育める」といった声が上がった。

 普段の授業以外でも、カヌー教室など「普通の学校では体験できない授業ができる」と評価する声も。和知小・中では府無形民俗又化財の和知人形浄瑠璃や和知太鼓を教える活動もあり、後継者育成や住民の生きがいにもなっている。

 短所もある。野球などのチームスポーツがクラブ活動でできないことや「進学時に多人数の学校に適応できない子もいる」との指摘も出た。音楽など専門性の高い教科の教員配置が難しい面もある。

 府内では、学区外から児童・生徒を呼び寄せる試みを進める学校もある。亀岡市教育委員会では、居住区域外の学校へも通えるようにする「小規模特認校」制度を17年に導入。東別院、西別院、保津の3小学校を指定し、児童数減少に歯止めがかかっている。

 当初は学校存続の目的が強かったが、「人数の多い学校が合わない」という不登校の児童が区域外から通うケースもあるという。全国的に不登校が過去最多を記録する中、そうした課題解決に小規模校が役立つ面もあるだろう。

 少子化は加速し、学校の統廃合は過疎地域だけにとどまらない。一定の統廃合は避け難いだろうが、検討する際には、単に児童や学級数だけでなく、学びの質や地域に息づく文化やコミュニティーなどの役割を、多角的に議論する必要がある。


京都市内ではいわゆる「京都方式」と呼ばれる方法で統廃合が進められてきた。そこには、学校と地域との関係やステークホルダーとしてのPTAの存在感のなさなどかなり多くの問題点があった。当時京都市は、財政的な問題も抱えており経費削減の必要性に迫られていた。しかし、地域に示されたには統合のメリットだけ。とりわけ義務教育学校として新校舎の建設と少数の児童・生徒での教育効果だけだった。明らかに、教育委員会と地域の団体との間における情報量の非対称性があった。京丹波町教育委員会の議論の方向と合わせて、都市部(京都市では旧京北町)での統廃合の問題を再考すべではないだろうか。


8月25日 泊原発3号「合格」 半導体量産 追い風

【エルサレム共同】英紙ガーディアンなどは23日までに、イスラエル軍の5月の機密データに基づき、パレスチナ自治区ガザで殺害されたパレスチナ人の8割以上は民間人だったと報じた。同紙は「近年の紛争で民間人死者の割合は極めて高い」と指摘。軍は多数の民間人犠牲者が出ていることを認識しながら攻撃を続けている可能性が高く、批判が強まりそうだ。

 報道によると、イスラエル軍は2023年10月のガザ戦闘開始から約19ヵ月となる今年5月、「死亡」したイスラム組織ハマスなどの戦闘員は7330人、「恐らく死亡」は1570人で、合計8900人に上ると分析。当時のガザ側死者は約5万3千人で、犠牲者のうち戦闘員は約17%に過ぎ ず、約83%が民間人だった計算になる。

 ガーディアンは、市民の虐殺が疑われるシリアやスーダンの内戦と比べても、ガザでの民間人犠牲の比率は極めて高いと強調。イスラエルは「民間人の犠牲を最小限に抑えている」と主張し、ガザヘの攻撃を正当化しているが、犠牲者には女性や子どもが多く、疑問視する声が上がっている。

 イスラエル政府はガザの中心都市、北部ガザ市制圧計画を決定。周辺での攻撃を強めており、パレスチナ通信は24日、ガザ市の複数箇聊に砲撃があったと伝えた。国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)によると、12〜20日にガザ市から1万6千人以上が避難を余儀なくされた。


再びジェノサイドということばが蘇る。かつてナチスによるジェノサイドを経験したユダヤ民族がその手でジェノサイドを実行している。イスラエル政府がどのように抗弁しようがその正当性はない。


8月24日 【天眼】 軍隊も原発もない国を訪ねて

   山極 寿一 (総合地球環境学研究所長)

 この8月にコスタリカを訪ねるツアーに参加した。目的は、世界でもトップクラスの生物多様性と、軍隊を持たないという政策がどう維持されているかを知ることであった。

 コスタリカは日本の7分の1の面積で人口500万人の小国だが、世界の生物種の5%が生息しているといわれ、陸域の25%が保護区となっている。しかし、1960〜80年代に国土の75%を占めていた森林の50%が伐採されて牧場と化し、植林をして保護区を拡大した歴史がある。

 政策の原点は農園にあった。極彩色の鳥ケツァール、ナマケモノ、サル、ヤドクガエル、ハキリアリなど、この国を代表する動物たちに出会ったのはいずれも農園だった。ガイドをしてくれたコスタリカ社会科学研究所の足立力也さんによると、農園の多くは地元のコミュニティによって管理され、農業と自然の多様性を両立させようという意識が高い。トラピチエ統合農園では化学肥料を一切使わず、さまざまな作物の畑を貫くように樹木の密生した回廊を設けている。樹上にいたナマケモノを見ていると、ホエザルとクモザルがやってきて平和に出会い、ナマケモノに触れんばかりに近づいた。足立さんたちは植林に協力する支援者を募っていて、この生物回廊を「なまけものの通りみち」と称して拡大することを目指している。

 軍隊の放棄も農園から始まった。1948年の大統領選挙で野党候補の勝利を与党が認めずに内戦に発展した。この時、農場主だったホセ・フィゲーレスが農民たちを結集して鎮圧に成功した。彼は1年半権力を握り、軍隊の放棄を宣言し、選挙で勝利した野党の候補者に議会政治を任せた。その時に陸軍の要塞の壁を自らハンマーで崩した写真とハンマーが博物館に展示されている。

 しかし、なぜ70年以上も軍隊を持たずに国を維持することができたのか。足立さんによれば、国民の平和への高い意識と愛国心にある。今回、いくつかの国の施設を見学したが、案内してくれたどの職員も自国の政策に誇りを持ち、一方でためらわずにそれを批判する。。立法、行政、司法の他に選挙を取り仕切る選挙最高裁判所があり、選挙に関わる司法権を持つ。一議院制の比例代表制で継続は不可、大統領選挙と併せて実施され、候補者名が印刷された投票用紙に記すだけ。各党で女性候補者が4割以上と定められ、議員の女性比率は5割近い。立候補期間は4ヵ月あり、候補者は全国で政策を訴える。日本の参議院選挙の17日間と比べて雲泥の差であり、無効や不正も起こらない。日本の候補者が名前ばかり連呼するのに比べ、ここでは国民が じっくり政策を議論する。

 対外政策も傾聴に値する。コスタリカでは医療と教育が無償であるが、海外からやってくる人々にも拡張されている。今回訪れた子ども病院は、12歳まで国籍を問わず無料で、会計する場所がない。子どもの権利条約を守ることが使命と聞いた。周辺のカリブ諸国ではこれまで内戦や戦争が勃発してきたが、コスタリカは平和主義を貫き、難民を受け入れてきた。1986年にはファーストレディ外交を先導し、平和をもたらした実績もある。

 コスタリカは原子力発電所を持たず、エネルギーの99%を水、風、地熱で賄っている。農業と観光が主流産業で、多くの国が投資をしている。経済成長率は年10%を超え、今後の世界のモデルになるだろう。見習うべきところがたくさんありそうだ。


「経済成長率年10%超」だそうなのだが、国の実態を示す指標としてGDPだけでは見えないと感じる。脱成長あるいは定常型社会という風に見ることもできる。とりわけ、グローバルノースが牽引してきた世界経済にNOを突きつけているのが南アメリカの住民運動という見方も多い。日本のGDP至上経済をどう変えていくのかが、軍隊や原発、少子化への回答になるのではないか。


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8月24日 【教育】 年内の学力試験実施 進む

 2026年春入学の大学入試から、年内の学力試験が条件付きで認められた。現在、「年内入試」と呼ばれる総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜(旧推薦入試)で入学する人の割合は全体の5割を超している。18歳人口が減少する中、早期に入学者を確保する動きが目立っている。 (湯沢宏志)

 昨年、首都圏の一部大学が学校推薦型選抜で国語や英語の学力試験を課すと公表したところ、一部の高校や大学が「文部科学省が定めるルールに違反している」と指摘していた。

 今年6月、文科省は「面接や小論文を組み合わせ多面的に評価すること」を条件に、学力試験を伴う試験の年内実施を認めることになった。

 ただ、関西では各高校で調査書の基準が異なることもあり、総合的に生徒の能力を判断することを目的として、総合型や学校推薦型の選抜での学力試験の年内実施が慣習となっていた。文科省は事実上、現状を追認したことになる。

 長年、学校推薦型選抜で学力試験を実施してきた府内の私立大の入試担当者たちは、「関西では、遅くとも1990年代には年内に基礎学力を測定しており、正直、何を今更という感じ」「関西の高校生には複数校を受験し、年内に進学先を決めようという慣習がある。認めなかったら大混乱だった」と文科省の対応に冷ややかだった。

 2026年度の入試要項などによると、今年も京都産業大や佛教大、京都女子大が入学定員全体の約3割を、京都橘大、同志社女子大が約4割を年内入試で募集している。

 関西の学校推薦型選抜は、複数大学を併願できることから多くの受験生が腕試しとして利用してきた。京都市内の私立大の担当者は、「早期に入学生を確保したい大学側と進学先を確保して安心感を得たい受験生のニーズが合致する制度だ」と意義を強調する。

 受験を控える高校生たちは、年内の学力試験実施を好意的に捉えている。学習支援事業を手がけるスタディプラス(東京都)が、同社のアプリを利用する全国の高校3年生を対象に今年6月に実施したアンケートでは、回答した232人のうち40・9%が年内入試への学力試験導入に賛成し、反対(12・5%)を上回った。賛成の理由では、「公平性や透明性が増す」「努力の評価に必要」などが挙げられた。

 年内入試を重視する動きは、国公立大にも広がる。京都大は、理工系学部の女子学生を増やすため、理学部と工学部の年内入試で計39人の女子枠を設定した。

 ただ、文科省の方針を受け各私大では、調査書と基礎学力試験に加え、志望理由や高校で力を入れたことなどを記載した書類の提出を新たに求める方針で、高校現場の負担が増すことを心配する声もある。

 約6割の生徒が年内入試を利用しているという市内の私立高は「教員には書類の添削作業が生じ、生徒も大学ごとに準備することになり、負担の増加は避けられない」とこぼす。

 年内入試の拡大で多様な学生の確保が可能になる一方、大学関係者の中には、必要な学力を担保できるのかと危惧する意見もある。合格者に対し、入学前に課題の提出を求めたり、大学での学びの一端を体験してもらったりするなど知恵をしぼる。市内の私立大の入試担当部長は「入試の実施時期でもめている場合ではなく、少子化が進む中、高等教育で必要な力を養うためにはどんな入試制度が有効なのか、という本質的な議論をするべきだ」と指摘した。


「年内入試」を文科省が認めたということだけれども、確かに何をいまさらという関西では見られている。電車内での広告はそれを売りものにオープンキャンパスを呼びかけているものがほとんどだ。文科省が「多面的に評価」を条件としているようだが、かつて偏差値への批判が起こったときに内申書重視を打ち出し結果的に在学期間すべてを受験に向けたものとしてしまったことは教訓とされていないのだろうか。ただ、学生の青田買いを進めることになるのではという文科省の危惧は一定理解できる。


8月23日 文科省 「校内居場所」支援充実へ

 増え続ける不登校の児童生徒の支援体制構築に向け、文部科学省は、空き教室を活用して自治体が設置する「校内教育支援センター」に支援員を配置するための経費補助を、現行の2千校分から2・5倍の5千校分に増やす方針を固めた。スクールカウンセラー(SC)らの配置拡充などと合わせ、来年度予算案の概算要求に110億円超を計上する。関係者への取材で22日、分かった。

 校内教育支援センターは「校内フリースクール」などと呼ばれ、登校できてもクラスの中に入れない子どもの居場所や学習環境を確保するのが目的。教員や支援員、SCが連携しながら、児童生徒が自分のペースで生活や学習ができるよう支援している。文科省によると、全国の公立小中学校での設置率は2024年7月時点で46・1%(1万2712校)。地域によって取り組みにばらつきがあり、自治体からは支援員配置の補助の拡充を求める声が上かっていた。

 SCやスクールソーシャルワーカー(SSW)の需要も高く、不登校やいじめ対策が特に必要な学校に手厚く配置するための経費は、SCで1万1800校分、SSWで1万1500校分とそれぞれ500校分ずつ増やす。教育課程を柔軟に編成できる「学びの多様化学校(不登校特例校)」の設置促進などのための費用も盛り込む。

 文科省の23年度調査では、全国の国公私立小中学校で不登校の児童生徒は34万6482人と最多を更新。このうち38・8%に当たる13万4368人は学校の内外で専門的な支援を受けられておらず、支援体制の整備が急務となっている。


空き教室利用の「校内教育支援センター」では学校を新設する費用は発生しないが、人材の確保が必要でありその負担を国が一定行うことは評価できる。しかし、伸び続ける「不登校児童・生徒」の問題の本質的な解決にはならないのではないか。事情は様々だろうが近代日本の教育制度がその役割を終えているとの議論(『 日本型公教育の再検討 -->』)もあるなかで、ナショナルスタンダードとしての学習指導要領に基づく教育体制を維持することの是非も検討されなければならいのではないか。ちなみに、京都では学びの多様化学校として唯一洛風・洛友中学校(昼間部)が設置されている。全国ではおよそ54校が指定されている。


8月23日 京都市 ヤングケアラ―に休憩場所や食事

 病気や障害ある家族の介護や世話を日常的に担うヤングケアラーを支援するため、京都市は、介護付き有料老人ホームを運営する チャーム・ケア・コーポレーション(大阪市)と連携協定を結んだ。介護から離れて休息できる場や自由度の高い就労機会を提供する。

 市は昨年11月のケアラー支援条例施行を契機に、庁内外での支援体制構築に取り組んでいる。連携協定は市内にも7施設を展開する同社が提案した。自治体では3例目となる。

 連携の具体例では、ケアラーが一時的に自由に過ごせるレスパイト(休息)の支援として、同社が老人ホームの空き部屋を無料で提供する。対象は市が紹介した18歳から30代までのケアラーで、2泊3日の食事付き。介護を受ける人のみの宿泊もできる。

 家族のケアで就労が困難なケアラーには、同社が市内施設などで働く機会を提供する。家庭の状況に合った柔軟な働き方ができるほか、担当職員から就労訓練のサポートも受けられる。

 支援内容は同社がヤングケアラーの当事者団体に二ーズを聞き取って考案したという。市の担当者は「ケアラーは自分で声が上げられないことが多いが、この連携で、今まで支援の手が届かなかった人たちにもリーチできれば」と期待している。  


行政と企業つまり公と私の連携が様々な分野で展開されている。このヤングケアラ―支援もその一環なのだろう。しかしこの構図を見るとき少なからずともある種の疑念が沸く。つまり公と私におけるベネフィットとはなんだろうかということである。公にとっては政策的なアピールであり法の順守であるが、私にとっては「空き部屋を無料」とすることで何があるのか。介護人材の囲い込みも視野にあるのかもしれない。ヤングケアラーが安価な労働力として、あるいはボランティアとして使われることはないのだろうか。連携するということの中で公の監視がどこまで行き届くのか。


8月22日 イスラエル ガザ市制圧へ予備作戦開始

【エルサレム共同】イスラエル軍報道官は20日、パレスチナ自治区ガザの中心都市、北部ガザ市制圧計画の予備作戦を開始したと発表した。ガザ市郊外は既に掌握したとしている。ネタニヤフ首相はガザ市制圧を早急に進めるよう指示したと明らかにした。停戦交渉でイスラム組織ハマスに圧力をかける狙いとみられるが、軍事作戦が進めば人道危機が一層悪化するのは必至だ。

 ガザ市制圧計画は10月上旬を期限に住民を退避させた上で、地上侵攻をさらに強化する内容とみられる。完全占領には4〜5ヵ月かかるとの見方がある。イスラエル軍は21日、ガザ市住民の退避準備の一環として北部の医療関係者らに対し、医療機器を南部に移送する計画を策定するよう求めたと発表した。

 来日中のグテレス国連事務総長は21日、横浜市で記者会見し「ガザ市への攻撃が引き起こすことになる大量の死傷者と破壊を回避することが極めて重要だ」と述べ、双方に即時停戦を訴えた。

 イスラエル軍は20日、制圧計画の実施に向け、予備役約6万人に招集命令を出し、任務中の約2万人の任期を延長すると発表した。地元メディアによると、計画実行に約13万人の予備役が動員されることになる。

 イスラエルメディアによると、ネタニヤフ氏腹心のデルメル戦略問題相はパリで仲介国カタールの高官と会談し、戦闘終結には全人質解放やハマスの武装解除が必要だとする従来の主張を伝えた。


国連総長「入植は国際法違反」

 来日中のグテレス国連事務総長は21日、横浜市で記者会見し、イスラエル政府が承認したヨルダン川西岸での大規模なユダヤ人入植地建設計画を「国際法違反だ」と批判し、撤回を要求した。同計画は将来のパレスチナ国家樹立を阻む恐れがあるとして国際社会が強く反発し、計画が長年停止されてきた経緯がある。

 計画予定地は「E1」と呼ばれ、イスラエルメディアによると12平方キロに約3400戸を建設する内容。エルサレムと西岸中部の大規模入植地マーレアドミムの間に位置する。新たな入植地ができれば、パレスチナが独立国家の首都と想定する東エルサレムと西岸のパレスチナ自治区の分断を進めることになる。自治区ガザでの人道危機を受け、7月以降、パレスチナの国家承認を表明する国が続出。対パレスチナ強硬派の極右スモトリッチ財務相が「対抗措置」として、計画の承認を急いでいた。(共同)


ウクライナとロシア、ハマスとイスラエル双方の戦闘はますます政治的な色彩を帯びてきている。戦闘中止が政治的に解決されなければならないのは確かではある。しかし、その戦闘に携わる人びと(被害を受ける市民ら)の個々の生活がどのように壊されているのかという想像力は失ってはいけない。今でも、勝利・敗北にかかわらず人々は悲しみを抱かざるを得ない。


8月22日 愛知・豊明 スマホ使用「1日2時間まで」

 愛知県豊明市は21日、仕事や勉強時以外の自由時間にスマートフォンなどを使用するのは1日2時間以内を目安とするよう促す条例案を9月定例議会 に提出すると明らかにした。市によると、全住民を対象に使用時間の目安を示す条例案は全国初とみられる。小学生以下の使用は午後9時まで、中学生以上は午後10時までとするよう求める内容も盛り込む。可決されれば10月1日に施行する。罰則はない。

 睡眠不足など長時間使用に伴う悪影響が、子どもだけでなく幅広い年齢層の共通課題と位置付け、厚生労働省の資料などを踏まえて目安を2時間とし た。施行後は医療、福祉の関係者や学校などと連携して適正使用の啓発などを進めるとしており、市担当者は「スマホの利用を考えるきっかけにしてほしい」と話している。

 名称は「豊明市スマートフォン等の適正使用の推進に関する条例」で、対象機器はスマホやタブレット、ゲーム機器など。18歳未満の子どもは「十分 な睡眠時間の確保が心身の成長に不可欠」とし、小学生以下は午後9時以降、中学生以上は午後10時以降の使用を控えるよう家庭でのルール作りを促して いる。市内の学校に通う市外在住の子どもも対象とする。

 条例案は、スマホなどを生活必需品と認める一方、交流サイト(SNS)や動画視聴などの過度な使用が健康面だけでなく、家族間の会話が短くなる など家庭環境に悪影響を与えていると指摘した。


近大・村中洋介准教授時間より使い方考えて

 スマートフォンへの依存は子どもだけに限らないから、愛知県豊明市の条例案が大人も対象にしたことには意義がある。ただ、使用の目安時間を定め る必要があるのかは疑問だ。スマホを使うのは個人の自由であり、行政が踏み込むのは本来は良くない。交流サイト(SNS)を巡るトラブルや歩きスマホの防止など明確な目的が必要で、使用を2時間以内と数字で区切るだけでは住民に理解をしてもらえないのではないか。時間よりも使用のあり方を考えるべきだ。


個々人の判断に任せられる問題を条例化することには違和感がある。統一教会の関与が取りざたされた家庭教育支援条例(家庭教育の支援に関する条例)制定の動きを彷彿とさせる。推進派反対派それぞれに理屈はあるのだろうが、行政権力が個人へ介入することは慎まなければならないし、ほかの方法での対処も模索すべきだろう。


8月21日 京大チーム 下水汚泥からPFAS

 健康影響が指摘される有機フツ素化合物(PFAS)について、京都大のチームが全国から抽出した34力所の下水処理場の下水汚泥を分析したところ、全ての処理場から検出されたことが20日、分かった。代表物質の一つで国際的な規制対象のPFOSはほぼ全てで確認。処理場は各地域から抽出しており、全国的に広がっていることが明らかになった。

 国は下水汚泥由来の肥料の普及促進に取り組んでいるが、PFASの指針値は設定されていない。分析した大下和徹・京大准教授(環境デザインエ学)は「健康被害が懸念されるPFOSが、国内の下水汚泥全般に含まれている可能性がある」と指摘。「将来的にはデータの蓄積により指針値が策定されることが望ましい」とした。

 チームは全国約2200力所の下水処理場から、規模や処理方式、地域分布に偏りがないように34力所を抽出。2023年に北海道から九州・沖縄までの処理場から半固形状態の下水汚泥(脱水ケーキ)を採取、汚泥中のPFOSなど30種類のPFASを調査した。

 PFOS濃度の中央値は1グラム当たり5・1ナノグラム(ナノは10億分の1)で、最大値は69ナノグラムだった。検出は33力所で、うち21力所では、確認されたPFASのうちPFOSの濃度が最も高かった。PFOSは汚泥中に吸着されやすい性質を持ち、高くなったと考えられるという。合計のPFAS濃度は最小4・6ナノグラム、最大370ナノグラムだった。

 汚泥の活用を巡っては、国は30年までに、下水汚泥資源・堆肥の肥料利用量の倍増を掲げている。農林水産省は24年、全国の事業場から86点の汚泥肥料を収集し、調査結果を公表。取材に対し「汚泥に含まれるPFASは検出できないレベルに微量。使用する上では問題はない」と話し、値策定の予定はないとした。

 一方で米環境保護局は1月、下水汚泥を肥料や土壌改良剤に利用する場合に、PFASが低濃度でも含まれていると、許容できない健康リスクが生じ得るとの暫定評価を公表。農家や周辺住民らへの懸念があるとした。


農林水産省は京大チームとの調査結果の違いについて「問題はない」としているが納得できる説明はない。環境汚染についてこれまでの経験がほとんど役に立っていないのだろうか。危険性が指摘さているのであれば改めての全国調査と汚染源の特定を急ぐべきではないのか。


8月20日 【戦後80年】 占領軍性接待 警察が内規

 太平洋戦争終結直後、各地に設置された占領軍兵士を性接待する慰安施設を巡り、設営条件や女性の募集・管理に関する内規を記した新潟県警の公文書が、19日までに見つかった。17歳未満や既婚女性を対象外とする条件や、衛生面の留意事項を記載。旧内務省が全国の警察に設置を指示したことは知られているが、識者によると、地域の警察による詳細な規則が明らかになるのは初めてで、貴重な資料という。

 旧内務省は敗戦から3日後の1945年8月18日に「外国軍駐屯地における慰安施設」に関する通達を極秘で発出。全国の警察が民間業者と協力するなどして開設を進めた。

 今回見つかった文書は新潟県警津川署が1945〜46年度に作成した「連合軍進駐関係綴」。約600ページ中、少なくとも22ページに慰安施設に関する記述があった。県立文書館が特定歴史公文書として保存していた。

 文書には県警察部長が45年9月19日、各署長に宛てた通達が含まれており、日本人を対象とした慰安娯楽施設の設営を「徐々に戦前に復帰させる」とする一方、占領軍向けを優先し「娼妓ならびに接待婦の充足に努める」との方針を提示。「業態の許可に関しては必ず警察部長に稟議」を求めると定め、開設手続きに「極力便宜を供与すること」とした。

 通達には慰安施設である特殊飲食店を取り締まる内規もあり、接待婦の募集で@17歳未満A夫がいるB親権者の承諾がない―場合は雇用できないと条件付けた。「接待婦は署長の指定する医師の健康診断を受ける」「寝具類は常に清潔を保持する」など、県警が設置運営に加え保健指導にも積極的に関与する記載があった。

 新潟県警察史によると、45年10月25日時点で県内151施設があった。

 慰安婦問題に詳しい藤目ゆき大阪大名誉教授(日本近現代史)は「『戦前に復帰』という言葉からも分かるように、日本の警察には戦前から女性の売り買いを管理するような制度があった」と指摘。「占領軍はそういう体制を利用する、いわば共犯関係にあった」と分析した。


一橋大・平井和子客員研究員女性使うことへの葛藤なく

 旧内務省は「慰安所」開設を全国に通達した際、「あらかじめ内部的な手はずを定めて外部に絶対に漏えいしないこと」と命じた。今回見つかった警察の公文書は、秘匿のために資料を非公開扱いにしたり、破棄したりした自治体が多い中で貴重な資料だ。施設の運営が地方でどのように実施、展開されたのかが手に取るように分かる。新潟県では一部地域を除き、警察署が業者を選定し規則を作った。それを「形式上、業者組合の自発的活動」にした典型例だ。文書からは、女性を使うことへの。葛藤や後ろめたさは感じられない。女性たちは戦後史の中で不可視化され、政府や占領軍の責任は十分追及されなかった。それゆえに女性を差し出して状況を乗り越えるという発想が現代の社会にも根深く残っている。


紋切り型かもしれないが、男の起こした戦争の後始末を女に担わせるという構造が見える。従軍慰安婦にしろ映画『黒川の女たち』にしろ枚挙に暇がない。いかに男の政治がジェンダーの発想に乏しいかということであろう。


8月20日 26年度予算 防衛費8・8兆円台要求

 防衛省は、8月末にまとめる2026年度当初予算概算要求で、過去最大となる8兆8千億円台を計上する方向で調整に入った。防衛力の抜本的強化を掲げた整備計画の4年目に当たる。無人機を活用した攻撃や偵察能力を向上させるため、大量配備に向けた調達費を盛り込む。

 政府は27年度までの5年間で防衛費を計約43兆円とする方針。これに沿って23年度当初は約6兆8千億円、24年度は7兆9千億円超と急伸した。今回の要求額は、約8兆7千億円だった25年度当初を上回る規模。

 27年度に防衛費と関連経費を合わせて、22年度国内総生産(GDP)比2%とする目標も掲げており、25年度は約1・8%だった。無人磯を巡っては、防衛力強化7本柱の一つ「無人アセット防衛能力」として活用を推進。戦闘による人的被害を低減できるとしている。27年度までの5年間で約1兆円を投じる方針で、25年度までに計約4千億円を計上した。

 防衛省は空と海上、海中で無人機を活用する「SHIELD(シールド)」構想を27年度中にまとめる方針だ。調達では、ロシアとの戦闘でウクライナが使用したトルコ製の低価格無人機も視野に入れる。


参議院選で各党は物価高を大きく取り上げた。そしてその財源を何に求めるかが議論となった。しかし、防衛費は「聖域」扱いだったように思える。仮に消費税率を下げるとするなら2〜3兆円の財源は防衛費の削減から生まれるのではないか。盾と矛の関係を見るまでもなく、抑止力を強化するすることでは戦争を回避することはできない。


8月18日 映画 PFASと闘う女性たち

 全国各地の水道水などから有機フツ素化合物(PFAS)が検出された問題を巡り、水質汚染の解消に向けて尽力する女性たちの姿を追ったドキュメンタリー映画「ウナイ 透明な闇 PFAS汚染に立ち向かう」の公開が始まった。7月に沖縄の一部で先行上映され、今月16日の東京を皮 切りに、京都や大阪など全国で順次公開される予定。

 映画では、子どもへの影響を懸念する世界各地の母親らがPFASの深刻さに気付き、規制導入などに向けて活動を進めた様子に迫る。平良いずみ監督は「声を上げないと命や人権は守れない。まずは関心を持って」と映画の意義を語る。

 「ウナイ」は沖縄の方言で「女性たち」を意味する。沖縄では、PFASという言葉が日本で広く知られていなかった2016年に、那覇市など7市町村に給水している米軍基地近くの浄水場で検出したと、県が水質調査の結果を発表した。

 日本では当時、水道水などに関して現在のようなPFASの基準はなかったが、映画によると、米国では既に低体重での出生やがんなど、健康への影響が確認されていたという。

 沖縄出身の平良監督は「最初は基地から派生する沖縄の問題として閉じ込められているようだった」と振り返る。同じく米軍基地の周辺で検出された神奈川県や広島県を含め、PFASによる汚染問題を抱える国内外の現場を取材して回った。沖縄県は汚染源が基地内にあるとみて立ち入り調査を求めてきたが、米軍側は消極的な姿勢をみせている。国内では工場が排出元と特定されたケースもある。

 嘉手納基地の一部が位置する同県北谷町に暮らし、映画に登場する同町議の仲宗根由美さん(39)は「(県の発表から)9年たっても汚染源が特定されていない」と問題提起し「遠くで起きている誰かの話ではなく、皆さんの身に起きている話だ」と訴えている。


PFASを告発する映画の「ウナイ」という命名は実に的確。政治が男のものとされている傾向は今もあまり変わらない。参政党の支持者に若い女性が多数だと聞くが、男の論理を打ち上げる政策と「ウナイ」は対極にあると思う。


8月18日 米政府 ガザ出身者に ビザ停止

【ワシントン共同】米国務省は16日、パレスチナ自治区ガザ出身者への査証(ビザ)の発給を停止していると表明した。X(旧ツイッター)への投稿で、最近発行した少数の臨時医療、人道ビザに関する手続きを調査する間の措置だと説明した。ガザではイスラエル軍の攻撃による犠 牲者が増え続けており、パレスチナ支援団体は「壊滅的影響がある」と非難した。

 ロイター通信は国務省の措置について、極右活動家ローラ・ルーマー氏がガザ住民の米入国を疑問視する内容を投稿し、一部の共和党議員が同調したことと関係があるとの見方を伝えた。ルーマー氏はトランプ大統領の熱烈な支持層「MAGA」に強い影車力を持つ。

 支援団体のパレスチナ子ども救済基金は「けがや病気のガザの子どもたちにとつて医療避難は命綱だ」との懸念を表明、措置の撤回を求めた。


文字にすることも憚られることだが、トランプ大統領の「ディール」は人をお金のように扱う政治だ。その本人がノーベル平和賞を渇望するという。平和もお金で買えると考える傲慢さに恐怖を感じる。


8月16日 【表層深層】 被害と加害 薄れる実感

 日本人の約310万人が亡くなり、アジア諸国でも2千万人以上が犠牲になったとされる先の大戦の終戦から80年となった。戦後生まれが約9割を占め、若い世代を中心に、被害と加害が交錯する戦争の実相を現実感を持って受け止めることが難しくなっている。無関心さえ漂い、歴史をゆがめる言説につながるとの指摘も出る。戦争の記憶と非戦の誓いを後世にどう伝えるのか。模索が続く。

 「戦争は人と人との殺し合い。若い人にはどういうものなのかよく学んでほしい」。愛媛県松前町の自宅で15日を迎えた海軍潜水艦「伊58」の元乗組員、清積勲四郎さん(97)はつぷやいた。

 1941年12月、旧8本軍のマレー半島上陸、真珠湾攻撃で太平洋戦争が開戦した。軍国少年だったという清積さんも志願し海軍に入隊。45年7月末、伊58が搭載した人間魚雷「回天」の出撃で仲間を亡くし、直後にフィリピン沖で米巡洋艦を撃沈した。当時17歳。攻撃の成功を喜んだが、後に米側 の900人近くの命が失われたと知った。

 仲間を亡くした悲しみと、大勢の命を奪う作戦に関与したやるせなさ。「これが戦争の悲劇だ」とこぼす。体験者が減る一方、北朝鮮や台湾有事を懸念する政府は防衛強化に進み、米国と「軍事一体化」を加速させる。「危うい空気を感じる」と話す。

 日本財団が6月、17〜19歳の千人に行った調査で、太平洋戦争について家族や友人と「ほとんど話すことはない」としたのは72%に上る。

 戦没者追悼式が開かれた日本武道館の最寄り駅は、15日も日常を過ごす人々が行き交った。東京都の女性会社員(45)は「祖父母が亡くなり、戦争の話をする機会がなくなった」と話し、埼玉県の女性会社員(32)は戦後の発展を強調した教育を受けたとして「日本が悪いことをしたと考えたくない」と率直に語った。

 追悼式で石破茂首相はアジアへの加害責任に触れず、節目の年の閣議決定による首相談話も見送った。参列した戦没者遺族の吉沢登志江さん(83)=茨城県石岡市=は「若い人に関心を持ってもらう大事な機会を無駄にした」と指摘した。

 学習院女子大の武井彩佳教授(ドイツ現代史)は歴史への無関心がはらむ課題を指摘。史実をゆがめたり誇張したりする「歴史修正主義」が入り込む余地を生むと懸念する。事実に基づかない言説は人を傷つける恐れがあり、オンラインで簡単にフェイクニュースが作られてしまう現代では、当事者が減っている戦争の記憶に対し「特に誠実であり続けることが問われている」と強調する。

 5月には自民党の西田昌司氏が、沖縄戦の犠牲者を慰霊する「ひめゆりの塔」の展示説明を「歴史の書き換え」と主張。「歴史修正主義だ」と批判を浴びたが、7月の参院選で再選となった。また、多くの中国人が殺害された「南京事件」でも、存在そのものを否定する言説が日本でくすぶる。

 被害と加害が絡む歴史に向き合う取り組みは続く。東京大空襲・戦災資料センターで15日、戦災孤児となった女性が戦後の苦しみを語った。会場は約50人で満席となり、子どもの姿も目立った。展示では、東京の被害に加えて世界の無差別爆撃の歴史に日本が加担したことも紹介している。

 一橋大名誉教授の吉田裕館長は「戦争の多面性を理解し、検証をしなければ戦後は終わらない」と訴えている。 


戦争を体験した人で存命している方がほとんどいなくなっている。戦争について語る機会が少なくなっている、そうかもしれない。しかし、だからと言って戦争について語ることが難しくなっているというの早計かもしれない。世界ではいまだに戦争が継続している。國分功一郎は「責任とは応答」であると語っている。一人一人の生を見つめそれに「応答」することが必要なのだろう。怒りは制御することができるとも言われる。怒りは武力を生むが、応答は平和を生む。


8月16日 【インサイド】 首相、独自色にこだわり

 石破茂首相が全国戦没者追悼式の式辞で、独自色を随所に盛り込んだ。民主党政権以来となる「反省」「不戦」の文言を復活。戦火の絶えない国際情勢を受け、分断の排除を訴えた。戦後80年の首相談話発表は見送ったが、問題意識を反映させた見解表明の時機を探る。自民党保守派は式辞の内容に反発し、見解発表への警戒感を強めた。

 「進む道を二度と間違えない。あの戦争の反省と教訓を、深ぐ胸に刻まねばならない」。終戦の日の15日、東京・日本武道館。首相は追悼式で3分 弱の式辞を読み上げ「不戦に対する決然たる誓いを継承し、恒久平和への行動を貫く」と力を込めた。

 「反省」は1994年の式辞で当時の村山富市首相が表明してから定着。だが2012年の野田佳彦首相を最後に途絶えた。安倍晋三元首相や岸田文雄前首相は「歴史の教訓」に言及しつつ「反省」の使用は避けた。

 石破首相は「反省」を復活させた理由を記者団に「反省の上に教訓が出てくる。ある意味で一体のものだ」と説明した。

 式辞で強調した「進む道を二度と間違えない」は、政府関係者によると歴代首相の式辞で初めて用いたという。

 「分断を排して寛容を鼓し」は、ウクライナや中東で紛争が続く現状を踏まえた。7月の参院選で外国人への規制強化が話題になった国内の風潮への懸念も念頭にありそうだ。

 戦時中の市民の犠牲を巡っては、近年使われた「爆撃」を「各都市への空襲ならびに艦砲射撃」に変更。事実関係にこだわる一面をのぞかせた。

 官邸幹部は「なぜ負ける戦争に突き進んだのか。首相には二度と起こしてはいけないとの思いがある」と解説する。

 首相は7月の参院選に大敗し「石破降ろし」が続く中でも、先の大戦に関する見解表明に執念を見せる。終戦の日には間に合わなかったものの、日本が降伏文書に調印した9月2日に表明するとの見方も浮上する。

 今月6日、広島市の平和記念式典では被爆者を悼む歌人の短歌を読み反響を呼んだ。9日の長崎市の式典でも、被爆した医師の随筆を引用した。

 戦後80年関連の行事は事前に資料を読み込んでいるといい、官邸筋は「身近に感じてもらえるエピソードを探している」と明かす。15日の追悼式でも、独自色を意識したのは間違いなさそうだ。

 首相の「反省」への言及に関し、立憲民主党の小川淳也幹事長は「当然だ。謙虚な歴史観が未来をつくる」と評価した。

 一方、自民保守派の議員は「時代を逆行させる行為だ」と憤った。安倍氏が15年に発表した戦後70年談話で「反省」や「謝罪」に終止符を打った との意識があるためだ。

 8月下旬には自民が参院選大敗の総括報告書を取りまとめる。これを受け、総裁選前倒しの是非について党内議論が本格化する見通しだ。

 保守派は「戦後80年を『石破カラー』発揮に使うのはやめてほしい」(中堅)といら立ち、歴史認識が党内対立を深める展開も予想される。 


石破首相の式辞を「石破カラー」発揮と受け止める自民党保守派は、どのような国を目指しているのだろうか。参政党の「核は安上がり」などの発言も含めて、未来の日本の在り方が議論されなければならない時期なのだろう。しかし、経済発展のみが平和の指標ではないことも見据えておかなければならない。アベノミクスは大きな格差を生み出し、日本に分断を持ち込んだことは間違いない。少なくとも一連の石破発言は、反アベノミクスとして評価できる。


8月16日 プラ条約合意断念

【ジュネーブ共同】プラスチックによる環境汚染防止に向けた国際条約作りの政府間交渉委員会は15日、スイスで行われた今回交渉での条文案合意を断念した。焦点だったプラスチックの生産段階からの規制などを巡って溝が埋まらず、2024年内の合意を目指した韓国での前回交渉に続く失敗となった。

 交渉委は今月5〜14日の会期を延長し、ルイス・バジャス議長(エクアドル)が示した二つの議長案を基に議論を重ねたが、各国が納得できる妥協点を見いだせなかった。15日早朝に急きよ始まった全体会合では多くの国が「深い失望」を表明、交渉の継統を求めた。

 再び交渉委を開く方針だが、具体的な時期や開催場所は未定。今回の議論を今後にどう反映するかも決まっていない。

 生産規制を巡っては、欧州連合(EU)や、漂着ごみに悩む島しよ国が国際目標の設定など強い規制を要求。一方、自国経済への影響を懸念するサウジアラビアなどの産油国や米国は、廃棄物対策に限るべきだとしたパジャス議長は13日、生産規制に直接言及する条項を削除した案を示して合意を促したが、強い反発を招いた。

 15日には前文で「現状のプラスチックの生産と消費は廃棄物の管理能力を超え、地球規模の対応が求められている」と強調する議長案も出たが、受け入れられなかった。


東京農工大・高田秀重名誉教授話交渉の進め方課題
 

 プラスチック汚染が危機的状況にあることを深刻に受け止め、条約策定を急ぐ必要があることは共有できただけに、合意できず残念だ。議長の最終案には有害化学物質を含むプラスチックの生産削減など、評価できる内容も含まれていたが、提示が遅すぎたため、十分に議論できなかった。短時間では規制に前向きな国々と後ろ向きな国々いずれからも納得を得られず、反発を受けたのだろう。運営や交渉の進め方に課題を残した。


CO2やPFAS、そしてマイクロプラスチックなど地球規模での環境課題の解決は急がなければならない。生産規制は必要な措置だと思える一方で、再利用すれば良しとする考え方も果たしてどうか。あふれるほどのペットボトルを前に、グローバルノースでの使用削減も大きな課題として議論されなければいけないだろう。


8月15日 府・市 地方法務局に「ヘイト許さない」

 開催中の全国高校野球選手権大会で初戦を突破した京都国際高(京都市東山区)に対し、昨夏の大会に続き、再びX(旧ツイッター)上で民族差別的な投稿が相次いでいることを受け、京都府と京都市は14日、悪質な3件について京都地方法務局に連名で削除要請を行った。表現の自由には配慮しつつ、今後も問題のある投稿を見つけ次第、迅速に削除を求める構えだ。

 同高は韓国系民族学校が前身。昨夏の大会中から、校歌が韓国語であることなどを受けた民族差別や侮辱的な投稿が散見され、府と市は同高が大会で優勝した後、計7件の削除を求めた経過がある。

 府は府代表として連覇を目指す選手や試合に影響がないよう、今月1日からSNS(交流サイト)やインターネット掲示板のモニタリングを強化。同高に関する悪質な投稿をいち早く見つけ、サイト上に放置せず、拡散もさせないよう、チェックしている。

 府人権啓発推進室によると、これまで同高に言及した投稿は2千件以上。中でも同高が初戦を勝ち抜いた13日、差別や排除を助長する悪質な内容の投稿が3件あったという。ヘイトスピーチ解消法に照らし、人権擁護上看過できないとして、14日、市とともに削除を要請した。

 同室は「ヘイトスピーチは許されない。継続的にモニタリングし、問題がある投稿については迅速に削除を求めていく」としている。 


軍事技術の一部が民生用に利用されるように技術の発展はその使われた方については一切考慮されない。人のための技術であるはずが、人を傷つけるために発展する。T・イリイチは『コンヴィヴィアルのための道具』で、そうした技術発展にたいして「二つの分水嶺」の概念を設けて考察している。


8月13日 オーバードーズ 中学生1・8%市販薬乱用

 せき止め薬や解熱鎮痛薬などの一般用医薬品(市販薬)を過去1年以内に乱用目的で使った経験がある中学生は1.8%(約55人に1人)と推定されることが13日、厚生労働省研究班の2024年度調査で分かった。若年層を中心に薬の過剰摂取(オーバードーズ、OD)が問題となる中で初めて算出。乱用の背景には孤立や「生きづらさ」がみられるとしている。

 調査を取りまとめた国立精神・神経医療研究センターの嶋根卓也研究室長は「結果は、乱用が全国に広がっている可能性を示唆している。子どもや家族を相談、支援につなげる仕組みが必要だ」と指摘する。

 過去1年間に市販薬を「ハイになるため、気分を変えるため」に、定められた回数や量を超えて使用したことがあるかどうかを聞き、乱用経験率を推定。男子は1・5%、女子は2・0%で全体が1・8%。学年別では1年生2・1%、2年生1・8%、3年生1・6%とした。薬の入手先(複数回答)は、薬局・ドラッグストアなどの実店舗64・2%、家の常備薬33・3%などだった。

 乱用経験がある生徒は、ない生徒に比べて「学校が全く楽しくない」「相談できる友人がいない」「悩み事があっても親にはほとんど相談しない」との回答が多かった。日常生活や学校での「生きづらさ」の有無は、乱用経験がある生徒の21%が「かなり感じている」、26%が「どちらかといえば感じている」と回答した。

 調査では中学生の飲酒、喫煙、薬物乱用に関し隔年で全国アンケートを実施。今回初めて市販薬乱用の質問を設け、主に昨年9〜12月、約3万8千人の有効回答を得た。

 21年度に実施した高校生対象の調査では、市販薬乱用経験があったのは1・6%(約60人に1人)だった。

 市販薬乱用対策を巡っては5月、改正医薬品医療機器法が成立し、「乱用の恐れのある医薬品」に指定されている成分を含むせき止め薬などは若年者への販売が小容量製品1個に制限される。


さまざな社会問題への対応に法的来な規制が行われる。薬物乱用についても法的に規制することは必要なのだが、その根底にある問題の解消へと向けた取り組みがどこまで真剣に行われているかも問われなければならない。「日本型学校」がすでに時代のニーズに合わないとの批判があり、「学校」の在り方が問題となっている。ODに頼る子どもの行動はその一つとみなければならないだろう。


8月11日 【戦後80年】 世論の6割「護憲」望む

 戦後80年に当たり、京都新聞社加盟の日本世論調査会は10日、全国郵送世論調査の結果をまとめた。戦後の歩みの中で良かったこと(三つまで回 答)を問うと「他国と戦争をしなかった」が最多の50%に上り、「治安が良い状態が保たれた」の42%が続いた。憲法に関しては2015年の戦後70年時の調査と同様に「このまま存続させるべきだ」が60%。複数回答で評価する点を聞くと、80%の人が憲法の「戦争放棄・平和主義」を挙げた。

 ロシアのウクライナ侵攻や中東での戦闘激化など厳しい国際情勢が続く中、平和を求める意識が浮かび上がった。

 一方、90歳までの調査対象者で、日中戦争と太平洋戦争を「戦争体験を含め直接知っている」と答えた人はわずか3%。「親などから聞いて知っている」は20%で戦禍の記憶は遠のきつつある。

 戦争体験者が高齢化する中で、継承方法としては「証言を映像や文章で残す」が40%、「学校で戦争の悲惨さを教える機会を増やす」が35%で上 位を占めた。

 先の戦争は「侵略戦争だった」との回答は42%で、日本が被害を与えた周辺国への謝罪は「ある程度」を含め計77%が「行われた」と答えた。

 核兵器は「必要はない」が79%、非核三原則を「堅持するべきだ」は80%に上った。日米の同盟関係を「今の関係のままでよい」と答えたのは60%。中国が台湾に侵攻する「台湾有事」で米中が軍事衝突した場合に政府が取るべき対応を尋ねると「外交努力や経済制裁など非軍事の手段で対応する」が42%と最多で、次が29%の「中立を保ち介入しない」だった。

 日本社会が「悪い方向」に向かっていくと答えたのは「どちらかといえば」を含めて計72%で、15年時の計52%から大きく変化。戦後80年を経て解決すべき課題(三つまで回答)には「少子化と人口減少」「経済格差拡大や子どもの貧困」「地球温暖化やエネルギー問題」の順で多かった。

 世界の秩序や価値観が「望ましくない方向に変化している」としたのは75%で、そのうち47%が、最も大きな変化に「国際協調」を挙げた。

 調査は6〜7月、全国の18歳以上の男女3千人を対象に実施した。


「戦争放棄」は評価が二分

 世論調査で、憲法をこのまま存続させるべきだと回答した人と変えるべきだと答えた人にそれぞれ評価する点、評価しない点を二つまで聞いたところ、いずれも「戦争放棄・平和主義」が最も多く、評価が二分した格好だ。

 評価する点として最も多かった「戦争放棄・平和主義」は80%。次いで「基本的人権の尊重」が49%、「象徴天皇制・国民主権」33%の順だった。

 評価しない点として最も多かった「戦争放棄・平和主義」は39%。次いで「占領軍が起草した」の34%。「象徴天皇制・国民主権」20%、「地方分権・地方自治の規定」19%の順だった。

 男女別で見ると「このまま存続させるべきだ」が男性53%女性65%、「変えるべきだ」が男性43%女性29%となり、意識の違いが表れた。


首相談話「出すべき」57%
 

 世論調査で戦後80年の節目の政府対応として、閣議決定を経た首相談話を出すべきだとの回答が57%を占めた。A級戦犯が合祀された靖国神社を首相は参拝するべきだとする回答は62%で、特に若年層ほど参拝するべきだとの回答が多く、靖国参拝に抵抗感が薄い傾向にあった。

 政府は戦後50年、60年、70年の節目に村山富市、小泉純一郎、安倍晋三の各首相が閣議決定した首相談話を出した。自民党内には安倍元首相の戦後70年談話によって謝罪外交」には区切りがついているとして、新たな談話は不要だとの意見が根強くある。

 石破茂首相は歴史認識を巡る論争が再燃する事態を避けるため、閣議決定した80年談話は見送り、大戦についての検証作業を行うとしていた。

 回答として他に「閣議決定はしない形で首相のメッセージを出すべきだ」だが23%、「首相のメッセージを出す必要はない」は15%だった。

 首相の靖国参拝について、するべきではないとの回答は33%だった。年代別に見ると、29歳以下と30代では70%以上が参拝するべきだと答えたのに対し、70歳以上では54%で、年齢が上がるほど参拝するべきだとの割合は減少した。


本紙の見出しには「世論の6割「護憲」望む」と大書されているが、必ずしも戦後の憲法体制を維持していくことを国民が望んでいるとは言い難い。調査からは、先の戦争についての歴史的な認識が希薄であることが読み取れはしないか。


8月11日 【インサイド】 単純ミスで一触即発

 海上自衛隊の護衛艦「すずつき」が昨年7月、中国から警告射撃を受けていた事実が明らかになった。中国側は領海に近づくすずつきに何度も進路変更を求めていたが、すずつきは領海に侵入。警告射撃を受けた後も領海での航行を継続した。原因は電子海図のスイッチを入れていなかったとの単純ミス。武力衝突の 「一歩手前」(関係筋)までに至った状況を検証すると、当局間対話の停滞が安全保障の最前線に影響している現状が浮かび上がった。

 「領海に近づかないでください。進路を変更しなさい」。昨年7月4日早朝、中国浙江省沖。中国軍艦がすずつきに対し、無線で領海に接近しないよう呼びかけを繰り返していた。ところが、すずつきは領海へ突き進み、むしろ航行速度を上げたとされる。砲弾―発目が撃たれたのは、このタイミングだった。すずつきは砲撃されたにもかかわらず領海に入った。

 ここで中国側はすずつきの艦体から外して、砲弾をもう1発発射。「直ちに退去しなさい」。中国側の無線呼びかけは怒声に変わっていた。すずつきは約20分にわたり航行を続けた後、領海の外側に出た。これ以上、領海内で航行を続ければ中国側が武力行使に踏み切る可能性もあった。

 浙江省沖では当時、中国の新型ミサイル訓練実施の情報があり、すずつきは警戒監視の任務に当たっていた。周辺海域では実弾射撃訓練のため航行禁止区域が設定されており、この海域への侵入は、中国側に「明白な挑発行為」と映った。

 すずつき艦内では何が起きていたのか。日本政府内の調査で、公海と領海との境界を表示する電子海図が稼働していなかったことが分かった。艦長は当時、海自に対して中国領海に入っていることに気付かなかったとの趣旨の説明をしていた。

 すずつきが進路変更を求める中国側の呼びかけに応じなかった理由に関し、関係者は「艦内が、かなり混乱していたのではないか」と指摘する。

 日中両政府は2018年、偶発的衝突の回避に向け相互通報体制「海空連絡メカニズム」の運用を開始。これには艦船や航空機が接近した際、現場で直接通話できる通信ルールの整備も含まれているが、関係筋によると実際は機能していないという。

 メカニズムを巡っては、政府当局間で定期協議を開き改善を図ることになっているが、21年3月を最後に開催されていない。元日本政府高官は「日中双方が疑心暗鬼になっており、今は話し合う雰囲気は皆無だ」と説明する。


防衛力の強化が話題になるが、最も必要なのは外交ルートでの話し合いだということを物語る事実だ。政府はこの事実をもとに中国政府との直接対話のルートを早急に開くべきだろう。護憲をもとめる声が6割との調査もあるが、その内実をどう作るのかは実質的なかだいでもある。


8月11日 【社説】 先生確保へ一時しのぎでは

 教員の質の低下につながらないか。慎重な議論を求めたい。

 文部科学省が、教員免許を取得するための大学の教職課程の単位数を、減らす方向で検討を始めた。中教審の教員養成部会では、四年制大学で得られる1種免許に必要な単位数を約3割減らし、短期大で得られる2種免許の単位数と同等にする提案が委員から出されている。

 見直しの背景にあるのは、深刻な教員のなり手不足だ。

 第2次ベビーブームに合わせた大量採用時代の退職を受け、近年は採用数を増やしたこともあって、教員採用試験の競争率の低下傾向が続く。

 2023年度に実施された公立学校の採用試験の倍率は、小中高すべてで過去最低を記録した。再挑戦を目指す教員志望者も減少しているために、病気休職や産・育休で生じた欠員の補充が難しくなっている。

 教職課程の見直しは、免許取得のハードルを下げることで多くの志望者を集めるのが狙いという。一方、安易な単位数の削減は危うさもはらむ。

 増え続ける不登校やデジタル教材への対応などにより、教員に求められる専門知識や指導力は一段と高まっているといえよう。なり手の確保を優先し、質の低下を招けば、学校現場はかえって混乱することになりかねない。

 中教審委員からは「憲法」などの一般教養科目ついて廃止を含めて見直すべきとの意見もあるが、阿部俊子文科相は「憲法を学ぶことは必要だ」との見解を示した。当然だろう。

 ただ、社会情勢の変化や学習指導要領の改定に合わせて教職課程を一定見直す必要性はあろう。小中高の教育現場や教職科目を設ける大学の考えも参考に、見直す中身や質を担保する方策を協議してほしい。

 単位の削減分は、オンデマンド動画での自習などデジタル活用でカバーするというが、それで実効性が保てるだろうか。

 忘れてならないのは、教師という職業が敬遠されるようになつた主因は、「ブラック職場」と呼ばれる学校の過酷な労働環境にあることだ。文科省は、教員の負担軽減と処遇改善に注力することこそ本筋である。

 公立学校の教員に、残業代の代わりに支給する教職調整額を基本給の4%から10%に順次引き上げる改正教員給与特別措置法(給特法)が、6月の通常国会で成立した。

 各教育委員会に業務量の管理計画の策定を義務付けたが、「定額働かせ放題」と批判される給与体系は維持されたままで、長時間労働の改善につながるかは甚だ疑わしい。

 根本的な業務軽減には、教員の増員が欠かせない。

 その場しのぎの教員確保策で学ぶ内容を削るのでなく、多様な人材を登用する長期視点で教員の育成を考えるべきだ。


文科省の方針が「その場しのぎの教員確保策」との批判は当然だろう。免許取得のための単位数削減の正当な根拠とはならない。ただ、現場では1種免と2種免によって教員の質が異なるようには見えない。必要なことは現場での豊かな経験をどれほど積み上げることができるかによって「質」は向上するということ。そのためには、「ブラック職場」という批判をなくすための一助である定数改善がなによりも必要だ。


8月11日 国連調査 ガザの子 急性栄養失調3倍

【エルサレム共同】国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は9日、パレスチナ自治区ガザの中心都市、北部ガザ市で急性栄養失調と診断された5歳未満の子どもの数が、7月下旬は3月上旬に比べ3倍以上に増えたとする調査結果を明らかにした。急性栄養失調は急速に体重が減り、直ちに治療を施さなければ死に至る可能性が高い危険な状態とされる。

 イスラエル政府は8日、ガザ市制圧計画を決定した。攻撃拡大に踏み切れば人道危機がさらに深刻化するのは必至だ。UNRWAの清田明宏保健局長は「このままでは前代未聞の『人災による飢饉』が現実となつてしまう」と強い懸念を表明。物資搬入の大幅な拡大が必要だと訴えた。

 UNRWAによると、ガザ市で運営する診療所で栄養失調で診察を受けた子どものうち、急性栄養失調と診断されたのは3月前半は6・5%だったが、7月後半は21・5%に急増。ガザ全域では3月前半は5・9%、7月後半は13%だった。

 イスラエルは3月上旬、イスラム組織ハマスに人質を解放するよう圧力をかけるためガザヘの支援物資搬入を停止。5月後半に最南部の検問所で限定的に搬入を再開し、米国とイスラエルが主導する財団も物資配給を開始したが、配給拠点は中部と南部にしかなく、北部には物資が届きにくい状況が続いた。

 イスラエルメディアは10日、米国などの仲介国がイスラエルとハマスに交渉のテーブルへ戻るよう圧力を強めていると伝えた。ガザ保健当局は10日、飢えや栄養失調による死者が217人になったと発表した。



8月10日 長崎原爆80年  被爆体験者に発言機会なく

 長崎の被爆者4団体と、原爆に遭いながら国の援護区域外にいて被爆者に認められていない「被爆体験者」の3団体の代表が9日、長崎市で石破茂首相と面会し、被爆者の援護拡充や体験者への被爆者健康手帳交付などを求めた。首相は高齢化を踏まえ「時間がないことを強く認識したい」と述べるにとどめ、体験者に発言機会はなかった。

 被爆体験者に面会するのは、昨年の岸田文雄首相(当時)に続いて2回目。冒頭、長崎県平和運動センター被爆者連絡協議会の川野浩一議長(85)が「被爆から80年。体験者が亡くなってから結論を出しても意味がない」と早急な解決を求めた。国側は要望書を受け取った後、石破首相らが発言するだけで、面会は約30分間で終わった。

 昨年、岸田氏との面会で発言した被爆体験者の岩永千代子さん(89)は面会後の記者会見で、石破首相に宛てて用意し、読む機会がなかった作文の内容を披露。放射性物質を含んだ水を口にしたことや、灰や黒い雨に遭ったとする知人ががんや白血病で亡くなった実態を訴えた。「抗議ではない。事実を言っているだけ。それを伝えることができなかったのが、非常に悲しい」と言葉を詰まらせた。 


被爆者の範囲をどこにするかで国はできるだけ範囲を狭めたい考えだ。しかし、放射能の被害は簡単に線引きできるほど容易なものではない。早急に認定が行われるべきだろう。ちなみに、京都新聞で連載している【戦後80年】の記事で1945年9月17日付記事には、仁科芳雄博士の発言が記載されている。仁科は「原子爆弾のさく裂後、爆発によって生じた放射能が、長期にわたり人畜その他の生物に害を 与えるというような報告や意見が度々新聞至上に見受けられるが、事実は全くこれと反対だ。現地の放射能強度の測定結果は、爆発後1週間〜10日を経た後は全く無害とみられる。すなわち、爆心付近でさえ爆弾によって発生した放射能の強度は、人体に有害な強度の数十分のー〜十分の一にすぎない。従って、放射能が減衰した現在、もちろんその恐れはない。爆発直後の一両日間は相当に強い放射能が存在したことは事実と思われるが、これも短期間に減衰したと考えられるため、爆発による直接の被害をのぞいては生物におよぽす害はほとんどないものと推定される」とのコメントを寄せている。


8月10日 茨城県  茨城県初、部活特化の組合

 部活動問題に特化した教職員組合が茨城県で初めて設置されたとして、同組合の「IRIS(アイリス)茨城」が7日、発表した。同組合は「学校現場で教員に部活動顧問への就任が強制・強要され続けている」と指摘し、顧問を引き受けるかを自由に選べる環境の実現などを目指すとしている。

 同組合によると、昨年12月7日に結成。1月15日付で県人事委員会に登録され、交渉を県に申し入れる権利を獲得した。県内公立学校勤務の教職員で構成し、組合員は現在7人。

 4月には、県西地域の県立高で初の現場交渉を行い、組合員が部活動の顧問にならないことが認められるなど、着実に実績を上げているという。

 県内では2017年、市民団体「茨城部活動問題対策委員会」が結成された。その活動により、22年、県教育委員会から「部活動顧問への就任が強制されることのないよう、県立学校長および市町村教育委員会に指導していく」との回答を引き出したという。

 一方、学校現場では部活動顧問への就任が強要され続けている実情があるとして、愛知県で先行して結成された「愛知部活動問題レジスタンス(IRIS)」の支援を受けて同組合を設立。部活動問題に特化した教職員組合の設立は、全国でも広がっている。

 神谷侑樹事務局長は「顧問を強制されて困っている教員は遠慮なく相談してほしい」と呼びかけた。(茨城新聞)


旧来型労働組合の加入率は減少傾向が続いている。課題特化型労働組合が現場には親和的なようだ。かつて、より「正義」に近い労働組合を主張してきた日教組、全教、第三組合の主張は現場には届いていないのだろう。ただワン・イシューの労働組合がどこまで組合員のニーズに応えられるのかも未知数。


8月9日 【インサイド】 再び強硬、軍懸念顧みず

 イスラエル政府がパレスチナ自治区ガザのガザ市制圧計画を決定した。軍は人質を巻き込むリスクを懸念していたが、ネタニヤフ首相は軍との確執を顧みず、再び強硬路線で押し切った。パレスチナを国家承認する動きが国際社会で相次ぎ、イスラエル批判が高まる中、反発を示した形だ。長期化する戦闘の出口戦略は見えず、混迷が深まる。

 「ガザ占領計画を進めれば人質の命が危険にさらされるだろう。われわれが彼らに危害を加えないという保証はない。部隊は疲弊している」

 イスラエルメディアによると軍のザミール参謀総長は7日午後6時に始まった治安閣議で訴えた。ガザ完全占領には1〜2年かかると強調し、代替案を提示したが、採用されなかったという。閣議は10時間に及んだ。

 ネタニヤフ氏は閣議に先立って米メディアのインタビューに応じ、ガザ全域を制圧するつもりかと問われると「そのつもりだ。安全を確保し、(イスラム組織)ハマスを排除する」と述べた。強硬路線には極右政党の支持を取ぴ付け、政治的延命を図る側面もある。

 ガザ市はイスラエル軍がガザで制圧していない25%の一部。空爆を繰り返しているが、全域攻撃には慎重だった。これらの地域に人質が残されているとみられるため、軍は計画に反対してきた。

 ガザでは餓死者が出るほど人道危機が深刻化し、ガザヘの物資搬入を制限するイスラエルに対する国際社会の批判は高まる。ハマスや共闘する「イスラム聖戦」は最近、この流れを利用し、飢えに苦しむ人質男性の動画を相次ぎ公開し、揺さぶりをかけていた。

 イスラエル政府は軍が戦闘地域外で民間人に支援物資を配給するとも発表したが、具体策は不明だ。米イスラエルが主導し配給拠点を運営する「ガザ人道財団」は十分に機能していない。ガザ市制圧に乗り出せば住民に退避を通告するとみられ、大混乱が予想される。

 戦後のガザ統治の在り方も不透明だ。イスラエル政府が承認したガザ戦闘完了への5原則に、ハマスを排除し、パレスチナ自治政府でもない文民統治機構を設立すると明記された。ネタニヤフ氏は戦後統治のアラブ諸国への丸投げを目指す構えだ。

 だが、アラブ側はパレスチナ自治政府を支持し、パレスチナを国家承認する他の国々も、自治政府の正当性を認めている。ロイター通信によると、ヨルダン当局筋は、ガザの安全保障は「パレスチナの正当な機関」を通じて扱われるべきだとくぎを刺した。 (エルサレム共同)



8月8日 人事院勧告 国家公務員月給3.62%増

 人事院は7日、2025年度の国家公務員給与を引き上げるよう国会と内閣に勧告した。最も人数が多い行政職は月給を平均3・62%(1万5014円)引き上げる。3%を超える増加は1991年度の3・71%以来、34年ぶり。勧告通り実施されれば、キャリアと呼ばれる各省庁の幹部候補 の初任給は初めて30万円を超える。賃上げが進む民間の動きに対応し、人材確保につなげる。

 ボーナス(期末・勤勉手当)もO・05ヵ月増の4・65ヵ月分で、月給とボーナス両方のプラス勧告は4年連続となる。勧告は地方公務員の給与改定の参考となるため、各地の自治体でも給与増が進む見通しだ。

 人事院は毎年、民間給与を調査し、国家公務員の給与水準が民間と釣り合うよう勧告する。今年から対象企業を従業員50人以上から100人以上に引き上げた。政策の企画立案を担う本府省職員は比較対象を500人以上から千人以上とした。一般的に企業規模が大きいほど給与は高い。公務員の志願者減が続く中、民間企業に見劣りしない処遇が必要と判断した。

 川本裕子人事院総裁から勧告を受け取った石破茂首相は「公務員の人材確保に資する内容だ」と述べた。


民間給与調査の対象企業を「従業員50人以上から100人以上」にしたことは、人勧体制のなかでも画期的なこと。これまで公務員側はこれが足かせとなり賃金引き上げが抑制されてきたと反発していた。しかし、この改定ではたして人材確保が可能なのかどうかは疑問。これまで人事院が意見等で述べてきた労働環境の改善が、とりわけ教職調整額体制が維持されてしまった中での教員の待遇改善が必要だろう。


8月8日 府・市 府内の児童虐待5980件

 京都府と京都市は2024年度の児童虐待相談・通告数をまとめた。府内合計は前年度比2・2%減の5980件となり、15年度以来9年ぶりに減少した。府と市は「微減であり、高止まりが続いている」とみている。子どもの前で親同士が暴力を振るうなど「面前DV」に関する警察からの通報が多く、「心理的虐待」が半数を占めた。

 相談・通告件数は15年度は2399件だったが、その後は増え続け、23年度は6116件と過去最多となった。24年度は府が設置している3児童相談所(児相)の合計が2609件、京都市の2児相は計3371件と、いずれも前年度と比べて微減となった。

 内容別では、心理的虐待が3169件(前年度3170件)が最も多く、「身体的虐待」1237件(同1216件)、育児放棄の「ネグレクト」641件(同756件)、「性的虐待」が41件(同53件)と続いた。

 虐待を受けた児童を年齢別でみると、未就学児が2043件(同2103件)で最多となった。小学生は1705件(同1750件)、中学生は43件(同862件)、高校生を含む18歳までは497件(同480件)。虐待者は実母が2404件(同2375件)、実父が2365件(2498件)だった。

 また、民間養護施設の職員を虐待認定した事案が京都市内で1件あった。市によると、昨年9月に女性指導員が中学1年(当時)の女性入所者に対し、感情的になって言葉を発したことが、心理的虐待と認定されたという。

 虐待の内容別などの数字は、京都新聞社が独自に集計した。府は受理した相談・通告件数の全てを対象にしているが、市は虐待認定した件数に限っている。


京都市いじめ問題調査委 初開催

 京都市立小で発生したいじめの重大事態を受け、学識経験者らで構成する市いじめ問題調査委員会が7日開かれた。同委員会の開催は2014年度に制度上設置されて以来初めて。

 同委員会は、いじめ重大事態の事案について、市教育委会の諮問を受けて調査する。いじめ防止対策推進法が施行された13年度から24年度末までに、今回の事案を含めて40件の重大事態が発生しているが、調査は学校や市教委が担ってきた。今回の開催は、被害児童の保護者の要望も踏まえて、「全容解明に向けて総合判断した」という。

 初会合は、冒頭部分を除き非公開で行われた。5人の委員のうち、弁護士や大学教員ら4人が出席。委員長に臨床心理士の資格を持つ弁護士の安西敦氏を選任した。今後の会合で調査方針や方法を決めて、最終的に報告書にまとめる。

 今回の調査対象は昨年、京都市立小4年生だった男子児童(11)が同級生からの暴力を受けて難聴となった事案。不登校になり、転校を余儀なくされたという。


虐待を受けた子どもの多くが就学前児と小学生だということ。大人と子どもの力のバランスが大きく違う局面で虐待が行われるということなのだろうか。必ずしも経済的な格差が虐待を生むということではないにしても、生活にゆとりがない状況が続くときに虐待が起こりやすいと推測できる。社会のセフティーネットの構築合わせてた対策が必要だろう。


8月7日 首相 「三原則堅持」を強調

 石破茂首相は6日、広島市で記者会見し、戦後80年に合わせた自身の見解表明に関し、戦争を抑止するための仕組みを示したいとの考えを表明した。「今、必要なのはどうすれば二度と戦争を起こさないか。そういう仕組みを考えてみたい」と述べた。

 非核三原則を堅持する方針を強調し、米国の核兵器を日本で運用する「核共有」については「全く考えていない」と否定した。

 戦後80年見解の形式や発表時期は「よく考えたい」として、引き続き明言を避けた。戦争体験者が少なくなっていると指摘した上で「記憶の風化は避けがたい。能動的に記憶を継承する努力を深めなければならない」と訴えた。

 米国が核を含む戦力で日本防衛に関与する「拡大抑止」の信頼性を強化する方策について、不断の検討が必要だと説明。「核兵器のない世界という目標に向けて努力することと矛盾する概念ではない」と語った。

 被爆者支援に関しては「高齢化が進む被爆者に寄り添い、援護に努めたい」と言及。空襲被害者への国家補償は超党派の議員連盟の対応を見守ると述べるにとどめた。


教師と子犠牲の歌 引用「太き骨は先生ならむ…」

 石破茂首相は6日、広島の平和記念式典あいさつで、歌人正田篠枝さんの歌を引用した。その後の記者会見で、被爆の記憶を継承する努力をさらに深めなければならないとの思いを込めたと説明。「あの歌に全て尽くされている。光景を想起しただけで、どれほど悲惨で、どれほどの悲しい思い、つらい思いがそこにあったか」と述べた。

 引用したのは、広島市中区の「原爆犠牲国民学校教師と子どもの碑」に刻まれた「太き骨は先生ならむそのそばに 小さきあたまの骨 あつまれり」との歌。

 林芳正宣房長官も会見で「戦争の悲惨さ、原爆被害の過酷さを決して風化させず、記憶として継承しなければならないとの強い思いを込めた」と引用の狙いを解説。「教師を頼りながら死んでいった子どもたちと、彼らを気遣いながら死んでいった教師の無念さを表している歌だ」と語った。


かつて郵政民営化を強引に進めた小泉元首相が世論を味方するとして、民営化反対勢力を「抵抗勢力」とした。民営化の是非は別として現在の石破内閣をそうした目で見ることもできる。核3原則堅持や碑文の引用を見る限りは辞任する必要はないといえそうだ。


8月7日 【現論】 日本、国際秩序回復のリードを

   中満 泉 (国連事務次長)

 今年は第2次大戦の終結80年であり、国連創設から80年でもある。日本にとってはアジア各国への侵略戦争、沖縄戦、原爆投下を経ての敗戦80 年の節目に当たる。

 この大戦で世界では5千万人から8500万人が犠牲になったとされる。民間人犠牲者は、軍人を上回る3800万から5500万人。日本の戦没者は軍人・軍属230万人、民間人80万人の計310万人に上る。

 今年6月23日の沖縄全戦没者追悼式に招待いただき、「平和の礎」で80年前を思った。礎には国籍や軍民の区別なく沖縄戦の犠牲者、そして19 31年の満州事変から終戦までに亡くなった沖縄出身者一人一人の名が刻まれている。

 琉球処分で約450年続いた琉球王国から日本に併合された沖縄は、特別な歴史を持つ。沖縄戦は日本にとって本土決戦への時間稼ぎ、米国にとっては本土攻撃の戦略拠点獲得が目的だった。

 その戦闘では、県民の実に4人に1人が亡くなった。軍の保護を受けることなく死亡した民間人が多い。動員された14歳から19歳の男女生徒も多くが悲惨な最期を遂げ、人々が捕虜になることを許されずに強制的な集団自決に追い込まれたことも史実である。

 第2次大戦では各国でも多くの民間人が犠牲になった。ソ連、中国、ポーランド、ドイツなどで特に多く、広島・長崎では人類史上初めて原爆という大量破壊兵器が市街地に投下された。戦争に美化できるところなど皆無である。

   大戦を教訓に

 なぜ世界は大戦に突き進んだのか。経済面では1929年の世界恐慌後、強国が保護貿易政策を採用しブロック経済圏の設立に動いたことが背景にある。広大な植民地や資源供給地域を持たないドイツ、イタリア、日本などに軍国主義やファシズムを支持する国民意識が形成されたことも大きかった。

 第2次大戦の悲惨な教訓が新たな国際秩序をつくるさまざまな努力に反映された。大戦前から存在する文民保護義務を統合・強化する形で、49年にはジュネーブ諸条約が締結される。この第4条約が、戦時における文民の保護に関する条約である。国連加盟国を超える196力国が締約国だが、残念ながら今日もパレスチナ自治区ガザなどの紛争で、違反が繰り返されていることは周知の通りである。

 国連憲章は44年のダンバートン・オークス会議、45年のヤルタ会談で草案の議論が進められ、45年4月から開かれたサンフランシスコ会議での 交渉を経て、6月26日に50力国が調印した。

 国連憲章の基本原則のうち最も重要なものは自衛権の行使と、憲章7章で国連が認める強制措置以外での武力行使および武力行使の威嚇を禁止したことである。ロシアのウクライナ侵攻はこれを踏みにじった。

 米英ソの合意する安全保障理事会の拒否権問題には、大戦の連合国内にもオーストラリアなどから異論があった。安保理と総会についても、総会に強制措置の権限を持たせるべきだとの意見も強かったが、結局は安保理優位が保持された。今日に至る問題点は国連憲章採択時、既に認識されていた。    

   正確な歴史を

 経済面ではブロック経済化が大戦の背景にあった反省から、44年に米ブレトン・ウッズの国際会議で、国際通貨基金(TMF)と国際復興開発 銀行(IBRD)に支えられた戦後の国際的経済協力体制が樹立された。

 自由貿易による世界経済の共存のために、47年には関税と貿易に関する一般協定(GATT)が締結され、95年には世界貿易機関(WTO)と して発展、整備された。この国際経済秩序も現在「関税戦争」によって挑戦にさらされている。

 戦争体験者が人口の10%程度になり、日本でも戦争の実相を理解することが困難となった。私たちは追悼と平和への祈ぴとともに、大戦に至った歴史を正確に理解し、その教訓がいかに戦後の国際秩序に反映されたのか、戦争を防ぐために今何をすべきかを冷静に考えなければならない。

 国際秩序が挑戦にさらされ機能不全に陥りつつあるが、これを完全に崩壊させて良いはずがない。歴史の不正確な理解や悪質なデマがまん延し、排外主義に基づく自国第一キ義が公然と主張されるようになった今こそ、日本は戦後80年、国際秩序の安定に大きな貢献をしてきた歴史を誇りとし、秩序回復をリードしてほしい。



8月7日 広島原爆の日 核廃絶 若い力が世界へ

 被爆者との交流をきっかけに、若い世代が核なき平和な未来を目指して活動している。長年口を閉ざしてきた被爆者の証言映像制作、交流サイト(SNS)による発信、国際会議への参加。思いをつなぎ、活躍の場を世界に広げている。

 福岡県出身の古賀野々華さん(24)は、被爆者のドキュメンタリー映像を制作し、世界に公開している。高校時代、原爆製造にゆかりのある米国ワシントン州リッチランドに留学。高校の校章にきのこ雲が使われているのを見て、原爆への意識の差を感じた。

 原爆の被害に焦点を当てて留学先で発表したことが日本で新聞記事になり、目にした広島の被爆者後東利治さん(86)から「勇気をもらった。(自分も)証言をしてみようと思う」と手紙が届いた。古賀さんは大学に進学し、ジヤーナリズムを学ぶ中で後東さんと向き合うことを決めた。

 人前で語ってこなかった後東さんの被爆証言や、核廃絶を見届けるために「人類最後の被爆者として長生きしたい」とする発言を押さえ、英語字幕付きのドキュメンタリー映像にまとめた。今後はさらに米国留学し、現地での核政策の歴史に着目した研究を進める。「核保有をする側の視点に立ち、そのロジックから核兵器廃絶への道筋を探りたい」と意欲を見せた。

 広島県出身の立命館大4年倉本芽美さん(22)は、学生団体「KNOW NUKES TOKYO」の共同代表としてSNS発信やイベント開催に取り組む。核兵器禁止条約への参加を求め国会議員とも面会するなど、活動は多岐にわたる。

 思いを強くしたのは、大学進学先の京都。広島の被爆者花垣ルミさん(85)と出会い、世代を超えた友人に。被爆の苦しみに触れた。

 3月には日本の市民団体メンバーとして、ニューヨークの国連本部で開かれた条約の締約国会議に参加した。「核廃絶の世論を作りたい」と力を込める。


京大・直野章子教授わが事と捉えて

 パレスチナ自治区ガザでは人としての尊厳を破壊するような行為が今も繰り返されている。核兵器が使われずとも非人道性という点で、広島への原爆投下と境遇は重なる。松井一実市長の平和宣言はそうした視点が足りなかった。被爆者は記憶の過酷さに苦しみながらも証言を続けてきた。根底にあるのは「誰にも同じ思いをしてほしくない」という意志だ。今ほど被爆者のメッセージが求められている時はないはずだ。私たちはわが事として捉え、行動しなければならない。


明治大・山田寿則講師より積極議論を

 核兵器を巡る世界情勢は冷戦期以上に危機的だ。核が使われた場合の被害の甚大さを考えると、リスクが高い核抑止論に人類はいつまで依存し続けるのか。戦争被爆国として日本政府に問われているのは、核のない世界に向けてどう歩みを進めるか、より積極的に議論し、具体的な政策を練ることだ。被爆地広島は、被害の実相を伝え続けることが重要だ。核なき世界という人類全体の合意形成を目指す中でも、大きな役割を果たしうるだろう。


戦争体験者が少なくなり戦争を語り継ぐことの難しさが指摘される。しかし、体験者だけが戦争を語る資格があるわけではない。私たちも含めていま生きている者もその資格を十分持っているはず。参政党の若い人たちが「核武装」に言及しているがその認識の甘さもさることながら、彼らを支持した人たちへどのようにメッセージを伝えられるかは戦争の可否だけではない国の在り方を示すことにかかっているように思える。


8月7日 イスラエル閣議 ガザ「完全占領」

【エルサレム共同】イスラエルのネタニヤフ首相は5日、パレスチナ自治区ガザでの軍事作戦に関してガッツ国防相らと協議し、ガザの「完全占領」を進める立場を示した。7日にも閣議を招集し諮る。地元メディアが伝えた。イスラエルとイスラム組織ハマスの停戦交渉が膠着しており、攻撃地域を拡大して圧力を強め、ハマス側の譲歩を引き出す狙いの可能性がある。

 イスラエルは2005年、1967年から40年近く占領していたガザの統治権をパレスチナ側に渡し一方的に撤退した。ただ以降もガザ境界で物資搬入を制限し、国連などは「占領継続」と捉えている。ネタニヤフ氏の「完全占領」が何を想定しているのかは不明。

 イスラエルメディアによると、軍は既にガザ全域の75%以上を制圧した。全域の制圧に踏み切れば、新たな地域への攻撃も強まるとみられ、住民の犠牲者増は避けられない。強硬姿勢により、ハマスが拘束する人質を殺害する可能性が指摘されており、国民から反発が上がっている。

 トランプ米大統領は5日、イスラエルによるガザ占領を支持するかどうか記者団に問われたが「イスラエル次第だ」と述べるにとどめ、賛否を明言しなかった。米ニュースサイトによると、トランプ氏はガザの人道支援を拡大する考えを持っているという。

 イスラエル首相府は声明で「イスラエル軍は政府の閣議決定を実行に移す準備がある」と強調した。ただイスラエル軍は、ガザの完全占領は人質の命を危険にさらす恐れがあるとして反対の立場とされている。

 ガザではイスラエルによる物資搬入制限で餓死者が出るほど人道状況が深刻化。イスラエルに対する国際社会からの批判も高まっている。ガザ保健当局は6日、2023年10月の戦闘開始後のガザ側死者が6万1158人になったと発表した。


軍事的制圧が和平につながることはほとんど皆無に近いといっていいだろう。現にガザで育った多くの人はハマスを支持イスラエルへの憎悪をため込んできた。仮にイスラエルがガザを「完全占領」したとしても人心まで「完全占領」することはできない。近い将来再び悲劇を呼び起こすに違いない。即時の停戦が一番の和平への道ではないのか。


8月7日 米化学大手 PFAS汚染で3千億円

【ワシントン共同】発がん性が指摘される有機フツ素化合物(PFAS)による汚染を巡り、米東部ニュージャージー州は4日、化学大手デュポンなど3社が汚染除去費用などとして最大約21億ドル(約3100億円)を同州に支払うことで和解したと発表した。環境汚染を巡る訴訟で州政府が勝ち取った和解金としては過去最大規模という。

 PFASは水や油をはじく特性があり、フライパンや衣類のコーティングなど幅広い用途で利用されてきた。極めて安定し分解されにくく「永遠の化学物質」とも呼ばれるが、最近は環境汚染問題が指摘され、米国では企業の法的責任を問う動きが拡大している。

 訴えられたのは同社と二つの関連会社。州内の四つの工業エリアでPFASを使った製品などを製造していた。今後25年にわたって賠償金8億7500万ドルを支払うほか、PFASや他の化学物質による汚染浄化のため最大12億ドルの基金を創設する。

 ニュージャージー州のプラトキン司法長官は声明で「企業は何十年もの間、われわれの土地や水を故意に汚染してきた」と非難した。デュポン社は和解について「州が提起したさまざまな問題を包括的に解決するものだ」とコメントした。


PFASによる汚染が深刻であることを司法の場でも確認されたということだろう。水俣病を経験した日本はその教訓を生かして一刻も早く対策を講じなければならない。また、米軍・自衛隊周辺での環境調査も本格的に行う責任が政府にはある。


8月7日 文科省 教員試験 筆記共通化へ

 都道府県や政令指定都市の教育委員会が個別に実施している公立小中高校などの教員採用試験について、文部科学省は筆記試験の問題を2027年度実施分から共通化する方針を固めた。約50教委が参加する見通し。関係者への取材で6日、分かった。試験問題は教委や教員が作成するケースが多く、現場の負担軽減につなけたい考えだ。

 採用試験を行うのは都道府県と政令市の各教委、大阪府内の3市2町でつくる大阪府豊能地区教職員人事協議会の計68教委。一般的に1次選考は筆記試験で教養や教科の知識を問い、2次選考で面接や実技を課して合否を決める。

 現時点の想定では、共通化するのは問題作成のみで、試験運営や成績処理は各教委が行う。問題作成は外部機関に委託し、各教委で問題の確認作業を分担する。筆記試験の実施日を複数設けられるように問題は複数パターン用意し、同じ試験日の教委は同一問題を使用。試験日が同じ教委は一つしか受験できないが、別日程は併願できる。

 問題作成の負担が減れば、教委は学校現場への支援に注力でき、教員は授業準備など通常業務の時間を確保しやすくなる。また、現在も独自に外部委託している教委は、共通化によって費用の縮減が見込まれる。

 文科省は、教委の担当者らが参加する試験共通化に向けた検討会議を立ち上げ、24年1月に初会合を開催。今年7月には共通試験に参加意向の教委による協議会を発足させ、作業分担の在り方などの検討を進めている。


採用試験の問題作成が各地教委の負担になっていることは理解できる。しかし、そのために文科省が共通問題を作成し各地教委がそれを採用するというやり方に問題はないのだろうか。全国学テと同じく、こうした問題を解ける教員の資質・能力を求めるスタンダードとなることは、国が求める教員像を示すことになる。教育の地方分権の方向とは逆の効果を持つことに危惧を感じる。


8月5日 首相 戦後80年見解は「必要」

 石破茂首相は4日の衆院予算委員会で、先の大戦の検証を巡る自身の見解を表明することに、前向きな姿勢を示した。戦後80年に合わせてコメントを出すべきだと求められ「風化を避け、戦争を二度と起こさないための発出は必要だと思っている」と述べた。有識者から個別に意見聴取していることも、関係者への取材で分かった。

 首相は予算委で「わが国が今年、世界に向けて何を発出するか、私自身の思いとして強いものがある」と強調した。

 過去の首相談話について「積み重ねは大事にしたい」と言及し、踏襲する考えを表明。それぞれの談話を子細に読んだ上で判断したいと語った。

 安倍政権の戦後70年談話で、先の大戦を巡り「国内の政治システムは、その歯止めたりえなかった」と記載した内容に関し「なぜなのか。きちんと考える必要がある」とも指摘した。

 首相は、見解作成の参考とする有識者会議の設置を見送り、水面下で有識者の意見を確認している。戦後80年となる今月15日の「終戦の日」には示さない方向だが、別の機会に発信する可能性は残る。


自民党内の「石破降ろし」と対照的にSNS上では「石破やめるな」コール。今回の参院選挙の一つの視点として自民党の自壊があるといえそうだ。「80年談話」を阻止したい旧安部派なのだが、参政党、保守党に支持をさらわれた。実質的な安部政治の終焉といえそうだ。ただ、石破首相の談話がどれほどの実効性を持ち得るかは不透明であることは肝に銘じておかなければならない。


8月5日 NPO調査 夏休みひとり親家庭 1日2食以下41%

 ひとり親家庭の41%が「夏休み中に子どもが1日2食以下で過ごしている」と答えたことが4日、民間団体の調査で分かった。昨年より7ポイント増えた。子どもが貧血になったり、親が1日1食に減らしたりする家庭もあった。夏休みは給食がなく、光熱費もかかる。物価高が続く中、食費を切 り詰めるなど深刻な状況が浮き彫りになった。

 NPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」が7月下旬、ひとり親家庭を対 象に調査。全国の約3900人が回答し、7割が小中学生のいる家庭だった。全体のうち38%が「1日2食」、3%が「1日1食」で夏休みを過ごしていると答えた。

 コメを買えない時が「よくあった」「時々あった」は合わせて66%に上り、昨年の41%より大幅に増えた。

 自由記述では「半額になった菓子パンやカップラーメンでしのいでいる」「育ち盛りの子どもの体重が減っているのが目に見えて分かる」といった声が寄せられた。

 法人の小森雅子理事長は4日、報告会を開き「命の危機と言える状況だ。現金やコメの給付など一刻も早く支援してほしい」と訴えた。


農林省は備蓄米をフードバンクに無料で提供することを6月に発表していたが、それがようやく届いたらしい。小泉農相はXで「ワンコイン500円で人気です!」と得意げに投稿している。子ども食堂の存在自体が政治の無策を表現しているにもかかわらず。


8月5日 【インサイド】 原発回帰路線 明確に

 今年2月に改定された国のエネルギー基本計画が掲げる「原発の最大限活用」に向けた動きが活発化している。関西電力が原発新設を検討している美浜原発に関し、地元福井県美浜町の戸嶋秀樹町長は4日、同社による地質調査を了承。また経済産業省資源エネルギー庁の幹部は、原子力規制委員会の審査に合格したばかりの北海道電力泊原発3号機(北海道泊村)について、再稼働への「理解要請」のため道や地元町村を行脚した。日本が原発回帰にかじを切ったことを明確に思わせる日になった。

 美浜町長の調査了承を受け、関電社内では「ありがたい」と安堵が広がった。美浜原発を巡って関電は2010年、1号機の将来的な建て替えを念頭に調査を始めたが、東京電力福島第1原発事故の影響で停止していた。

 先月22日、調査再開方針を地元に伝達すると、翌23日には早速、美浜原発周辺の一部住民への説明を始めた。住民からは調査の内容について質問が出たという。

 美浜原発が立地する美浜町丹生地区の50代女性は4日「町が調査を容認したことはニュースで初めて知った」と諦めた表情で語った。関電は町内全世帯を訪問して説明する方針。女性自身はまだ説明を受けていないという。

 町長の調査了承は性急にも見えるが、ある町関係者は以前から地元が調査実施を要望してきた経緯があると解説した。

 関電が建設を想定しているのは、三菱重工業などと開発中の“新軽水炉”。現時点で詳細な建設場所は未定で、調査では建設適地を探る。

 ただ、今回の調査だけで新設が決まるわけではなく、環境アセスメントや規制委による審査が控える。別の町関係者は「本番はまだまだこれから。本格的な地元同意の議論は調査後だ」と話す。県関係者は「町の対応を静観する」と明かした。

 新たなエネルギー基本計画は40年度の電源構成に占める原発比率を2割程度としている。計画実現に必要とされる原発新設だが、行政手続きや建設工事などで完成まで20年近くかかるとされる。巨額の建設費工面など課題もあり、関電に続く新設計画は具体的に見えてこない。

 そのため政府が新設と合わせて注力しているのが既設原発の再稼働だ。経産省は4日、村瀬佳史エネ庁長官を北海道庁に派遣。7月30日に審査合格した泊原発3号機の再稼働に事実上必須である地元同意への協力を求めた。鈴木直道知事との面談後、報道陣の取材に応じた村瀬長官は、原発の再稼働や新増設に関し「安全確保が大前提。地元の理解をいただきながら、国が前面に立って対応していく」と強調した。


美浜町の原発新設のための調査合意は地元にとっては悩ましい問題である。しかし、東京電力福島第1原発の事故を想起すれば新設はあり得ないはずだ。これまでに得たきた交付金や税金を原発に依存しない自治体を作るという方向で施策を考えるような余裕はなかったのだろうか。


8月1日 全国学テ 結果分析
理数「得意」女子低く

 文部科学省は今回初めて、平均正答率や質問調査の結果を男女別に集計した。各教科を「得意」とした女子の割合は、国語は小中とも男子を上回り、算数・数学と理科はいずれも少なかった。成績上位層でも理数を得意とした割合は女子が低かった。文科省は、「女子は理系が苦手」といったアンコンシャスバイアス(無意識の思い込みや偏見)が背景にあるとみている。

 各教科の男女別の平均正答率は、国語は女子が小中とも5・4〜7・8ポイント上回った。算数・数学ばいずれも男子が高いが大きな差はなく、理科は女子が小6で3・0ポイント高く、IRT(項目反応理論)スコアで示される中3は5点上回った。

 「得意」の割合は、女子は国語が小6で66・6%、中3が59・5%で、いずれも男子より高い。一方、小6算数は男子71・2%、女子49・5%、中3数学は男子55・9%、女子36・1%と大きな差があった。理科は小中とも男子が7・3〜17・8ポイント高い。成績上位層でも傾向は同じだった。

 文科省は、理系分野で活躍する女性と児童生徒の交流機会の提供といったアンコンシャスバイアス解消のための取り組みを進めるとしている。

 「授業の内容がよく分かる」「勉強が好き」の割合も、国語は女子が高く、算数・数学と理科は男子が高い。各教科の授業で学習したことが将来社会に出た時に役立つとした割合は男女で大きな差はなかった。 


コロナの活動制限 スコア低下影響か

 文部科学省は、学力の経年変化を把握するため2024年度に実施した抽出調査の結果を公表した。小学6年の国語と算数、中学3年の国語と英語で基準年度よりスコアが低下。新型コロナウイルス禍で学校生活が制限された期間が影響した可能性があるとしている。

 抽出調査は全国学力テストとは別に行われるもので、24年5〜6月に小学校1200校、中学校1500校を対象に各校1教科ずつ実施。16年度と21年度の同様の調査と比較した。結果は経年比較ができるよう500点を基準とするスコアで示される。24年度の小6国語は489・9点で、基準となる16年度の505・8点から低下。小6算数は502・O点から486・3点に下がった。中3は国語が508・6点から499・O点となり、英語は基準の21年度の501・1点に対し、24年度は478・2点だった。

 24年度の小6は、コロナの感染が拡大した20〜22年度に低中学年の小2〜4年、中3は教科としての英語を学び始める小5〜中1だった。文科省は、一斉休校や会話を控えるといった制限が学習面に影響した可能性があるとみている。


全国結果「授業よく分かる」減少

 文部科学省は31日、小学6年と中学3年の全員が対象の2025年度全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果分析や質問調査の回答結果を公表した。今回実施した各教科の「授業がよく分かる」とした児童生徒は小6理科を除いて減少。初めて男女別集計も実施し、算数・数学と理科では正答率に大きな差がなかった一方で、得意とした割合は女子が低く、苦手意識が示された。

 「授業の内容がよく分かるか」との質問に「当てはまる」「どちらかと言えば当てはまる」と回答した割合は、小中の国語と算数・数学で24年度から3・6〜5・7ポイント減少。理科は前回実施した22年度より小6はO・3ポイント増え、中3は3・9ポイント減った。「当てはまる」のみだと、小中の全教科で前回を下回った。

 授業以外の学習状況では、平日1時間以上勉強していると答えたのは小6が54・3%、中3が61・7%。平日、休日ともに減少傾向にある。

 男女別集計では、中3数学で正答率が男子49・1%、女子48・6%と同水準だった一方、得意は男子55・9%、女子36・1%と開きがあった。

 14日に公表した全国平均正答率(国公私立)は、難易度が異なるため単純比較できないが、国語と算数・数学で小中とも24年度より下がった。理科は小6が57・3%で、デジタル端末を使いオンラインで出題・解答する方式(CBT)の中3は、国際的な学力調査で採用される「IRT(項目反応理論)スコア」で全国平均505点だった。

 文科省は課題として、国語は根拠を明確にして書くこと、算数・数学は数学的表現で説明すること、理科は化学変化の理解などを挙げた。  


自治体別の結果45道府県など公表

 文部科学省は今回から全国学力テストの結果の公表方法を変更し、@全国の平均正答率A教科や質問調査の結果分析B都道府県・政令指定都市別データの3段階に分けた。各自治体による公表は課題分析などを行った上で8月以降が望ましいとしているが、共同通信が調べたところ、45道府県と17指定都市が7月31日に結果を公表。残りは8月以降の公表とみられる。

 これまでは一括で公表されていたため、分析などよりも自治体別の平均正答率に注目が集まりがちだった。今回、文科省は7月14日に全国の平均正答率、同31日に教科や質問調査の分析結果を公表。自治体別結果が一覧で分かるデータは8月以降に示すとしている。共同通信の調査によると、7月31日時点で公表しなかったのは、宮城、東京の2都県と、千葉、堺、熊本の3指定都市。 


京女大・水戸部修治教授主体的に論評する学びを

 中学校の記述式は場面設定を理解した上でいくつかの条件を組み合わせて解答する設問があり、難易度が高かった。小学校でも複数資料を読み比べる力に課題が見られた。国語力の下支えとなる読書を「好き」とした子どもが減少傾向なのも懸念材料だ。複雑化する社会では、必要な情報を取捨選択し、自分なりに消化して表現する力が欠かせない。教員任せにせず国や自治体が一体となって、子どもたちが多くの本や資料に触れ主体的に論評する学びに取り組む必要がある。 


筑波大・清水美憲教授数学的概念の理解不十分

 例年より「百分率」「素数」といった用語の意味に焦点を当てた出題が多く、小中学生ともに概念の理解が十分ではないことが顕在化した。基礎の習得は、数学的な問題解決能力の獲得に必須である。数学は実社会ではあまり役立たないと捉えられがちだが、実際は身の回りで数学的アプローチがたくさん用いられている。学校現場では、日常生活や授業で児童生徒に使ってもらい、自らの言葉で説明させ理解を促すことが重要だ。


個人の能力を測る尺度が様々に変化する中で新たに「IRT(項目反応理論)スコア」なるものが導入されたのが今回の特徴といえば特徴かもしれない。確かに能力を測る尺度は一つではないことは理解できるが、果たしてこうした矢継ぎ早の能力測定が子どものためになっているのかは大きな疑問。


8月1日 府・市教委 小6全教科全国上回る

 京都府と京都市の両教育委員会は31日、2025年度の全国学力テストについて、京都市を含めた府内の公立小中学校、特別支援学校の結果を公表した。今回は国語、算数(数学)に3年に1度実施する理科を加えた3教科での実施。中学の理科を除いて、小中とも全ての教科で全国平均の正答率を上回った。 教科別の平均正答率は小学6年の国語が69%(全国平均66・8%)、算数は60%(58・0%)、理科は60%(57・1%)だった。中 学3年は国語が55%(54・3%)、数学が49%(48・3%)で、デジタル端末を用いて解答するCBT方式を初めて導入した理科は、国際的な学力調査で採用される「IRT(項目反応理論)スコア」で示され、全国平均503に対して、500だった。

 府内の正答率は、京都市を除く市町村では小6国語が67%、算数が59%、理科が58%、中3国語が54%、数学48%、理科が491.京都市のみは小6国語71%、算数62%、理科62%、中3国詰55%、数学50%、理科が511となり、京都市とそれ以外の府内の正答率に差が出た。府教委学校教育課は「平均正答率が京都市を除くと少し下がることについては、課題意識は持たなければならない」としている。

 学力テストと併せて実施されたアンケートでは、1人1台配備のデジタル端末をはじめとしたICT機器の活用頻度が全国平均を上回った一方で、教科の勉強が好きと回答した割合は全国平均を下回った。デジタル機器の活用が児童生徒の学びへの興味関心を十分に引き出せていない状況がうかがえることについて、府教委の三矢哲郎学校教育課長は「積極的に活用する段階はクリアできた。今後は効果的な活用法を検討していきたい」’としている。

 学力テストは府内公立の小学校350校1万7885人、中学校171校1万6557人が4月17日に受けた。


学力テストを実施したならその結果を当事者に知らせるのは義務であるだろう。しかし、それを全国的に序列化できるような形で公表する必要性はあるのだろうか。今回の男女別アンケートの必然性はさらさらないように思える。


8月1日 カナダ政府 パレスチナを承認へ

【ニューヨーク、ワシントン、エルサレム共同】カナダのカーニー首相は30日、9月の国連総会でパレスチナを国家承認する意向を表明した。フランスや、条件付きで同様の方針を示した英国に続き先進7力国(G7)で3力国目。パレスチナ自治区ガザで2023年10月の戦闘開始以降の死者が6万人を超え、飢餓が拡大する中、イスラエルへの圧力を強める動きが急速に広がっている。

 G7ではイスラエルの後ろ盾の米国が国家承認に否定的で、ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)の加害責任を抱えるドイツは慎重姿勢だ。日本もイスラエルとパレスチナの「2国家共存」を支持するが承認には慎重で、態度を明確に示す必要に迫られる可能性がある。

 カーニー氏は記者会見で、パレスチナ自治政府のアッバス議長がパレスチナの非軍事化とイスラム組織ハマス排除、来年の総選挙実施を約束したと強調。2国家共存でしか「平和と安全は実現しないが、その可能性が失われつつある」と訴えた。


アッバス議長が現地でどれだけの支持を得ているかは疑問。しかし、国家承認への機運の醸成はガザでの停戦圧力になる。日本も早期に承認すべきだ。